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 第87話:警戒すべき相手

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 元王族、御三家の一つであるバリンドル公爵家。
 そのバリンドル家に。
「注意して欲しいって、どういうことですか?」
 愛那がそう訊ねるとナチェルが頷いて話し始めた。
「いい噂が聞こえてこない。といえばそれまでですが、噂という不確かなものだけでなく過去の数々の事例から警戒すべき相手と認識されています」
「認識してるというのは、誰が?」
「少なくとも王家とルザハーツ家では確実に」
(え、王家にも警戒されてるって・・・・・・)
「一体過去に何をしたんですか? そのバリンドル家って」
「はい。・・・・・・話はこの国、サージェルタ王国が誕生したことから始まります」

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 その後のこと。
「救世主であるロベリル様と深い結びつきを願うことは当然です。特に元王族の御三家は。その時ロベリル様は二十代の男の盛り。王妃となるべき年頃の女性達がロベリル様の元へと集められた。しかし、その時にはすでにロベリル様はある女性に恋をされていたのです」
「わああ!」
 わくわくとした目で愛那がナチェルの話の続きを待つ。
「のちに王妃となるその女性の名はハイリ。彼女はどの家系にも属さない、神に仕えし女性神官でした」


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