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第81話:掛け合いが楽しい。
しおりを挟む(ちょっと意地が悪かっただろうか?)
今もまだ、姿を消した愛那を抱きしめながらライツは思う。
「マナ。まだ話が終わってないからこのまま話そうか」
「このまま!?」
「だって、俺が安心できないだろう? 姿を消すマナが悪い」
「き、昨日みたいに手を握っていれば・・・・・・」
「嫌だ」
(このまま抱きしめていたい)
また腕に力を込めると、「ええ~?」という困惑の声。
思わずライツは笑顔をこぼした。
(マナとの掛け合いが楽しい。さっきまで不安定だったマナと、心の距離が近づいた気がして嬉しいんだ。・・・・・・なんて、俺だけが嬉しがってどうする?)
笑顔が自嘲へと変わる。
家族や友人もいただろう。
俺と声がそっくりだという好きな相手。
その彼らにマナは、二度と会えない。
「ライツ様、怒ってるんですか? 秘密にしなきゃいけないスキルを使っちゃったから・・・・・・」
おそるおそる愛那が見当外れのことを言い出した。
(・・・・・・そうだった。昨日そんな話をしたな)
「怒ってないよ。ここには俺とマナしかいないから」
「誰かに覗かれたりとか」
「大丈夫。スキルで確認しているから」
ガバッと愛那が顔を上げた。
見えないが、そうであろうという気配。
ライツは見えない愛那に問いかける。
「どうした?」
「魔法!」
「?」
「攻撃魔法を教えてください!」
「いきなりどうしたんだ? もちろんマナが望むなら教えるつもりでいたが」
「魔物を討伐しなきゃいけないんでしょう? 救世主としてやることやらなきゃ次に進めない!」
「次?」
ライツは首を傾げた。
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