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フォレスタニア調査隊
エルフ国へ3
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翌朝、ログハウスの前で見張りを続けているオレに、フィーナと学園長が声を掛けて来た。
「おはよう、ルーク。」
「お勤めご苦労なのじゃ!」
「あぁ、おはよう。じゃあそろそろ朝食の支度をしてくるか。」
2人に挨拶し、入れ替わりでログハウスに入る。これは見張りを代わって貰ったのだ。これはオレ達の身を案じてのものではない。建前としてはオレ達の身を案じてるんだけど、本音は違う。
要はログハウスを守る為だ。魔物は家とかお構い無しに襲って来る。オレ達は躱せるが、ログハウスは回避出来ない。折角頑張って建てたんだから、壊されたくないだろ?当然ティナ達には正直に話した。
あの時は全員が微妙な顔だったが、オレの言葉を聞いて真剣な表情へと変化したのである。
「出来たての手料理。温かいお風呂。フカフカのベッド。ログハウスが無くなったら全部無くなっちゃうんだけどな~?(チラッ)」
「「「っ!?」」」
「みなさん、交代で守りましょう!」
「そうじゃな!」
「そうね!」
「ご飯を!!」「お風呂を!!」「ベッドを!!」
(みんなチョロ過ぎでしょ!?)
思い付くままに言ったのだが、どうやらそれぞれが守りたい物だったらしい。2時間ずつ交代という意見が出たが、そこは丁重にお断りしておいた。オレの睡眠時間は3時間なので、食後すぐに寝る。起きてから朝までずっと、オレが担当という事になった。学園長に見張りを頼むとか、逆に寝てらんないでしょ。
キツイと思うかもしれないが、実際はそうでもない。そう毎晩毎晩都合良く襲って来るものでもないのだ。好戦的な魔物であっても、全くの無警戒ではない。まぁ、オレが寝てる間にティナが狩り尽くしているという説もある。これは一緒に見張りをしていたフィーナのもの。多分これが真実なのだろう。
あ、オレも討伐はしてるからね?周辺を狩り尽くしたと言っても、1晩あれば移動して来る魔物はいる。襲って来るのは3日に1度って所だけど。
それはともかく、学園長とフィーナの朝食を運んで食べさせる。昨晩は高カロリーだったので、朝食はサラダがメインである。
2人の食事を眺めていると、不意に学園長が疑問を口にした。
「そう言えばティナの姿が見当たらんが、お主達は揃って食事を摂らぬのか?」
「ん?あ~、出来る限り一緒に摂るようにはしてるんだけど、強制ではないかな。」
「何か理由でもあるのか?」
「理由って程のもんでもないけど、それぞれ何かしらの仕事をしてるだろ?食事の時間に気を取られて効率が落ちるのも馬鹿らしいからな。ある程度の時間帯を決めて、その中で摂るようにはしてるぞ。」
「城に居ない事も多いからって、その時間はルークがご相伴してくれるのよ。優しいでしょ?」
「ふむ、なるほどのぉ。ユーナが寂しがっておらんようで安心した。それでティナは何処に行ったのじゃ?」
「食材の配分を考えて決めたメニューを告げたら、食材の補充に向かったよ。草だらけの食事は耐えられないんだと。」
「「草・・・」」
2人が目の前の料理に視線を落として唖然とする。何度も野菜だと言ってるんだが、ティナは聞く耳を持たない。豚に真珠、馬の耳に念仏。ティナの皿に野菜ってところだ。長く生きてるんだが、好みは子供と一緒なんだよな。
「この話はここまでにして、出発の前に聞いておきたい事がある。」
「「?」」
「何故直接王都を目指さないんだ?」
「「・・・・・。」」
「はぁ、やっぱり訳アリか・・・。」
ずっと不自然に思っていた。一般に冒険者というのは、幾つもの村や街を経由して目的地へと向かう。だがそれは何処かのアルピニストとは違う。そこに村があるから、なんて理由ではないのだ。物資の補給という大切な目的があっての事。
だがそれはオレ達には当て嵌まらない。今ティナが食材調達に向かっているのは只の我儘。必要な物は全てアイテムボックスに入っているし、多少不安が残るティナの食料に関しては、ティナが自分で集めている。ならば態々回り道せず、真っ直ぐ王都を目指すべきなのだ。言わば時間と労力、そして物資の無駄だろう。
「到着してから話すつもりじゃったが・・・気付かれたのでは仕方ないのぉ。」
「私が説明するわ。ルークは何故エルフ族が国交を断っているのかわかる?」
「道中が危険だからじゃないのか?」
「違うわ。いえ、それも勿論あるんだけど・・・1番は見た目の問題よ。」
「見た目?・・・奴隷か?」
思い返すと、オレが出会ったエルフは奴隷か高ランクの冒険者ばかり。見目麗しいエルフというのは、良くも悪くも非常に目を引く。それは羨望に限らず、欲望の捌け口になるのだ。
「本当ならエルフ族が住まう土地へは、安全なルートを通るの。でもそれを他国の・・・他種族の者に知られる訳にはいかないわ。」
「つまりオレ達が通ってるのは非正規のルートって訳か。それと王都を目指さないのに、どんな理由が?」
「外部から足を運んだ場合、必ず何処かの村を通るの。そこから王都へ報告に向かうわ。」
「そうしないと王都の入り口で門前払いに遭うのじゃ。」
立ち寄った村から密偵が報告へ向かうのか。どんなヤツが入国したのかを確認するのと、多分危険度を推し量るんだろうな。となると、少し面倒な事になるかもしれない。
「つまりその報せが王都に届き、対応が決まるのを待ってから王都を目指す必要があるのか?」
「えぇ。今までのように、最速で森を抜けるような真似は出来ないわね。」
「う~ん。無理して王都を目指す理由ってあるのかな?」
「それがあるのよ。」
「?」
「村に立ち寄っておきながら、いつまで経っても王都へ来ない。お主ならどう思う?」
「そんなの怪しい・・・そういう事か。」
「そうじゃ。人攫いの疑いアリと、大規模な討伐部隊が編成されるのぅ。」
疑わしきは罰するって事か。物騒な思考だが、被害を最小限に抑える為には効果的だ。それに万が一追求されても、知らぬ存ぜぬを貫き通せばそれで終わるだろう。だが当然の疑問も湧く。
「目的地が王都じゃなかったら?」
「その場合、王都で申請の必要があるって説明するのよ。目的が何であれ、ね。」
「どの道、1度は王都を訪れる事になるのか。仕方ないか。因みに何日くらい時間を潰せばいいんだ?」
「使者が王都へ辿り着くのに3日。そこから1日話し合うとして・・・村を訪れた5日後ならば問題無いじゃろう。」
つまり2日後に村へ到着し、さらに5日。王都に入れるのは1週間後になるか。ちょっとマズイかもしれない。
「難しい顔してどうかしたの?」
「ユーナに渡したシルフィ達のスイーツなんだけど、日程的にギリギリなんだよ。一応作り置きしてる分はあるんだけど・・・何処かで一旦帰る必要があるかもしれない。」
「でも帰るのはマズイんでしょ?・・・何処かに隠して、カレン様に取りに来て貰ったら?」
「そうだな。それしかないかぁ。近くに人が来ない場所ってあるかな?」
「ほとんどがそんな場所じゃぞ?」
「あ・・・」
「けど、カレン様も来ないわよね?」
「うっ・・・」
名案だと思ったんだが、穴だらけだったらしい。確かに人が来ない場所に、カレンが来る理由は無いよな。隠すと言ってもアイテムボックスを放置する訳にいかないし、スイーツなんてもってのほか。オレが頭を抱えていると、戻って来たティナが解決策を提示した。
「エリド村に置くのはどうです?」
「ティナ?・・・それしか無いか。」
辺境であるエリド村は、当然カレンの守備範囲外。だからこそオレはカレンを連れてエリド村を訪れていた。有事の際に活用出来るかもしれないが、無理して行く必要もない。こんな使い方は想定していなかったが、まぁいいだろう。
「じゃあカレンへの連絡を頼むよ。」
「わかりました。」
カレンに連絡するべくティナが立ち去る。
「さて、エルフ国に関して他に聞いておくべき事は?侵入防止の結界なんて無かったりする?」
「そんな非効率なもんがあるわけなかろう。あるとしても精々・・・」
「精々?」
「侵入者を察知する為の結界程度じゃな!」
「ほぉ?ちなみにだが、察知されるとどうなる?」
「国の警戒が引き上げられる。具体的にはエルフ国の守り神が集められると言う話じゃ。」
守り神?この場合の神は比喩なんだろうな。となると、信頼のおける実力者って事になるのか?
「まずはアスコットとエレナね。」
「まずは?他にもいると?」
「えぇ。あの2人が冒険者として最強なのは知ってるでしょ?」
「あぁ。・・・冒険者として?つまり、冒険者以外に最強がいると?」
「おるぞ。エルフ国の双璧と呼ばれる双子の兄妹がの。因みに・・・」
「私の兄と姉よ。」
「兄の名がゴルディオーラ、姉がシルヴァリーナじゃったか?」
「そうね。ディーラ兄さんとリーナ姉さん。どちらも別格の存在だったわ。」
フィーナは家族の事を話したがらなかったが、どうやら生きていたらしい。愛称がゴーラとシーナだと思ったのは内緒だ。どうにも名前の略し方がわからん。適当か?
それよりも、この事実はオレ達に有利なんじゃなかろうか?だって最悪の場合、嫁の両親と兄妹が相手になるのだから。そしてオレの考えなどフィーナにはお見通しだったらしい。
「ルーク?悪いけど私の兄妹を頼る事は出来ないわよ?」
「何で?」
「私、あの2人と仲がいい訳じゃないの。特に不仲でもないんだけど、何を考えているのかわからなくて。」
「双璧は感情に乏しいのじゃ。故に職務に忠実でのぉ。如何に妹と言えど、情に訴えるのは難しいじゃろう。」
「だから頼るならエレナとアスコットにすべきね。」
仲の良い兄妹ばかりじゃないんだし、ここはオレが首を突っ込む事ではないだろう。幾ら旦那とは言え、家族の問題にまで口出しすべきじゃない。相談されたら助けにはなるが、頼られるまでは見守るべきだと思う。
「揉め事を起こす前提で話してるけど、こっちから喧嘩を売るつもりは無いからな?」
「まぁそうなんじゃがな。」
「念の為よ。」
「・・・・・。」
2人がオレをどう思っているのか理解出来た。売られた喧嘩は買うが、こちらから売る事は無い。あれ?結局は揉め事を起こすような考え方になるのか?
「おはよう、ルーク。」
「お勤めご苦労なのじゃ!」
「あぁ、おはよう。じゃあそろそろ朝食の支度をしてくるか。」
2人に挨拶し、入れ替わりでログハウスに入る。これは見張りを代わって貰ったのだ。これはオレ達の身を案じてのものではない。建前としてはオレ達の身を案じてるんだけど、本音は違う。
要はログハウスを守る為だ。魔物は家とかお構い無しに襲って来る。オレ達は躱せるが、ログハウスは回避出来ない。折角頑張って建てたんだから、壊されたくないだろ?当然ティナ達には正直に話した。
あの時は全員が微妙な顔だったが、オレの言葉を聞いて真剣な表情へと変化したのである。
「出来たての手料理。温かいお風呂。フカフカのベッド。ログハウスが無くなったら全部無くなっちゃうんだけどな~?(チラッ)」
「「「っ!?」」」
「みなさん、交代で守りましょう!」
「そうじゃな!」
「そうね!」
「ご飯を!!」「お風呂を!!」「ベッドを!!」
(みんなチョロ過ぎでしょ!?)
思い付くままに言ったのだが、どうやらそれぞれが守りたい物だったらしい。2時間ずつ交代という意見が出たが、そこは丁重にお断りしておいた。オレの睡眠時間は3時間なので、食後すぐに寝る。起きてから朝までずっと、オレが担当という事になった。学園長に見張りを頼むとか、逆に寝てらんないでしょ。
キツイと思うかもしれないが、実際はそうでもない。そう毎晩毎晩都合良く襲って来るものでもないのだ。好戦的な魔物であっても、全くの無警戒ではない。まぁ、オレが寝てる間にティナが狩り尽くしているという説もある。これは一緒に見張りをしていたフィーナのもの。多分これが真実なのだろう。
あ、オレも討伐はしてるからね?周辺を狩り尽くしたと言っても、1晩あれば移動して来る魔物はいる。襲って来るのは3日に1度って所だけど。
それはともかく、学園長とフィーナの朝食を運んで食べさせる。昨晩は高カロリーだったので、朝食はサラダがメインである。
2人の食事を眺めていると、不意に学園長が疑問を口にした。
「そう言えばティナの姿が見当たらんが、お主達は揃って食事を摂らぬのか?」
「ん?あ~、出来る限り一緒に摂るようにはしてるんだけど、強制ではないかな。」
「何か理由でもあるのか?」
「理由って程のもんでもないけど、それぞれ何かしらの仕事をしてるだろ?食事の時間に気を取られて効率が落ちるのも馬鹿らしいからな。ある程度の時間帯を決めて、その中で摂るようにはしてるぞ。」
「城に居ない事も多いからって、その時間はルークがご相伴してくれるのよ。優しいでしょ?」
「ふむ、なるほどのぉ。ユーナが寂しがっておらんようで安心した。それでティナは何処に行ったのじゃ?」
「食材の配分を考えて決めたメニューを告げたら、食材の補充に向かったよ。草だらけの食事は耐えられないんだと。」
「「草・・・」」
2人が目の前の料理に視線を落として唖然とする。何度も野菜だと言ってるんだが、ティナは聞く耳を持たない。豚に真珠、馬の耳に念仏。ティナの皿に野菜ってところだ。長く生きてるんだが、好みは子供と一緒なんだよな。
「この話はここまでにして、出発の前に聞いておきたい事がある。」
「「?」」
「何故直接王都を目指さないんだ?」
「「・・・・・。」」
「はぁ、やっぱり訳アリか・・・。」
ずっと不自然に思っていた。一般に冒険者というのは、幾つもの村や街を経由して目的地へと向かう。だがそれは何処かのアルピニストとは違う。そこに村があるから、なんて理由ではないのだ。物資の補給という大切な目的があっての事。
だがそれはオレ達には当て嵌まらない。今ティナが食材調達に向かっているのは只の我儘。必要な物は全てアイテムボックスに入っているし、多少不安が残るティナの食料に関しては、ティナが自分で集めている。ならば態々回り道せず、真っ直ぐ王都を目指すべきなのだ。言わば時間と労力、そして物資の無駄だろう。
「到着してから話すつもりじゃったが・・・気付かれたのでは仕方ないのぉ。」
「私が説明するわ。ルークは何故エルフ族が国交を断っているのかわかる?」
「道中が危険だからじゃないのか?」
「違うわ。いえ、それも勿論あるんだけど・・・1番は見た目の問題よ。」
「見た目?・・・奴隷か?」
思い返すと、オレが出会ったエルフは奴隷か高ランクの冒険者ばかり。見目麗しいエルフというのは、良くも悪くも非常に目を引く。それは羨望に限らず、欲望の捌け口になるのだ。
「本当ならエルフ族が住まう土地へは、安全なルートを通るの。でもそれを他国の・・・他種族の者に知られる訳にはいかないわ。」
「つまりオレ達が通ってるのは非正規のルートって訳か。それと王都を目指さないのに、どんな理由が?」
「外部から足を運んだ場合、必ず何処かの村を通るの。そこから王都へ報告に向かうわ。」
「そうしないと王都の入り口で門前払いに遭うのじゃ。」
立ち寄った村から密偵が報告へ向かうのか。どんなヤツが入国したのかを確認するのと、多分危険度を推し量るんだろうな。となると、少し面倒な事になるかもしれない。
「つまりその報せが王都に届き、対応が決まるのを待ってから王都を目指す必要があるのか?」
「えぇ。今までのように、最速で森を抜けるような真似は出来ないわね。」
「う~ん。無理して王都を目指す理由ってあるのかな?」
「それがあるのよ。」
「?」
「村に立ち寄っておきながら、いつまで経っても王都へ来ない。お主ならどう思う?」
「そんなの怪しい・・・そういう事か。」
「そうじゃ。人攫いの疑いアリと、大規模な討伐部隊が編成されるのぅ。」
疑わしきは罰するって事か。物騒な思考だが、被害を最小限に抑える為には効果的だ。それに万が一追求されても、知らぬ存ぜぬを貫き通せばそれで終わるだろう。だが当然の疑問も湧く。
「目的地が王都じゃなかったら?」
「その場合、王都で申請の必要があるって説明するのよ。目的が何であれ、ね。」
「どの道、1度は王都を訪れる事になるのか。仕方ないか。因みに何日くらい時間を潰せばいいんだ?」
「使者が王都へ辿り着くのに3日。そこから1日話し合うとして・・・村を訪れた5日後ならば問題無いじゃろう。」
つまり2日後に村へ到着し、さらに5日。王都に入れるのは1週間後になるか。ちょっとマズイかもしれない。
「難しい顔してどうかしたの?」
「ユーナに渡したシルフィ達のスイーツなんだけど、日程的にギリギリなんだよ。一応作り置きしてる分はあるんだけど・・・何処かで一旦帰る必要があるかもしれない。」
「でも帰るのはマズイんでしょ?・・・何処かに隠して、カレン様に取りに来て貰ったら?」
「そうだな。それしかないかぁ。近くに人が来ない場所ってあるかな?」
「ほとんどがそんな場所じゃぞ?」
「あ・・・」
「けど、カレン様も来ないわよね?」
「うっ・・・」
名案だと思ったんだが、穴だらけだったらしい。確かに人が来ない場所に、カレンが来る理由は無いよな。隠すと言ってもアイテムボックスを放置する訳にいかないし、スイーツなんてもってのほか。オレが頭を抱えていると、戻って来たティナが解決策を提示した。
「エリド村に置くのはどうです?」
「ティナ?・・・それしか無いか。」
辺境であるエリド村は、当然カレンの守備範囲外。だからこそオレはカレンを連れてエリド村を訪れていた。有事の際に活用出来るかもしれないが、無理して行く必要もない。こんな使い方は想定していなかったが、まぁいいだろう。
「じゃあカレンへの連絡を頼むよ。」
「わかりました。」
カレンに連絡するべくティナが立ち去る。
「さて、エルフ国に関して他に聞いておくべき事は?侵入防止の結界なんて無かったりする?」
「そんな非効率なもんがあるわけなかろう。あるとしても精々・・・」
「精々?」
「侵入者を察知する為の結界程度じゃな!」
「ほぉ?ちなみにだが、察知されるとどうなる?」
「国の警戒が引き上げられる。具体的にはエルフ国の守り神が集められると言う話じゃ。」
守り神?この場合の神は比喩なんだろうな。となると、信頼のおける実力者って事になるのか?
「まずはアスコットとエレナね。」
「まずは?他にもいると?」
「えぇ。あの2人が冒険者として最強なのは知ってるでしょ?」
「あぁ。・・・冒険者として?つまり、冒険者以外に最強がいると?」
「おるぞ。エルフ国の双璧と呼ばれる双子の兄妹がの。因みに・・・」
「私の兄と姉よ。」
「兄の名がゴルディオーラ、姉がシルヴァリーナじゃったか?」
「そうね。ディーラ兄さんとリーナ姉さん。どちらも別格の存在だったわ。」
フィーナは家族の事を話したがらなかったが、どうやら生きていたらしい。愛称がゴーラとシーナだと思ったのは内緒だ。どうにも名前の略し方がわからん。適当か?
それよりも、この事実はオレ達に有利なんじゃなかろうか?だって最悪の場合、嫁の両親と兄妹が相手になるのだから。そしてオレの考えなどフィーナにはお見通しだったらしい。
「ルーク?悪いけど私の兄妹を頼る事は出来ないわよ?」
「何で?」
「私、あの2人と仲がいい訳じゃないの。特に不仲でもないんだけど、何を考えているのかわからなくて。」
「双璧は感情に乏しいのじゃ。故に職務に忠実でのぉ。如何に妹と言えど、情に訴えるのは難しいじゃろう。」
「だから頼るならエレナとアスコットにすべきね。」
仲の良い兄妹ばかりじゃないんだし、ここはオレが首を突っ込む事ではないだろう。幾ら旦那とは言え、家族の問題にまで口出しすべきじゃない。相談されたら助けにはなるが、頼られるまでは見守るべきだと思う。
「揉め事を起こす前提で話してるけど、こっちから喧嘩を売るつもりは無いからな?」
「まぁそうなんじゃがな。」
「念の為よ。」
「・・・・・。」
2人がオレをどう思っているのか理解出来た。売られた喧嘩は買うが、こちらから売る事は無い。あれ?結局は揉め事を起こすような考え方になるのか?
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