ごめんなさい。俺の運命の恋人が超絶お怒りです。

しーぼっくす。

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 第22話:逃げろ!

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「ま、・・・・・・幻のスキル? 【鑑定】が?」 
(知ってる。【鑑定】って、あれよね? 調べたい物のステータスを見る能力だよね。幻ってことは、今この世界に【鑑定】を使える人はいないってこと?)
(え~? ステータスも鑑定もないなんて困る! レベルアップとか、異世界ファンタジーのお楽しみでしょ~!)
 ショックを受ける愛那。
 ダルサスが見えない幽霊に続けて話しかける。
「あなたはどういう人生を送ってきたのか。こんな常識的なことを知らないなんて・・・・・・。己の持つ才能を探し、能力を伸ばすためにある教育施設、学校へ行っていなかった・・・・・・ということになる」
 ギクッ!
「び、病弱だったのじゃ・・・・・・。ベッドで過ごすだけの人生じゃったのじゃ」
「それは・・・・・・気の毒に」
 信じた!?
(うああ、同情されちゃった! 嘘ついてごめんなさい~!)
 ダルサスの眼差しに心をえぐられ、頭を抱えながら心の中で謝罪する愛那。
「ま、魔法攻撃のやり方を教えてくれんかのぉ? 一度だけ試してみたいんじゃ、試してみてダメなら諦めて成仏出来ると思うんじゃ・・・・・・」
「魔法を?」
「風・・・・・・風魔法がいいのぉ。あの石は魔法を吸収するんじゃろう? わしも少年達のようにやってみたくなったんじゃあ」
(炎は火事になったら恐いし、水は水浸しが恐い。最初に試すなら風よね)
「風魔法か・・・・・・俺も使えるが、やり方って言われてもな・・・・・・。普通は無理ですよ? まれに才能が高く、魔法を最初から使える者もいるが・・・・・・」
「いいんじゃあ~。試してみたいだけなんじゃあ~」
(救世主だから才能はあると思うの!!)
 ダルサスが戸惑いながら「それじゃあ」と歩き出す。
「石からこの位の距離に立って」
 少年達が最初試した石から五メートルの距離。
(ありがとう! ダルサス先生~!)
 ウキウキと言われた場所へと移動する愛那。
「手を、前に出して。体の中の魔力を意識する。そして『風よ』と声をかけ、風のイメージを魔力へと混ぜ込み、掌から・・・・・・放つ!」
 ゴォオオウ!
 石が光る。
「なるほど・・・・・・。手を前に出して、魔力を意識し・・・・・・風よ!」
(風をイメージ!)
 愛那は目を閉じ、渦巻く風と魔力を混じり合わせる。
「放つ!」
 ゴォォォォッ!!
 ピカァァァァ
「ひかっ・・・・・・!」
 ダルサスが口を大きく開けて驚いていると、「やったー!」という若い女の子の声が聞こえてきて更に驚く。
(はっ! しまった!)
 愛那は思わず素の声を上げてしまい、慌てて口をふさぐ。
「や、やったのじゃあ。これで成仏出来るのじゃあ。ありがとうなのじゃあ~!」
(逃げろ!)
 愛那は脱兎のごとくその場から逃げ出した。


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