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第27話:えっと、ごめんね?
しおりを挟むライツが過去、魔力について【鑑定】で確認してきた平均がある。
一般の者が500前後。
魔法使いが1200前後。
騎士団に入団している者は2000前後。
魔力は生まれた時の数値からそんなには変動しない。
限界まで魔力を使うと数値が上がっていくことがわかった。
ライツが初めて【鑑定】で自分の魔力を確認した数値が30000。
現在が35000で5000増えた。
初代国王の血筋である王族の魔力は高い。
今生存している者の中で一番高い数値を持つのがライツだ。
そのライツが唖然とするほどの数値。
(1000000・・・・・・とんでもないな。魔力切れの心配がいらない。まさしく救世主、だな)
【言語理解】は初代国王も持っていたスキルだ。
異世界召喚された者に神が与えたスキル。
異世界であれば言語が違うのは当然。
話すことも聞き取ることも文字の読み書きすらも自由自在だという。
召喚した者にも召喚された者にもありがたいスキルといえる。
(【透過/30】これが姿を消すスキルだろう。【風魔法】は先程覚えたばかりのはずだから、召喚される前に彼女が持っていたスキルはこの【透過】のみ? これだけの魔力を持ちながら?)
とりあえず【透過】以外にやっかいなスキルは持っていないことに安心した。
ライツは称号の【運命の恋人】を最後に見つめ【鑑定】を終了させる。
【索敵】は移動されたら分からなくなるのでそのまま。
(そういえば、最後の神託がなかったな。・・・・・・運命の恋人に出会えたから?)
一息吐いて歩き出す。
ベンチの後ろから。
気配を消して、ゆっくりと。
すると突然。
「どうしよぉ・・・・・・」
聞こえてきた女の子の声に足を止めた。
「困ったなぁ。冒険者ギルドがダメならどこで稼げばいいのよぉ」
姿の見えないベンチの方から聞こえてくる。
(もしかして、彼女が冒険者ギルドにいたのは、冒険者になってお金を稼ぐためだったのか?)
「お腹すいたよぉ、今日どこで寝ればいいのよぉ・・・・・・」
すん。と鼻をならす音と、切ない声にライツが己の口を掌で覆った。
(か、かわいい・・・・・・じゃなく! 申し訳ない!)
ライツが足早に近づく。
そしてそこに座っているだろう相手をベンチの後ろから抱きしめた。
「!?」
「・・・・・・えっと、ごめんね? 捕まえた」
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