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食食食
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茶碗と箸が擦れる音が聞こえる。
と、同時に空気だけ吸い込んでいるのではないかと思えるような息遣いが広がる。むしゃむしゃと音をたてながら。
少し落ち着いたと思ったら、別の皿を手に取り、貪り喰らう。皿の上の中華料理はみるみるうちに平らげられていく。
回りの人間はその光景をただ唖然としてみいっている。店主にいたっては中華鍋を振るう手すら止めてしまっていた。鍋の中で照り映えた牛肉と野菜たちはぐつぐつと煮えたぎっている。
人とは思えない。
人外。
人の形を模した何か。
下町のこじんまりとした小さな中華料理屋で、周りの年配が自分たちと比べれば圧倒的に若い、それこそ高校生みたいな、人間とおぼしき何かが目の前にいればそう形容してしまうのも無理はないことだった。
呟かれる蔑むような言葉などは他所に、青年はひたすらに口と皿を箸で、スプーンで往復する。
ラーメンも青椒肉絲も酢豚も、皿に何がのっていたか分からなくなるほど綺麗に平らげていく。
彼のテーブルの脇には食べ終えた皿が綺麗に積み上げられている。10で区切られたその皿の山は4人用丸テーブルの半分を埋めていた。優に100皿は越えていよう。
「・・・・うまい・・・おかわり、お願いします。」
青年は口の周りに油と肉汁を纏わせながら呟く。
咀嚼音と空気を吸い込む彼の音しか響いていなかった店内ではそんな僅かな呟きもしっかりと、はっきりと店主に届いた。
「・・・お、おうよ」
炒めすぎた青椒肉絲が再び火に煽られながら食欲を刺激する香りを振り撒きながら宙を舞う。
周りの客たちも止まっていた手を動かし始める。中には驚きの余り落としてしまった唐揚げを拾う者もいた。
青年は喰らいつづける。炒飯を、エビチリを、天津飯を。
ただ、ひたすらに。
と、同時に空気だけ吸い込んでいるのではないかと思えるような息遣いが広がる。むしゃむしゃと音をたてながら。
少し落ち着いたと思ったら、別の皿を手に取り、貪り喰らう。皿の上の中華料理はみるみるうちに平らげられていく。
回りの人間はその光景をただ唖然としてみいっている。店主にいたっては中華鍋を振るう手すら止めてしまっていた。鍋の中で照り映えた牛肉と野菜たちはぐつぐつと煮えたぎっている。
人とは思えない。
人外。
人の形を模した何か。
下町のこじんまりとした小さな中華料理屋で、周りの年配が自分たちと比べれば圧倒的に若い、それこそ高校生みたいな、人間とおぼしき何かが目の前にいればそう形容してしまうのも無理はないことだった。
呟かれる蔑むような言葉などは他所に、青年はひたすらに口と皿を箸で、スプーンで往復する。
ラーメンも青椒肉絲も酢豚も、皿に何がのっていたか分からなくなるほど綺麗に平らげていく。
彼のテーブルの脇には食べ終えた皿が綺麗に積み上げられている。10で区切られたその皿の山は4人用丸テーブルの半分を埋めていた。優に100皿は越えていよう。
「・・・・うまい・・・おかわり、お願いします。」
青年は口の周りに油と肉汁を纏わせながら呟く。
咀嚼音と空気を吸い込む彼の音しか響いていなかった店内ではそんな僅かな呟きもしっかりと、はっきりと店主に届いた。
「・・・お、おうよ」
炒めすぎた青椒肉絲が再び火に煽られながら食欲を刺激する香りを振り撒きながら宙を舞う。
周りの客たちも止まっていた手を動かし始める。中には驚きの余り落としてしまった唐揚げを拾う者もいた。
青年は喰らいつづける。炒飯を、エビチリを、天津飯を。
ただ、ひたすらに。
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