ごめんなさい。俺の運命の恋人が超絶お怒りです。

しーぼっくす。

文字の大きさ
上 下
23 / 126

 第23話:運命の恋人とすれ違いました

しおりを挟む

「ここ、ですか?」
「冒険者ギルド?」
 ハリアスとモランにライツは「そのようだ」と答えた。
【索敵】の地図のハートマークが冒険者ギルドの建物の中で点滅している。
(ここに異世界から召喚された少女、俺の【運命の恋人】がいる)
 冒険者ギルドの看板を見上げライツは思い返す。
【鑑定】が使えると知った子供の頃から、ライツはずっと探し続けてきた。
 人物を【鑑定】すると、最後の神託の所に一言、必ず書かれてあったのだ。

 神託:【この者はあなたの運命の恋人ではありません】

 運命の恋人ではないということは、運命の恋人がどこかにいる、ということだ。
 ライツは最初、自分と将来結婚してもおかしくない家柄の令嬢と逢う機会があれば、魔力の残量が許す限り【鑑定】をして運命の恋人を探した。
 しかし、いつまでたっても見つからない。
 なので捜索範囲を広げた。
 身分問わず探してみた。
 それでも見つからない。
 年齢の幅を広げてみても、見つからない。
 この【鑑定】でライツがずっと恐れていたのは、性別年齢に構わず鑑定の相手が人間であれば、必ず最後に【この者はあなたの運命の恋人ではありません】と書かれてあることだった。
 己の結婚相手として想像もつかないような、同性であったり、親世代祖父母世代の者であったり、性格がどうにも好ましく思えない者だったり、犯罪者であったり、運命の恋人を探す以外の目的で様々な相手を【鑑定】してきた時に、最後の一文を読む恐怖。
 おそるおそるライツはそれを確認し、何度も安堵し続けてきた・・・・・・。
「神様、俺の運命の相手が誰なのか教えて下さい」
 いいかげん降参する思いでそう願ってみても、神託には【いつか出会えます】と書かれるのみ。
 ようやく知ることの出来た今日(異世界にいるならいると教えてくれても・・・・・・)と、思いもしたが、神様相手にそんな恨み言を言ってもしょうがない。
(長かった・・・・・・。ようやく会うことが出来る。探し続けてきた俺の運命に)
 ライツは入り交じる緊張と高揚を落ち着かせ、冒険者ギルドの中へと足を進めた。
【索敵】の地図を確認する。
 二階にいる。
 階段へと進むライツと後ろに続く二人。
 三人の引き締めた表情が崩れたのは階段を半分上った辺りだった。
 ドダダダダダダ!
 と、何かがすれ違った。
 何の姿も見えなかったが、明らかに何かが三人の横をすれ違ったのだ。
「は?」
「何だ今のは?」
 ハリアスとモランが声を上げる。
 ライツは慌てて振り返った。
 何も見えない。
 が、【索敵】のハートマークは急激にここから移動していた。
(一瞬だけ、俺の手の届く位置に、俺の運命の恋人がいた)
 まったく姿は見えなかったけれど・・・・・・。


しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。

恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。 キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。 けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。 セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。 キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。 『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』 キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。   そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。 ※ゆるふわ設定 ※ご都合主義 ※一話の長さがバラバラになりがち。 ※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。 ※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。

「あなたの好きなひとを盗るつもりなんてなかった。どうか許して」と親友に謝られたけど、その男性は私の好きなひとではありません。まあいっか。

石河 翠
恋愛
真面目が取り柄のハリエットには、同い年の従姉妹エミリーがいる。母親同士の仲が悪く、二人は何かにつけ比較されてきた。 ある日招待されたお茶会にて、ハリエットは突然エミリーから謝られる。なんとエミリーは、ハリエットの好きなひとを盗ってしまったのだという。エミリーの母親は、ハリエットを出し抜けてご機嫌の様子。 ところが、紹介された男性はハリエットの好きなひととは全くの別人。しかもエミリーは勘違いしているわけではないらしい。そこでハリエットは伯母の誤解を解かないまま、エミリーの結婚式への出席を希望し……。 母親の束縛から逃れて初恋を叶えるしたたかなヒロインと恋人を溺愛する腹黒ヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:23852097)をお借りしております。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

僕は君を思うと吐き気がする

月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい

春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。 そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか? 婚約者が不貞をしたのは私のせいで、 婚約破棄を命じられたのも私のせいですって? うふふ。面白いことを仰いますわね。 ※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。 ※カクヨムにも投稿しています。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

処理中です...