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第18話:冒険者ギルドの資格試験
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二階は体育館のような作りだった。
大きな魔法陣が描かれ、その中央に高さ二メートル位の、ゴツゴツとした石の塊が置かれてある。
壁際で椅子に座っていた男が立ち上がる。
ギルド職員の制服は着ておらず、運動をするような動きやすい恰好をしている。
(あの人強そう。すごい筋肉)
「ダルサスさん。こちらの三名です。お願いします」
ダルサスと呼ばれた黒髪の男は、ギルド職員の男から書類を受け取る。
「俺はここの試験官、ダルサス・ガルズだ」
そう挨拶して少年達が先程記入した書類に目を通す。
「14歳か、若いな。学友か?」
「は、はい」
緊張している少年達が頷き一人が答える。
「火魔法を使うサム・アルベルトは?」
「オレです」
茶髪の少年が答える。
「風魔法のサーベン・ハルツ」
「僕です」
金髪の少年が答える。
「水魔法のトーマ・ダッセル」
「おれです」
赤茶髪の少年が答える。
「冒険者ギルドの登録は13歳からだが、魔法使いは通常、学校を卒業してから登録に来る者が多い。余程自分の能力に自信があるということか?」
ダルサスがそう少年達に問いかける。
三人は目線を合わせた後、言いづらそうにサムが答える。
「いえ、自信なんてオレ達もまだ。・・・・・・学校の先生に勧められたから来たんです」
「・・・・・・おれ達平民だから」
「平民だから?」
ダルサスが曇った表情のトーマに聞き返す。
「魔物の討伐に人手が足りないからって」
「成績良くって、優秀だからとか言ってたけど、同じ位の実力の貴族の学生には、声かけなんてしてないくせに」
「そうか・・・・・・。家族は何て言ってた?」
「こんなご時世だから仕方ないって」
「稼げば、家の生活も楽になるし」
「うん」
(この子達、まだ学生で、好きで冒険者ギルドの登録に来たわけじゃないのね)
愛那は不本意な顔をした三人の少年を見て思う。
「なるほどな。まあ、言いたいことはあるが、とりあえず、実力を見てからにしよう」
大きな魔法陣が描かれ、その中央に高さ二メートル位の、ゴツゴツとした石の塊が置かれてある。
壁際で椅子に座っていた男が立ち上がる。
ギルド職員の制服は着ておらず、運動をするような動きやすい恰好をしている。
(あの人強そう。すごい筋肉)
「ダルサスさん。こちらの三名です。お願いします」
ダルサスと呼ばれた黒髪の男は、ギルド職員の男から書類を受け取る。
「俺はここの試験官、ダルサス・ガルズだ」
そう挨拶して少年達が先程記入した書類に目を通す。
「14歳か、若いな。学友か?」
「は、はい」
緊張している少年達が頷き一人が答える。
「火魔法を使うサム・アルベルトは?」
「オレです」
茶髪の少年が答える。
「風魔法のサーベン・ハルツ」
「僕です」
金髪の少年が答える。
「水魔法のトーマ・ダッセル」
「おれです」
赤茶髪の少年が答える。
「冒険者ギルドの登録は13歳からだが、魔法使いは通常、学校を卒業してから登録に来る者が多い。余程自分の能力に自信があるということか?」
ダルサスがそう少年達に問いかける。
三人は目線を合わせた後、言いづらそうにサムが答える。
「いえ、自信なんてオレ達もまだ。・・・・・・学校の先生に勧められたから来たんです」
「・・・・・・おれ達平民だから」
「平民だから?」
ダルサスが曇った表情のトーマに聞き返す。
「魔物の討伐に人手が足りないからって」
「成績良くって、優秀だからとか言ってたけど、同じ位の実力の貴族の学生には、声かけなんてしてないくせに」
「そうか・・・・・・。家族は何て言ってた?」
「こんなご時世だから仕方ないって」
「稼げば、家の生活も楽になるし」
「うん」
(この子達、まだ学生で、好きで冒険者ギルドの登録に来たわけじゃないのね)
愛那は不本意な顔をした三人の少年を見て思う。
「なるほどな。まあ、言いたいことはあるが、とりあえず、実力を見てからにしよう」
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