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第29話:お話ししてみた
しおりを挟む「えっと・・・・・・」
大人しく腕の中にいる愛那にライツは語りかける。
「隣に、座ってもいいかな?」
知らない優しそうな男の人に抱きしめられているこの状況に愛那は混乱している。
(それは! この状況よりは心臓に優しいですけど! それより・・・・・・)
「あの・・・・・・あなたは誰ですか? 何で私の名前を知っているの?」
「俺の名はライツ・ルザハーツ。君の名は・・・・・・神様におしえてもらったんだ」
「え!?」
(神様? え? 冗談? ううん。異世界だもの。普通なのかも・・・・・・)
「この世界で、君の名前を知っているのは俺だけだよ。君の居場所がわかるのも俺だけ。マナは俺が守る。マナの保護者は俺だ。神様がそう決めた」
「神様が?」
「うん」
ライツは愛那から離れるとベンチの周りを移動する。
愛那は目の前に立つライツを見上げポカンと口を開けた。
(格好いい人・・・・・・)
ボウッとしている愛那にライツは左手を差し出した。
「え?」
「手を、繋いでもいいかな?」
「・・・・・・逃げないように?」
「うん。すぐ捕まえるけどね」
ニッと笑う。
「安心のために。駄目かな?」
愛那は少し悩んでおそるおそる手を繋いだ。
ライツは笑顔を見せ、愛那の隣に座る。
「ありがとう」
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