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その後の話
侯爵家の妊活事情③
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・R18にするか迷っています(苦手な方は飛ばしてください)
待ちに待ったリルのヒートが始まった。
週明けの午後、二人でおやつ休憩をしている時のことだった。
「ようやくショコラの美味しい季節になったから」
そう言ってアルコールの入っていないものをサリウスが用意してくれていたのだが、何の因果か、それを口に放り込まれた瞬間、リルの身体が熱く火照り出した。
途端に花橘を連想させるフェロモンが首筋から香り、そのまま一気に部屋中を満たす。
このまま犯してしまいたい衝動に襲われながらも、サリウスはリルを抱え、なんとか事前に用意していた転移陣に飛び乗った。
座標はリルの小屋一択だ。
即座に発動する魔法。瞬時に蛍光色の強い黄緑の光に包まれた。
眩さのあまり、リルもサリウスも思わず目を瞑る。
そして、次に薄目を開けた時にはもう、見慣れたベッドの前にいた。
「サリウスさん……」
腕の中で瞳を潤ませたリルがか細く鳴く。
ここにはリルとサリウスの二人だけ。
息子も使用人もいない空間で遠慮など必要がなかった。
最後の理性を振り絞り、そっとリルを掛け布の上に降ろして、そのままのしかかる。
逸る気持ちに身を任せ、口元にキスを落とすとそれだけでクラクラ酔いが回るようだった。
リルの首筋からは一層濃い花橘のフェロモンが留めなく溢れ出している。
そこに鼻先を埋めれば、サリウスの脳はあっけなく狼獣人に陥落した。
これ以上は何も考えられない。ただ本能に従うのみ。
「いいか?」
その問いは声になっていたのか否か。
もはやサリウスにもわからないが、リルがコクリと頷いたような気がして、サリウスは性急に服を剝ぎ取ると、リルの柔らかな毛並みに顔を埋めた。
「ふふっ、くすぐったい」
まったく、色っぽいのか素直なのか。
身をくねらせる姿に煽られて、
「好きにしていいですからね」
妻が委ねてくれるのをいいことに、サリウスは好き勝手に愛撫していく。
口に毛が入るのも厭わず、耳を食み、首筋に舌を這わし、乳房を吸う。
どこを舐めてもリルは甘い。
胸元をまさぐりながら彼の長い舌にしゃぶりつくことも忘れない。
逃げる腰を押さえ、彼の舌を追って口内に押し入れば、混ざった唾液がリルの口から零れた。
もっと、もっと溺れていい。
息つく暇もないリルが苦しそうに、
「んふっ、んんっ」
と浅く喘いで溢す吐息も、今のサリウスにとっては興奮材料にしかならない。
キスから解放してやる頃にはすっかり出来上がっていて、下肢に手を伸ばすとすでに兆していた。
それはサリウスも同じで、ぼぅっとベッドに沈み込んでいる妻の手を自身のものに添えさせれば、
「えっ、もうこんなに……?」
急に我に返ったのか、上体を起こしたリルが小さく驚きの悲鳴を上げる。
結婚してもう何年も経っていて、何度も何度も抱き潰しているというのに、この初々しさはいったいなんだ。
いつまで経っても乱れきるまでは生娘のような反応で、その癖、挿れてからは回を重ねるごとに艶やかになっていく。
惚けた調子で、己のものをジッと見つめられたサリウスが、思わず欲望を膨らませるのも無理はない。
こんなの自然の摂理だ。
今更恥じらうことでもない。
そんな空気に流されて、今度はぼぅっとなったリルが徐ろにサリウスのそこへ舌を伸ばす。
苦くてしょっぱい。
美味しくないのに、好きな味。
脳が自動的にそう判断したのだろうか。
リルは操られている時のようなフワフワした心地で、サリウスの陰茎を擦り、先端から湧いて出る種を溢すことなく味わう。
もったいない。
その一心でチロチロ舐め取っていたのにサリウスは、
「こら、これはお前の中に注ぐものだ」
とリルを引き剝がした。
「あっ、まって」
ムゥッと不満になったのは一瞬にも満たず、すかさず中に長大なものがぶち込まれる。
「ンンンッ!」
慣らさなくてもリルの身体はサリウスの形をよく覚えていた。
トロトロなのにキュッと締った肉が纏わりついてきて、突くたびに音を立ててサリウスを歓迎する。
「やっ、アッ」
一番奥をこじ開けるようにググッと押せば、背中がしなって、フェロモンたっぷりの蜜が撒き散らされる。
サリウスはカハッとリルが弛緩した隙に閉ざされた最奥の場所に忍び込み、そのまま熱を打ちつけた。
そんな横暴に応え盛大に達したばかりのはずなのに、貪欲な妻は内側をキュンキュンと収縮させ、サリウスを放すまいと健気に振舞う。
「ングッ」
そんなことをされたらひとたまりもなくて、堪え性なくサリウスはリルの中でたちまち果ててしまった。
まあ、目的が目的なためだけに我慢の必要もないのだが。
リルも再び絶頂を駆け上がったらしく、
「ひゃああ……あったかあい」
と自身の腹に手を当てて満足気な様子。
このまま二回戦に突入するのも、お約束の展開だろう。
発情期はまだまだ長い。
念願のヒートなのだ、楽しまなければ損というもの。
二人は小さな家の中で、もう一回、また一回と気が済むまで互いを求め合う。
最中、リルからサリウスの首筋に腕を絡めることもあれば、サリウスがいたずらにリルへしかけることもあった。
寝食を忘れて戯れて、ひとしきり昇りつめたところで軽食を口にするが、そのうちにいつの間にかまた舌先を絡めているのだ。
「せっかく注いだんだ、零れないように蓋をしないと」
「もうっ、何を言っているんですかっ!」
何度繰り返したかわからないやり取りに二人して笑いながら、また深いところで繋がっていく。
そして、ようやくヒートが落ち着いた頃にはリルの全身はサリウスの吐いた精に塗れ、腹はタポンッと膨らんでいた。
待ちに待ったリルのヒートが始まった。
週明けの午後、二人でおやつ休憩をしている時のことだった。
「ようやくショコラの美味しい季節になったから」
そう言ってアルコールの入っていないものをサリウスが用意してくれていたのだが、何の因果か、それを口に放り込まれた瞬間、リルの身体が熱く火照り出した。
途端に花橘を連想させるフェロモンが首筋から香り、そのまま一気に部屋中を満たす。
このまま犯してしまいたい衝動に襲われながらも、サリウスはリルを抱え、なんとか事前に用意していた転移陣に飛び乗った。
座標はリルの小屋一択だ。
即座に発動する魔法。瞬時に蛍光色の強い黄緑の光に包まれた。
眩さのあまり、リルもサリウスも思わず目を瞑る。
そして、次に薄目を開けた時にはもう、見慣れたベッドの前にいた。
「サリウスさん……」
腕の中で瞳を潤ませたリルがか細く鳴く。
ここにはリルとサリウスの二人だけ。
息子も使用人もいない空間で遠慮など必要がなかった。
最後の理性を振り絞り、そっとリルを掛け布の上に降ろして、そのままのしかかる。
逸る気持ちに身を任せ、口元にキスを落とすとそれだけでクラクラ酔いが回るようだった。
リルの首筋からは一層濃い花橘のフェロモンが留めなく溢れ出している。
そこに鼻先を埋めれば、サリウスの脳はあっけなく狼獣人に陥落した。
これ以上は何も考えられない。ただ本能に従うのみ。
「いいか?」
その問いは声になっていたのか否か。
もはやサリウスにもわからないが、リルがコクリと頷いたような気がして、サリウスは性急に服を剝ぎ取ると、リルの柔らかな毛並みに顔を埋めた。
「ふふっ、くすぐったい」
まったく、色っぽいのか素直なのか。
身をくねらせる姿に煽られて、
「好きにしていいですからね」
妻が委ねてくれるのをいいことに、サリウスは好き勝手に愛撫していく。
口に毛が入るのも厭わず、耳を食み、首筋に舌を這わし、乳房を吸う。
どこを舐めてもリルは甘い。
胸元をまさぐりながら彼の長い舌にしゃぶりつくことも忘れない。
逃げる腰を押さえ、彼の舌を追って口内に押し入れば、混ざった唾液がリルの口から零れた。
もっと、もっと溺れていい。
息つく暇もないリルが苦しそうに、
「んふっ、んんっ」
と浅く喘いで溢す吐息も、今のサリウスにとっては興奮材料にしかならない。
キスから解放してやる頃にはすっかり出来上がっていて、下肢に手を伸ばすとすでに兆していた。
それはサリウスも同じで、ぼぅっとベッドに沈み込んでいる妻の手を自身のものに添えさせれば、
「えっ、もうこんなに……?」
急に我に返ったのか、上体を起こしたリルが小さく驚きの悲鳴を上げる。
結婚してもう何年も経っていて、何度も何度も抱き潰しているというのに、この初々しさはいったいなんだ。
いつまで経っても乱れきるまでは生娘のような反応で、その癖、挿れてからは回を重ねるごとに艶やかになっていく。
惚けた調子で、己のものをジッと見つめられたサリウスが、思わず欲望を膨らませるのも無理はない。
こんなの自然の摂理だ。
今更恥じらうことでもない。
そんな空気に流されて、今度はぼぅっとなったリルが徐ろにサリウスのそこへ舌を伸ばす。
苦くてしょっぱい。
美味しくないのに、好きな味。
脳が自動的にそう判断したのだろうか。
リルは操られている時のようなフワフワした心地で、サリウスの陰茎を擦り、先端から湧いて出る種を溢すことなく味わう。
もったいない。
その一心でチロチロ舐め取っていたのにサリウスは、
「こら、これはお前の中に注ぐものだ」
とリルを引き剝がした。
「あっ、まって」
ムゥッと不満になったのは一瞬にも満たず、すかさず中に長大なものがぶち込まれる。
「ンンンッ!」
慣らさなくてもリルの身体はサリウスの形をよく覚えていた。
トロトロなのにキュッと締った肉が纏わりついてきて、突くたびに音を立ててサリウスを歓迎する。
「やっ、アッ」
一番奥をこじ開けるようにググッと押せば、背中がしなって、フェロモンたっぷりの蜜が撒き散らされる。
サリウスはカハッとリルが弛緩した隙に閉ざされた最奥の場所に忍び込み、そのまま熱を打ちつけた。
そんな横暴に応え盛大に達したばかりのはずなのに、貪欲な妻は内側をキュンキュンと収縮させ、サリウスを放すまいと健気に振舞う。
「ングッ」
そんなことをされたらひとたまりもなくて、堪え性なくサリウスはリルの中でたちまち果ててしまった。
まあ、目的が目的なためだけに我慢の必要もないのだが。
リルも再び絶頂を駆け上がったらしく、
「ひゃああ……あったかあい」
と自身の腹に手を当てて満足気な様子。
このまま二回戦に突入するのも、お約束の展開だろう。
発情期はまだまだ長い。
念願のヒートなのだ、楽しまなければ損というもの。
二人は小さな家の中で、もう一回、また一回と気が済むまで互いを求め合う。
最中、リルからサリウスの首筋に腕を絡めることもあれば、サリウスがいたずらにリルへしかけることもあった。
寝食を忘れて戯れて、ひとしきり昇りつめたところで軽食を口にするが、そのうちにいつの間にかまた舌先を絡めているのだ。
「せっかく注いだんだ、零れないように蓋をしないと」
「もうっ、何を言っているんですかっ!」
何度繰り返したかわからないやり取りに二人して笑いながら、また深いところで繋がっていく。
そして、ようやくヒートが落ち着いた頃にはリルの全身はサリウスの吐いた精に塗れ、腹はタポンッと膨らんでいた。
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