ごめんなさい。俺の運命の恋人が超絶お怒りです。

しーぼっくす。

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 第96話:リオルート・ルザハーツ

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 ライツと愛那たちが城内を歩き進む中、騎士や城勤めしている者達が道を空け端に寄って丁寧に礼をしていく。
「・・・・・・」
(これから先、立場的にこういった対応に慣れなきゃいけないんだろうなぁ)
 愛那は背筋を伸ばし、視線はよそ見せずに真っ直ぐするなどを心がけながら歩く。
(今の私じゃ救世主としての実績もないし、敬われることに抵抗を感じちゃうな。・・・・・・庶民の感覚はそう簡単に変えられません!)

 到着を伝えるため、先に城内にいたハリアスが、大きな扉の前でライツたちを待っていた。
「こちらでお待ちです」
 ライツが頷きハリアスが扉を開く。
「マナ。行こう」
 愛那はライツの視線を受け止めコクリと頷く。
 開かれた扉の向こう側には温かみを感じる広い部屋があった。
 壁には絵画。床に絨毯。本棚とソファにテーブル。全ての色合いが茶系の落ち着いたもので、置かれてあるさまざまな小物などにも愛那は親しみを覚える。
(あれとか可愛い。・・・・・・なんだか、お城の中だし、もっと冷たいイメージがあったんだけど)
「お久しぶりです、兄さん」
 ライツのその声に愛那はハッとなる。
 右手の奥。一人掛けのソファから立ち上がり、こちらを見ている人物。
 リオルート・ルザハーツ。
 ルザハーツ公爵家当主。25歳。
(銀髪。・・・・・・ライツ様とは髪色が違うのね)
 胸の鼓動を落ち着かせながら愛那はライツと共にリオルートの近くへ向かう。
 その間、微笑を浮かべているリオルートの視線が愛那へと注がれ続けている。
(そんなに見ないで下さい~! 顔が強ばっちゃうから~!)
 顔だけでなく、体の動きもぎこちない愛那に気づいたライツが立ち止まって愛那の頭を撫でた。
(ええっ!?)
 この状況でそんなことをされた愛那が固まる。
「兄さん、そんなにマナを見ないで下さい。彼女の緊張に拍車がかかってしまう」
 その言葉にリオルートは声を上げて笑った。
「ライツ、おまえが女性を気遣うなんて初めて見た」
「からかわないで下さい」
「からかいたくもなるだろう」
 そう言って改めてリオルートは愛那へと視線を移し微笑んだ。
「初めまして、可愛らしいお嬢さん。私の名はリオルート・ルザハーツ。君の手をとっているその男の兄だよ」


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