ごめんなさい。俺の運命の恋人が超絶お怒りです。2

しーぼっくす。

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 第6話:魔石

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 ナチェルがスライムのケースが置かれているテーブルの後ろに立つ。
「魔物の気配感知については問題ないようですので、次は魔物の生態についてお話しします。マナ様はどうぞおかけください」
 その言葉に「はい」と応えて用意された椅子へと座る愛那。
(なんだか学校の授業みたい)
 ここはルザハーツ城の騎士専用会議室だ。
 ナチェルの部下の女性騎士が空のケースを片付け、テーブルの上に二つのケースが並べられた。
「スライムはとても興味深い魔物として研究され続けています。マナ様。このスライムを見て気になることはありますか?」
「えっ? ・・・・・・と」
(わかっています。「さわり心地を知りたい!」とか「何で顔がないの?」とかじゃなく、ですよね?)
「色の違いが何なのか? それと、中心部にある石について、ですね」
 愛那の応えに頷くナチェル。
「はい。まずこの中心部にある石についてですが、これは魔石です。魔物の体内に必ずあるものです。魔物は命が絶たれると魔石だけが残ります」
「魔石だけ?」
「そうです。死んだ後、肉体は魔石に吸収されますので」
(肉体を吸収・・・・・・? ということは、魔物を素材とした防具とかは存在しない? ・・・・・・って、またあっちの情報が!)
 漫画やアニメの異世界知識とつい比べてしまう癖が抜けない。
「つまり、魔物を討伐すると魔石だけが残る。ということですね」
「その通りです。強い魔物であればあるほど、石のサイズが大きく、その魔石の価値が高くなります」
(そっか。討伐した後、魔石だけ手に入れて遺体の回収なんか必要ないというのは楽でいいのかも)
「魔石は何に使われるんですか?」
「主に魔道具ですね。いろいろありますが、あそこにあるあれもそうです」
 そう言ってナチェルが指し示した先には壁に掛けられたランプ。
「ランプに使用している魔石は、ちょうどこのスライムの魔石のように小さなものになります」
「なるほど、これがランプに」
 そう言って愛那がスライムの中心にある魔石を見る。
「いえ、マナ様。この二匹の魔石はランプには使えません」
「え?」
「そこでマナ様が先程おっしゃっていた、色の違いについてです」
 愛那が頷く。
「ランプには、光の魔力石である黄色いスライムの魔石が使用されています」
「魔力石・・・・・・。つまり、それぞれの魔法の属性によって色が違うということですか?」
「そうです。マナ様はすでに、風・火・水・地・光・闇。これらの魔法を習得しておられます。この二匹のスライムがどの属性のものか、わかりますか?」
「え、っと」
(これは、見たままのイメージでいいんじゃない?)
「青が水。赤が火。ですか?」
 ナチェルが正解という風に微笑みながら頷き(よし! 当たった!)と愛那が笑顔を見せた。
「風は緑、火は赤、水は青、地は茶、光は黄、闇は黒。そして・・・・・・」
「そして?」
「聖は紫です」
「聖魔法って、怪我や病気を治療する魔法のことですよね?」
「はい。聖魔法を使うことの出来る魔法使いはとても少ないので重宝されています。同じように紫のスライムはめったに見つけることが出来ず、幻のスライムとも呼ばれています。研究所からの捕獲報酬額が金貨五百枚で、三年に一匹見つかるか見つからないかという珍しいスライムです」
「それは・・・・・・宝探しみたいに夢のあるスライムですね」
(・・・・・・なんて言ってみたけど、実際金貨五百枚ってどれだけの価値が? ・・・・・・神様! 私この世界のこと、もっとたくさん勉強しますね!)


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