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転生〜統治(仮題)

プロポーズ

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目が覚めると、いつもよりベッドが広い事に気付く。昨日は婚約者の皆が遠慮した為、オレはリノアと部屋で話をして・・・・・・・・・・リノア!?

恐る恐る横を見る。腕に柔らかい感触を感じているので今更ではあるが、それでも確認する。そこには天使ようなの寝顔があった。天使に見えるが違うな。なんだ、只の女神か。
・・・・・やっちまったぁぁぁ!!

待て!婚約したし皆の公認なんだから、焦る必要はない。気持ちを落ち着かせて、リノアの髪を撫でる。サラサラで気持ちいい。同じ風呂を使っているはずなのに、いい匂いまでする。リノアの感触を満喫していた為か、どうやら起こしてしまったようだ。

「ん・・・おはようございます、あなた♪」

世界一の美女が放つ「あなた」という波動砲は、オレの美人耐性を理性諸共吹き飛ばした。早朝から何をしたのかは語るまでもないだろう。

この世界には、生活魔法という最高の効果をもたらす魔法が存在する。様々な汚れを消し去ってくれるのだ。オレの心も綺麗にしてくれたらいいのに・・・。

先に着替えたオレは、朝食の準備を済ませてから婚約者達を呼びに行く。賑やかな食事を済ませると、スフィアから声を掛けられた。

「ルーク、お話があります。」
「な、何?」

今のオレにやましい事は無い。だが、スフィアの真剣な表情に動揺してしまう。

「私達はルーク皇帝陛下の婚約者です。」
「そうですね・・・急にどうしたの?」
「ですが、国家運営に婚約者が口出しするのは、対外的にもよろしいとは言えません。」
「なるほど。・・・で?」
「出来れば王妃という立場であった方が、支持を受ける側も不満が無いと思うのです。」

ここまで言われれば、誰でも気付くだろう。

「それはまぁ・・・そうだろうね。わかったよ。でも、準備とかしたいから、少し待って貰ってもいいかな?」
「わかりました。」

オレとスフィアの会話を聞いていた皆も嬉しそうなので、あまり待たせる訳にもいかない。今日中に準備しよう。あ、今日は学園はお休みである。遠方から送り届けてくれた者達と、別れを惜しむ日となっている。リノアを学園都市に送り届けてから、買い出しに出掛けよう。

現在は王都にも人が戻っており、これまで通り、いや、これまで以上に賑わいを見せている。圧制が終わり、人々の心が開放的になった為だと聞いている。折角なので、王都で買い物をしよう。

リノアの事を心配したのか、送迎兼護衛としてカレンが付いて行く事になった。隣国に攻められても無事だろう。安心したオレは、久々にティナと一緒に出掛ける事にした。

まずはいきなり目的の貴金属店。そこでは婚約指輪と結婚指輪を購入する。ティナを連れて来たのは、ティナが皆の指のサイズを知っているからである。完璧超人のティナさんには朝飯前らしい。お腹も常に朝飯前だが。

立派な宝石の付いた指輪を薦められたので、ティナに意見を聞いて結局それにした。目玉が飛び出るかと思う金額だったが、幸い今も目玉はついている。久々のティナとの買い物や食事は楽しく、あっという間に昼過ぎとなった。オレは、ずっと考えていた事を実行する為行動に移す。

「ティナ、行きたい所があるんだ!」
「はい、構いませんよ?」
「じゃあ、転移するから捕まって!」

「ここは・・・私達の家・・・。」
「そう。オレとティナの思い出が沢山詰まった、大切な家。後で村の皆にお礼しないとね。」
「はい・・・そうですね。」

オレ達はエリド村にある、オレが生まれ育った家の前いる。ティナと出会ったこの場所で、ティナに1番最初に伝えたかった。ティナと一緒に中へ入り、家の中を1周してリビングで向かい合っている。

「ティナ、オレはティナの事を誰よりも愛している。皆の事は、順番を付けられない程大切に想ってる。でも、敢えて順番をつけるのなら・・・正妻はティナじゃないけど、オレにとっての1番は、今までも、そしてこれからもティナなんだ。だから、オレと結婚して下さい。」
「・・・・・はい!本当に嬉しいです!!」

涙を流しながら笑みを浮かべるティナをそっと抱き締める。その後のオレ達は、2人きりの時間を満喫してから村の皆に挨拶とお礼をして、ランドルフさんの工房で結婚指輪を魔道具に改造した。

城に戻って夕食を済ませたオレは、今まで渡していなかった婚約指輪と結婚指輪を、1人1人にプロポーズしながら渡した。何て伝えたのかは秘密である。恥ずかしいので・・・。

こうして無事に済んだと思ったオレは、自分の浅はかさを呪う事となる。きっかけは、ナディアの一言。

「ねぇ、嬉しいんだけど・・・どうしてティナだけ先に貰ってたの?」
「え?そ、それは・・・買う時に一緒にいたから・・・なの?」
「知りませんよ!」
「どうして疑問形なんですか!?」
「セラさんにシェリーさん、少し落ち着きましょうね?」
「私達は全員平等ですよね?」
「す、スフィアさん・・・そうですね・・・。」
「気になっていたのですが、ルークは誰を1番愛しているのですか?」
「か、カレンさん・・・それは聞いてはならない質問では?」
「私も気になります!」
「リノアさん、同意しちゃダメですよ!?」

今にも掴みかかりそうな距離まで詰め寄られ、オレはタジタジになっている。ティナに助けを求めようとしたが、まさかの裏切りに遭う。

「確かに平等ですが、良い事は競い合った方が、刺激があって良いのではないでしょうか?」

皆の後ろで、視線を逸らしながら舌を出しているティナを見て、オレの思考はフリーズする。あんなティナ、初めて見ました。女性って、男には一生理解出来ないと思う。

結局オレは、皆の迫力に負けて3位までの順位をつける事となった。ちなみに順位は、以下の通りである。

1位 ティナ
2位 ナディア
3位 スフィア

この後、皆からの愛情表現が激しくなった事は言うまでもない。
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