ごめんなさい。俺の運命の恋人が超絶お怒りです。

しーぼっくす。

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 第72話:俺とは違う。

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 それを知らされたライツは表情を無くした。
 モランがまだ何か話しているが、ライツの耳には届かない。
(そっくり? 俺の声が? マナの大好きな初恋の相手と?)
 何だそれは・・・・・・と思う。
 マナが俺の前で、真っ赤になったり、照れたり可愛い顔をしていたのは、好きな男と同じ声だったから?
 ライツが俯き頭を片手で支える。
(元いた世界に、好きな男がいたのか。・・・・・・そうか、そうだな。当たり前だ。あの年頃の女の子なら好きな相手くらいいて当然だろう)
 俺とは違う。
 俺は子供の頃から【鑑定】の中の【神託】で、俺には【運命の恋人】がいるのだと知り、ずっとその相手を探してきた。
 周囲の同じ年頃の者達が恋に身をやつしても、自分だけは誰に心惹かれることなくこの歳まで生きてきた。
 そして昨日、ようやくマナが。
 俺の【運命の恋人】が姿を現した。
 俺は当然のように彼女に心惹かれ、当然のようにきっと彼女も俺のことを好きになってくれるだろうと・・・・・・自惚れていた。

「ライツ様? ライツ様!」
 ハッと顔を上げる。
 そこには心配そうにこちらを見ている顔が二つ。
「すまない」
 ライツは立ち上がって言った。
「考えたいことがある。しばらく一人にしてくれ」
 そう言い残し、ライツは部屋を出て自室へと向かった。


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