書きなぐり草子

砕田みつを

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I wanna I

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ー結婚したい

それは愛じゃない。
ただの依存だ。

結婚したいという願望と、愛を育みたいという感情は根本的に決別している。

愛はもっと尊い。

愛はもっと美しい。

愛はもっと儚い。

即物的で、原始的な獣でしかない人間が、愛などと言う言葉を冠して恋愛だとか結婚だとかほざいているのを見ると呆れてなにもいえない。恋愛や結婚が滑稽なのではない。そこに愛があると心のそこから信じている人間を見るに耐えないのだ。

あなたの言う愛は、愛よりずっと卑しくて、醜くて、ありふれた肉欲でしかない、依存欲求でしかない。錯覚だ、幻覚だ、思い込みだ。そんな言葉は自分の欲求を隠したまま正当化するための都合の良い紛い物でしかない。その手頃な言葉が、愛である。愛は大衆によって醜悪な欲望の隠れ蓑にされたのだ。

だから、俺はそれが許せない。

人間は傲慢だ。どこまでいってもその事実は変わらない。
生きるために食べている。
生きるために殺している。
生きるために必要でなくても、他の生物の活動を制限している。

それはどう取り繕っても、どれだけ懺悔しても、どれだけ心通わせたつもりでも変わらない残酷な事実である。

人間が真に世界のためだとか、良く生きようとするのなら、一人残らずこの世に人間が居てはならない、と思う。

けど、それは拒む。誰もが拒むだろう。

だって人は傲慢だから。生きたいから。生きたくなくても死にたくはないから。


だから、俺はその傲慢を理解して、自省して、その上で傲慢に生きるしかないと思う。

自分は正しい人間だ、なんて思って生きること自体が傲慢なのだ。

傲慢な自分を認めて、許容して、矯正する。その試行錯誤の繰り返しの先にしか、「良く生きる」ということは実現され得ない。

たとえ「良く生きる」ことで人間の傲慢さを償うことができないと分かっていたとしても、その姿勢だけは崩してはいけない。愚かさから目を逸らさず、泥臭くても傲慢な自分と戦い続ける。

それが傲慢な人間を、延いては自分自身を受け入れるということだから。

だから、俺は愛を信じない。
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