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第16話:冒険者ギルドにやってきた
しおりを挟む「見つけた!」
大きな建物の前、冒険者ギルドの看板を見上げ声を上げる愛那。
相変わらず姿が透明のままなのは、冒険者ギルドが実際どんな所なのかをまず知るためだ。
何も分からないまま、いきなり冒険者登録をする勇気はさすがになかった。
愛那は開かれた大きな入り口を通って中に入る。
まず目に入ったのは、たくさん設置された椅子。
奥に受付窓口が五つ並んである。
右手の壁にはボードに依頼書が貼り付けてあり、左手には奥に階段、手前にはケースなどに商品を並べたお店がある。
紺色の制服を着たギルドの職員の姿が数名。
冒険者だろう人達の数は少ない。
愛那はまず、冒険者らしき人達がいる、右手の方へと向かった。
剣を腰に差し、防具を身につけている男達二人と、魔法使いの杖を持った女が一人一緒にボードの依頼書を見ながら話をしている。
「各地の依頼書がこんなにも・・・・・・。やはり、どこの騎士団も人手不足だな」
「ああ、どこに行っても魔物の被害と討伐で手が回らないらしい」
「騎士団が弱小の領には、特に人が必要だっていうのに、資金繰りが厳しくて人も回らないってね」
「俺達みたいな冒険者は、思い入れのある故郷とかじゃないかぎり、結局条件の良い所を選んじまうからな」
聞こえてきた会話に愛那の顔が曇る。
(ここでも、町の人達も、聞こえてくるのは魔物被害の話ばかり)
魔物の討伐を期待されて異世界召喚された救世主。
(何で私が、罪悪感を抱かないといけないの・・・・・・)
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