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動乱の幕開け
落とし物?
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お菓子屋の営業を始めた日の昼過ぎ、ルークは店の奥で実験をしていた。
「前から気になってたけど、意識するとみんなとの繋がりを感じるんだよな。これが加護って事なのか?」
何故営業時間にも関わらずそんな事をしているのか。それは単純に暇だったからである。開店休業状態だった。理由はルーク自身もわかっている。一切の告知を行っていないからだ。
開店前にチラシでも作って声を掛けていれば、何人かは来てくれた事だろう。だが意図的に避けたのである。たった1人で仕込みから販売まで行うのだから、繁盛すると忙しい。あまり早い段階から目立ってしまうと、嫁の耳に届いてしまう可能性があったのだ。
そういった理由から、現在店内に並んでいるのは焼き菓子がメインである。比較的賞味期限の長い物を主体とし、製作に掛かる時間を他の事に使おうと考えたのであった。
では一体何をしているのか、それは未だに不明な自身の力に関する考察である。と言うのも、嫁達に与える加護という存在を知ってから、ずっと疑問に思っている事があった。それはカレンの加護である。
何を考えているのかわからない、ひょっとしたら何か企んでいるかもしれないカレンではあるが、今の所は他の嫁達と同じように愛していた。しかし、カレンからの加護は感じられない。自身を鑑定してもその文字は見られない。その理由は何故なのか、という事である。
「お?ちゃんとカレンも感じられるな。って事は・・・オレに対する愛情が無いのか、加護を与えないって真似が出来るのか、そのどっちかだよな?よし、試してみるか!」
何故かは不明だが、カレンを鑑定する事は出来なかった。そのせいで確認する手段が無かったのだが、意識して神力を使う事を覚えてから加護も感じられるようになったのだ。そうして得られた結論、カレンからの加護は無いというものである。
何故無いのかというのは、おそらくルークが呟いた2つの内どちらかとなる。今回の騒動によって、ルークは嫁(式を挙げていない為、正確には婚約者)に対して距離を置く事にした。その対象となるのは色々と腑に落ちない点の多いカレンと、今回の原因であるスフィアである。
物理的に距離を置くのだが、加護がある事によってルークの感情を悟られてしまう。ならば、ちょっと反省を促すという意味合いも込めて、この機会に加護を一旦無くそうというのだ。
「う~ん、難しいな。繋がりを遮断すればいいのか、出て行ってる力を意識的に絞ればいいのか・・・お?出来たか!?」
違う事を言っているようで結局は同じ事なのだが、そんな事には気付いていない。しかしルークは自分の意志で加護をコントロールする事に成功する。無論、カレンとスフィアの。
これにはルークも悩んだ。全員纏めて無くす事も考えたのだが、それでは今回のスフィアと同類である。全く非の無い嫁達に対しては、余りにも酷と言うものだろう。ローデンシア天空王国に暮らすリリエル達にとっては死活問題である。生命力が回復しきっていない彼女達にとっては、ルークの加護が命綱となっていた。
さらには見せしめという面でも、対象の2人に留めるのが最善である。こうした状況を鑑みて、ルークはカレンとスフィアに対する加護を打ち切る事を決めた。暫定なのか恒久なのかは、勿論彼女達次第である。
このルークの仕打ちが与える影響は甚大であった。フォレスタニアという世界最大の帝国における政治と軍事のトップ、その2人が揃って対象である。この時から、本当の意味でフォレスタニアの混乱が始まったのである。まぁ、詳しい話はまとめて後日。
今はルークである。してやったりの満足顔である。最低でも1年は帰らないと決めているのだから、あとは知った事じゃない。単独で1年生き抜くだけだろう。
「カレンがどう動くかだけど、それはルビアに任せるとしよう。何にしてもカレンと正面切って敵対する可能性もある以上、今より強くなる必要があるよな。気は進まないけど、夜中の訓練は新大陸の奥まで進んでみるかぁ・・・。それよりも捕まったら終わりなんだし、カレンの動向だけは常に把握しとかないとな。う~ん、ルビアには定期的に会っておくか。スフィアの様子も聞いておきたいし。」
他の嫁達に会うのは難しいが、ルビアだけは容易に会えそうなのだ。と言うのも、地下農園に関わるはルビアのみである。直接転移して待っていれば会えるだろう。土しか無いのだから、汚れたくないカレンは来ない。食い物が無いのだからティナも同様。他の嫁達はルビアとそれ程仲が良いと言えないのだ。唯一警戒すべきなのが本来担当だったナディアである。しかし彼女には竜王達の相手がある。結果、最も安全で確実に会えるのがルビアという事だった。
結局オープン初日は来店者数ゼロを記録して閉店となる。そしてルークは近くの孤児院へと繰り出し、当日の売れ残りを配った。ならば初めからチラシを配るべきと思うのだが、これには思わぬ落とし穴が。ラミス神国なのだが、貧しい者や奴隷が多く識字率が圧倒的に低い。これには宗教上の問題が絡んでいるらしかったのだが、この時のルークには興味が無い。深く探らないまま、深く考えないままにお菓子を置いて来たのだった。
夜は日課の特訓を済ませ、翌日は朝早くから商品の準備である。とは言うものの、当分客が来ないと思っているルークは、孤児院に配る分を作って開店準備を済ませる。まぁ、地球のように定時は無い。店主が開けようと思った時間が開店である。まだ人影も無い夜明け前ではあるが、する事も無いので店を開く。
入り口の鍵を開けて外の様子を伺う為に扉を開くと、そこには反応に困る光景が。
「・・・・・ここで何してる?」
「・・・・・・・・・・くぅ。」
ルークの問い掛けに、相手の口ではなくお腹が返答した。つまりは空腹による行き倒れである。キョロキョロと辺りを伺うが、当然人の姿は見えない。溜息を吐きつつも、ルークは倒れている人物を抱き上げて店内へと入る。
どうせ売れない商品なのだから与えてしまおうかと考えたが、相手は何日も食べていない可能性が高い。仕方なく作り置きしていたスープを温め直して声を掛けた。
「おい、起きろ!」
「・・・無理なのです。このまま死ぬのです。」
「バカな事言ってないで、このスープを飲め!」
「すーぷ?・・・スープなのです!?」
身動きひとつ取らなかったのだが、ルークの言葉の意味を理解して勢い良く起き上がると、一心不乱にスープを飲み始めた。その様子を見て大きく息を吐き、ルークは戸締まりをする。開店時間十数分という記録的な時間での閉店である。
戸締まりを終えて厨房に戻ると、物足りなさそうに器を見つめている姿が目に入る。何とも言えない光景に、苦笑しつつもルークが声を掛ける。
「おかわりならまだあるぞ?」
「私よりも、妹に食べさせて欲しいのです!」
「妹?・・・何処にいる!?」
まだ10歳にも満たないだろう幼女の返答に、一瞬判断が遅れる。妹と言う事は、空腹で行き倒れていた幼女よりも幼い子供となる。危険な状態かもしれない。その考えが頭を過った次の瞬間、ルークは目の前の幼女を抱き上げて裏口から飛び出した。切羽詰まった状況ながら、店の入り口を開けなかったのは若干の余裕があったからだ。
(表を開けたら閉店時間3分で新記録、とか考えちまったじゃねぇか!)
自身のおバカな思考に呆れつつも、抱いた幼女の案内のもと出来る限りの速度で走る。全力を出せないもどかしさにイライラしながら、辿り着いた橋の下に倒れている幼女を抱き上げ、急いで店へと引き返す。
まだ何とか元気はあったらしく、幼女2人が無言でスープを飲んでいる光景に安堵しながら消化に良さそうな料理を作る。それを夢中で食べ終えた2人は、そのまま眠ってしまった。
幼女に興味は無いが、とりあえず汚れた衣服を脱がせて2階のベッドへと寝かしつける。洗濯しようと思ったのだが、所々穴が開いた為捨てる事にした。多分、洗濯したら激しく破れるだろう。この世界に洗濯機などない。洗濯板でゴシゴシするのだから、衣類は確実に痛む。只でさえ傷んだ衣服なのだから、洗濯がトドメの一撃となるのは目に見えていたのだ。
洗濯を諦め、次に取り掛かるべきは店内の掃除である。今日の営業を諦めた理由がこれだ。幼女2人は泥だらけだった。急いでいた為、厨房で食事を摂らせた。そのせいで床が汚れてしまったのだ。不衛生な環境で調理や営業をするなど許されない。お世辞にも綺麗とは言えない者達を招き入れた以上、何が起こるかわからなかった。
商品は日持ちする物が多いと言っても、地球のように個包装して陳列されている訳ではない。ビニールなど存在していないのだ。本当にパン屋と同じ状態である。そうである以上、このまま陳列するのは不安だった。まぁ、この世界の住人は胃腸が丈夫なので問題無いのだが、地球の感覚が染み付いているルークならではだろう。
そして並べてあった商品をアイテムボックスに収納する段階で、衝撃の事実に気付く。
「何で昨日気付かなかったんだ!折角作った商品配っちまったじゃねぇか!!・・・まぁ、良い事したんだからいいのか。」
賞味期限を考えて孤児院に配ったのだが、時間が停止するというアイテムボックスの効果を失念していたのだ。今日も売れ残っていたら気付かなかっただろう。全商品という、それなりの量を収納した事で思い出したのである。
自分のおバカ加減に辟易しつつ、掃除を終えてから街へと繰り出す。今頃泥で汚れているだろうシーツと子供服を購入して帰宅する。当分目覚める様子が無いのを確認し、改めてお菓子を作り直す事にした。ちなみにアイテムボックスに収納したお菓子は、数回に分けて孤児院に配る事にしたのである。
この行動に深い意味は無い。一度配ると決めた以上、今更考えを改める気分にならなかっただけの事。この決断が、後の商売に大きく影響を及ぼす事となるのだが、彼にそんな意図は微塵もなかった。
「はぁ。嫁と喧嘩して家出したのに、何故か子供が出来ましたなんて絶対に言えねぇよな・・・。いや、まだオレが育てると決まった訳じゃない!考え過ぎだ!!」
誰かが聞いていたらこう答える事だろう。ルークよ、それはフラグだと。
「前から気になってたけど、意識するとみんなとの繋がりを感じるんだよな。これが加護って事なのか?」
何故営業時間にも関わらずそんな事をしているのか。それは単純に暇だったからである。開店休業状態だった。理由はルーク自身もわかっている。一切の告知を行っていないからだ。
開店前にチラシでも作って声を掛けていれば、何人かは来てくれた事だろう。だが意図的に避けたのである。たった1人で仕込みから販売まで行うのだから、繁盛すると忙しい。あまり早い段階から目立ってしまうと、嫁の耳に届いてしまう可能性があったのだ。
そういった理由から、現在店内に並んでいるのは焼き菓子がメインである。比較的賞味期限の長い物を主体とし、製作に掛かる時間を他の事に使おうと考えたのであった。
では一体何をしているのか、それは未だに不明な自身の力に関する考察である。と言うのも、嫁達に与える加護という存在を知ってから、ずっと疑問に思っている事があった。それはカレンの加護である。
何を考えているのかわからない、ひょっとしたら何か企んでいるかもしれないカレンではあるが、今の所は他の嫁達と同じように愛していた。しかし、カレンからの加護は感じられない。自身を鑑定してもその文字は見られない。その理由は何故なのか、という事である。
「お?ちゃんとカレンも感じられるな。って事は・・・オレに対する愛情が無いのか、加護を与えないって真似が出来るのか、そのどっちかだよな?よし、試してみるか!」
何故かは不明だが、カレンを鑑定する事は出来なかった。そのせいで確認する手段が無かったのだが、意識して神力を使う事を覚えてから加護も感じられるようになったのだ。そうして得られた結論、カレンからの加護は無いというものである。
何故無いのかというのは、おそらくルークが呟いた2つの内どちらかとなる。今回の騒動によって、ルークは嫁(式を挙げていない為、正確には婚約者)に対して距離を置く事にした。その対象となるのは色々と腑に落ちない点の多いカレンと、今回の原因であるスフィアである。
物理的に距離を置くのだが、加護がある事によってルークの感情を悟られてしまう。ならば、ちょっと反省を促すという意味合いも込めて、この機会に加護を一旦無くそうというのだ。
「う~ん、難しいな。繋がりを遮断すればいいのか、出て行ってる力を意識的に絞ればいいのか・・・お?出来たか!?」
違う事を言っているようで結局は同じ事なのだが、そんな事には気付いていない。しかしルークは自分の意志で加護をコントロールする事に成功する。無論、カレンとスフィアの。
これにはルークも悩んだ。全員纏めて無くす事も考えたのだが、それでは今回のスフィアと同類である。全く非の無い嫁達に対しては、余りにも酷と言うものだろう。ローデンシア天空王国に暮らすリリエル達にとっては死活問題である。生命力が回復しきっていない彼女達にとっては、ルークの加護が命綱となっていた。
さらには見せしめという面でも、対象の2人に留めるのが最善である。こうした状況を鑑みて、ルークはカレンとスフィアに対する加護を打ち切る事を決めた。暫定なのか恒久なのかは、勿論彼女達次第である。
このルークの仕打ちが与える影響は甚大であった。フォレスタニアという世界最大の帝国における政治と軍事のトップ、その2人が揃って対象である。この時から、本当の意味でフォレスタニアの混乱が始まったのである。まぁ、詳しい話はまとめて後日。
今はルークである。してやったりの満足顔である。最低でも1年は帰らないと決めているのだから、あとは知った事じゃない。単独で1年生き抜くだけだろう。
「カレンがどう動くかだけど、それはルビアに任せるとしよう。何にしてもカレンと正面切って敵対する可能性もある以上、今より強くなる必要があるよな。気は進まないけど、夜中の訓練は新大陸の奥まで進んでみるかぁ・・・。それよりも捕まったら終わりなんだし、カレンの動向だけは常に把握しとかないとな。う~ん、ルビアには定期的に会っておくか。スフィアの様子も聞いておきたいし。」
他の嫁達に会うのは難しいが、ルビアだけは容易に会えそうなのだ。と言うのも、地下農園に関わるはルビアのみである。直接転移して待っていれば会えるだろう。土しか無いのだから、汚れたくないカレンは来ない。食い物が無いのだからティナも同様。他の嫁達はルビアとそれ程仲が良いと言えないのだ。唯一警戒すべきなのが本来担当だったナディアである。しかし彼女には竜王達の相手がある。結果、最も安全で確実に会えるのがルビアという事だった。
結局オープン初日は来店者数ゼロを記録して閉店となる。そしてルークは近くの孤児院へと繰り出し、当日の売れ残りを配った。ならば初めからチラシを配るべきと思うのだが、これには思わぬ落とし穴が。ラミス神国なのだが、貧しい者や奴隷が多く識字率が圧倒的に低い。これには宗教上の問題が絡んでいるらしかったのだが、この時のルークには興味が無い。深く探らないまま、深く考えないままにお菓子を置いて来たのだった。
夜は日課の特訓を済ませ、翌日は朝早くから商品の準備である。とは言うものの、当分客が来ないと思っているルークは、孤児院に配る分を作って開店準備を済ませる。まぁ、地球のように定時は無い。店主が開けようと思った時間が開店である。まだ人影も無い夜明け前ではあるが、する事も無いので店を開く。
入り口の鍵を開けて外の様子を伺う為に扉を開くと、そこには反応に困る光景が。
「・・・・・ここで何してる?」
「・・・・・・・・・・くぅ。」
ルークの問い掛けに、相手の口ではなくお腹が返答した。つまりは空腹による行き倒れである。キョロキョロと辺りを伺うが、当然人の姿は見えない。溜息を吐きつつも、ルークは倒れている人物を抱き上げて店内へと入る。
どうせ売れない商品なのだから与えてしまおうかと考えたが、相手は何日も食べていない可能性が高い。仕方なく作り置きしていたスープを温め直して声を掛けた。
「おい、起きろ!」
「・・・無理なのです。このまま死ぬのです。」
「バカな事言ってないで、このスープを飲め!」
「すーぷ?・・・スープなのです!?」
身動きひとつ取らなかったのだが、ルークの言葉の意味を理解して勢い良く起き上がると、一心不乱にスープを飲み始めた。その様子を見て大きく息を吐き、ルークは戸締まりをする。開店時間十数分という記録的な時間での閉店である。
戸締まりを終えて厨房に戻ると、物足りなさそうに器を見つめている姿が目に入る。何とも言えない光景に、苦笑しつつもルークが声を掛ける。
「おかわりならまだあるぞ?」
「私よりも、妹に食べさせて欲しいのです!」
「妹?・・・何処にいる!?」
まだ10歳にも満たないだろう幼女の返答に、一瞬判断が遅れる。妹と言う事は、空腹で行き倒れていた幼女よりも幼い子供となる。危険な状態かもしれない。その考えが頭を過った次の瞬間、ルークは目の前の幼女を抱き上げて裏口から飛び出した。切羽詰まった状況ながら、店の入り口を開けなかったのは若干の余裕があったからだ。
(表を開けたら閉店時間3分で新記録、とか考えちまったじゃねぇか!)
自身のおバカな思考に呆れつつも、抱いた幼女の案内のもと出来る限りの速度で走る。全力を出せないもどかしさにイライラしながら、辿り着いた橋の下に倒れている幼女を抱き上げ、急いで店へと引き返す。
まだ何とか元気はあったらしく、幼女2人が無言でスープを飲んでいる光景に安堵しながら消化に良さそうな料理を作る。それを夢中で食べ終えた2人は、そのまま眠ってしまった。
幼女に興味は無いが、とりあえず汚れた衣服を脱がせて2階のベッドへと寝かしつける。洗濯しようと思ったのだが、所々穴が開いた為捨てる事にした。多分、洗濯したら激しく破れるだろう。この世界に洗濯機などない。洗濯板でゴシゴシするのだから、衣類は確実に痛む。只でさえ傷んだ衣服なのだから、洗濯がトドメの一撃となるのは目に見えていたのだ。
洗濯を諦め、次に取り掛かるべきは店内の掃除である。今日の営業を諦めた理由がこれだ。幼女2人は泥だらけだった。急いでいた為、厨房で食事を摂らせた。そのせいで床が汚れてしまったのだ。不衛生な環境で調理や営業をするなど許されない。お世辞にも綺麗とは言えない者達を招き入れた以上、何が起こるかわからなかった。
商品は日持ちする物が多いと言っても、地球のように個包装して陳列されている訳ではない。ビニールなど存在していないのだ。本当にパン屋と同じ状態である。そうである以上、このまま陳列するのは不安だった。まぁ、この世界の住人は胃腸が丈夫なので問題無いのだが、地球の感覚が染み付いているルークならではだろう。
そして並べてあった商品をアイテムボックスに収納する段階で、衝撃の事実に気付く。
「何で昨日気付かなかったんだ!折角作った商品配っちまったじゃねぇか!!・・・まぁ、良い事したんだからいいのか。」
賞味期限を考えて孤児院に配ったのだが、時間が停止するというアイテムボックスの効果を失念していたのだ。今日も売れ残っていたら気付かなかっただろう。全商品という、それなりの量を収納した事で思い出したのである。
自分のおバカ加減に辟易しつつ、掃除を終えてから街へと繰り出す。今頃泥で汚れているだろうシーツと子供服を購入して帰宅する。当分目覚める様子が無いのを確認し、改めてお菓子を作り直す事にした。ちなみにアイテムボックスに収納したお菓子は、数回に分けて孤児院に配る事にしたのである。
この行動に深い意味は無い。一度配ると決めた以上、今更考えを改める気分にならなかっただけの事。この決断が、後の商売に大きく影響を及ぼす事となるのだが、彼にそんな意図は微塵もなかった。
「はぁ。嫁と喧嘩して家出したのに、何故か子供が出来ましたなんて絶対に言えねぇよな・・・。いや、まだオレが育てると決まった訳じゃない!考え過ぎだ!!」
誰かが聞いていたらこう答える事だろう。ルークよ、それはフラグだと。
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