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第104話:サリエリ様
しおりを挟むリオルートが弟に向かいほがらかに笑う。
「おまえには女嫌いの噂が立ったくらいだから心配していたんだよ」
「そうね。ライツ様は自分の伴侶は自分で決めると断言してらしたから、お見合いを希望するお話をお断りするのも大変だったのよ? だけどようやくこんな可愛らしいお嬢さんを連れて現れるなんて・・・・・・。そうだわ! 今夜はお祝いパーティを開きましょう!」
(お祝いパーティ!?)
愛那が驚いているとライツが「やめてください」とサリエリを止める。
そして愛那の肩へ手を伸ばしそのまま彼女を引き寄せた
(えっ!?)
「正式に結婚が決まるまではマナのことは隠しておきたいんです。誰にも邪魔されたくありませんからね。しかし大量発生している魔物のこともあり、簡単には行かないだろうと覚悟しています」
「そうね。お義父様もお義母様もまだお帰りにならないし」
サリエリの言葉にライツが頷く。
「実は、マナには魔法使いとしての素質があることが分かり、特訓をして一緒に魔物の討伐に出る約束をしているんです」
「えっ?」
ライツの言葉に驚いたサリエリが愛那を見る。
(あわわわ!)
「そ、そうなんです。ライツ様と一緒に魔物を討伐して、みんなが安心して暮らせるようになったら結婚しようという約束をしていて・・・・・・」
(くっ、苦しい。嘘はダメなのに、サリエリ様、ごめんなさい! しかもこの嘘、私の願望が入ってるし!)
「まあ・・・・・・」
そう言って頬に手を当てたサリエリが身を寄せ合っているライツと愛那を見つめている。
そして「わかりました」と真面目な顔で頷いたサリエリが愛那へと歩み寄り、愛那の手を握って言った。
「お二人の邪魔はしないわ。今はまだマナ様の存在は伏せていた方がいいのね? こんな華奢で可愛らしい方を魔物討伐になんてとても心配だけど、応援するわ。何か困ったことがあればいつでも相談にのるから私を頼ってちょうだいね?」
「は、はい。ありがとうございます、サリエリ様」
(ライツ様のおっしゃっていた通り、本当に優しくていい人たち・・・・・・)
親身になってくれるサリエリに嘘をついている心苦しさを感じながらも、その彼女の優しさに愛那は心を温めていた。
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