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番外編 八心
番外編第六話 試供
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「そこまでです。」
光がアキを包丁で滅多刺しにしていると突然お嬢にとって聞き覚えのある声がした。
「パチンッ!」
突然指をならす音とともに夜空に宙を舞う空間にお嬢、伊織、光、直巳が転送された。
「こ…これは…花梨ちゃん!?」
「皆様お集まり頂きありがとうございます。これで五心は揃いました。皆様のおっしゃった通り五心の五とは人数が5人ということを表していますのでこれで数が出揃いました。」
「ちょっと待ってよ!最後の子が光ちゃんに刺される前に既に5人だったじゃない!」
「忘れてしまったのですか?お嬢様、この学校には萌美様もいらっしゃるので合計で8人の参加者がいらっしゃったのですよ。なので削られるべき人数は3人でございます。萌美様は教室に出入りされなかったので今回は4人をお呼びさせて頂くことにしました。そしてワタクシから皆様に試供をさせて頂きたいものがあります。」
「誰…ですか…?それに試供って…一体私達に何をさせる気なんですか…?それに…アキは…アキは…」
「自己紹介が遅くなってしまって申し訳ございません。ワタクシは唯一神のアイ・カリンと申します。他の方々は皆様ご無事でいらっしゃいますのでご安心ください相川様。さて、ワタクシが試供をさせて頂きたいものは舞台でございます。」
「俺は勉強できるなら別にどこでもいいけど。」
「黒田様なら楽しい修学旅行のような感覚でお臨み頂けるかと思います。」
「修学旅行…伊織くん…初めての体験が何か出来るかもしれないね…。」
「橘様の好奇心の期待に添えるようワタクシも相応の準備をさせていただきました。それではまず初めの舞台はこちらになります。」
「パチンッ!」
アイ・カリンが指を鳴らすと景色が変わる。
「え!?どこよここ!?」
「どう見ても森だろ。」
「え…見て…あれ…。」
直巳が何かを指さす。
「熊だね…。」
「くま?」
「私のぬいぐるみは可愛いけど…本物は怖い…。」
「ではルールを説明します。」
アイ・カリンの姿はなく声だけが聞こえる。
「皆様には目の前の熊を倒して頂きます。皆様で力を合わせて熊を倒す事が出来れば皆様の勝ちです。皆様が熊を倒すことができず皆様が熊にやられた場合は皆様の負けです。説明は以上になります。」
「待って…負けって…負けた場合はどうなるの!?」
「8人全員死にます。」
「そんな…!無理だよ…!なんでこんなことするの…!!熊なんて…!!」
「そうよ!!無理に決まってるじゃない!!」
「お嬢様まで弱気になるとはこれは予想外ですね。」
「あんな可愛い動物を4人でよってたかっていじめるなんてひどすぎるわよ!!」
「………。」
「熊はどう考えても4人で素手で太刀打ち出来るような相手じゃないけど。」
「まずは…武器になるものを集めないとかな…。」
「私はそんないじめる事なんてしないわよ!!」
お嬢が熊の方に向かっていく。
「ま…待って…!本当に危ないよ…!!」
「50mぐらいは離れてるけど、気づかれたら最高時速60km出せる熊は俺達のところまで3秒程度で辿り着かれる。」
「伊織くん…私は何か使えそうなものを…」
「あなた可愛いわね~♡怖くないからこっちにおいで~♡」
お嬢が熊に両手を広げて駆け寄る。
すると熊が突然反対方向に走っていってしまった。
「え…逃げた…!?」
「ちょっと!!待ちなさいよ!!なんでそっち行っちゃうのよ!!」
お嬢がダッシュで熊を追いかける。
「光、ちょっと行ってみよう。」
「うん…これは新発見…。」
「え…ま…待ってよ!」
そしてお嬢が熊に追いついて抱きかかえる。
「捕まえたわよ!もうっ!なんで逃げちゃうのよ!!」
「ベシッ!」
お嬢が熊の頭を軽く叩くと熊は気絶して倒れた。
「ハァ、ハァ、あれは一体…。」
「ハァ、ハァ、伊織くん…。」
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…。」
「全く!!初対面なのに失礼な子ね!!いい?私は南グループの…」
「おめでとうございます。皆様は熊を倒したので皆様の勝利です。」
「は?もう熊を倒したの?」
「伊織くん…あの人…。」
「はぁ…はぁ…。」
「バタンッ!!」
直巳が走ってる途中で倒れてしまった。
「え?直巳ちゃん!!大丈夫!?」
皆が気づいたらお嬢は直巳の側にいた。
「はぁ…はぁ…」
「しっかりして!!」
「大…丈…」
直巳はそのまま目を瞑ってしまった。
「花梨ちゃん!なんとかしなさい!!あなた神様なんでしょ!?第一あなた私の舎弟じゃない!!私の言うことたまには聞きなさいよ!!」
お嬢が空に向かって叫びかける。
「かしこまりました。お嬢様達の勝利に敬意を示しまして相川様の回復にお務めします。」
「…あ…れ…私…」
「直巳ちゃん!気付いたのねよかったわ!!」
「うん…ありがとう…。」
「パチンッ!!」
指を鳴らす様な音とともにお嬢達は教室に戻っていた。
「お嬢!大丈夫ですか!?」
お嬢は黎の声が聞こえた。
「黎…!?黎ーーーっっっ!!!」
お嬢は黎が完全に回復した姿を見て駆け寄って抱きしめた。
「お嬢様!無事で良かったです!!」
「晶ちゃんも無事でよかったーーーっっっ!!!」
お嬢は泣きながら喜んでいた。
「アキーーーっっっ!!!」
「直巳、お前が無事でよかった。」
しかしお嬢の背後に2つの影が忍び寄る。
「…!お嬢!危な…」
「ガンッッ!ガシャーンッッッ!」
「は…?机が…粉々になった…。なんで?後頭部に当てたのに。」
「ガキンッ!グニャッッッ!!!」
「包丁が…曲がった…どうして…背中から心臓を狙ったのに…。」
「お嬢の南グループの十の掟に基づく立派な考え方を持つ頭も、お嬢の舎弟を想う熱い心も、そんなものでは簡単にやられたりはしませんよ。」
「もう黎ってば♡何言ってんの?♡ちゅーしよ♡」
……………
「今回の賭事もあなた方『四凶』の負けです『渾沌』、『窮奇』、『檮杌』、『饕餮』。卑しいかつての神々。あなた方はワタクシの南グループのお嬢様を甘く見ていた様ですね。これであなた方は消えて頂くことになります。悪神と呼ばれても差し支えないあなた方に神罰を下すのに今最も相応しいのは…『アイ・カリン四天王』が1人、『天使』、ですね。」
番外編 八心 ~完~
光がアキを包丁で滅多刺しにしていると突然お嬢にとって聞き覚えのある声がした。
「パチンッ!」
突然指をならす音とともに夜空に宙を舞う空間にお嬢、伊織、光、直巳が転送された。
「こ…これは…花梨ちゃん!?」
「皆様お集まり頂きありがとうございます。これで五心は揃いました。皆様のおっしゃった通り五心の五とは人数が5人ということを表していますのでこれで数が出揃いました。」
「ちょっと待ってよ!最後の子が光ちゃんに刺される前に既に5人だったじゃない!」
「忘れてしまったのですか?お嬢様、この学校には萌美様もいらっしゃるので合計で8人の参加者がいらっしゃったのですよ。なので削られるべき人数は3人でございます。萌美様は教室に出入りされなかったので今回は4人をお呼びさせて頂くことにしました。そしてワタクシから皆様に試供をさせて頂きたいものがあります。」
「誰…ですか…?それに試供って…一体私達に何をさせる気なんですか…?それに…アキは…アキは…」
「自己紹介が遅くなってしまって申し訳ございません。ワタクシは唯一神のアイ・カリンと申します。他の方々は皆様ご無事でいらっしゃいますのでご安心ください相川様。さて、ワタクシが試供をさせて頂きたいものは舞台でございます。」
「俺は勉強できるなら別にどこでもいいけど。」
「黒田様なら楽しい修学旅行のような感覚でお臨み頂けるかと思います。」
「修学旅行…伊織くん…初めての体験が何か出来るかもしれないね…。」
「橘様の好奇心の期待に添えるようワタクシも相応の準備をさせていただきました。それではまず初めの舞台はこちらになります。」
「パチンッ!」
アイ・カリンが指を鳴らすと景色が変わる。
「え!?どこよここ!?」
「どう見ても森だろ。」
「え…見て…あれ…。」
直巳が何かを指さす。
「熊だね…。」
「くま?」
「私のぬいぐるみは可愛いけど…本物は怖い…。」
「ではルールを説明します。」
アイ・カリンの姿はなく声だけが聞こえる。
「皆様には目の前の熊を倒して頂きます。皆様で力を合わせて熊を倒す事が出来れば皆様の勝ちです。皆様が熊を倒すことができず皆様が熊にやられた場合は皆様の負けです。説明は以上になります。」
「待って…負けって…負けた場合はどうなるの!?」
「8人全員死にます。」
「そんな…!無理だよ…!なんでこんなことするの…!!熊なんて…!!」
「そうよ!!無理に決まってるじゃない!!」
「お嬢様まで弱気になるとはこれは予想外ですね。」
「あんな可愛い動物を4人でよってたかっていじめるなんてひどすぎるわよ!!」
「………。」
「熊はどう考えても4人で素手で太刀打ち出来るような相手じゃないけど。」
「まずは…武器になるものを集めないとかな…。」
「私はそんないじめる事なんてしないわよ!!」
お嬢が熊の方に向かっていく。
「ま…待って…!本当に危ないよ…!!」
「50mぐらいは離れてるけど、気づかれたら最高時速60km出せる熊は俺達のところまで3秒程度で辿り着かれる。」
「伊織くん…私は何か使えそうなものを…」
「あなた可愛いわね~♡怖くないからこっちにおいで~♡」
お嬢が熊に両手を広げて駆け寄る。
すると熊が突然反対方向に走っていってしまった。
「え…逃げた…!?」
「ちょっと!!待ちなさいよ!!なんでそっち行っちゃうのよ!!」
お嬢がダッシュで熊を追いかける。
「光、ちょっと行ってみよう。」
「うん…これは新発見…。」
「え…ま…待ってよ!」
そしてお嬢が熊に追いついて抱きかかえる。
「捕まえたわよ!もうっ!なんで逃げちゃうのよ!!」
「ベシッ!」
お嬢が熊の頭を軽く叩くと熊は気絶して倒れた。
「ハァ、ハァ、あれは一体…。」
「ハァ、ハァ、伊織くん…。」
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…。」
「全く!!初対面なのに失礼な子ね!!いい?私は南グループの…」
「おめでとうございます。皆様は熊を倒したので皆様の勝利です。」
「は?もう熊を倒したの?」
「伊織くん…あの人…。」
「はぁ…はぁ…。」
「バタンッ!!」
直巳が走ってる途中で倒れてしまった。
「え?直巳ちゃん!!大丈夫!?」
皆が気づいたらお嬢は直巳の側にいた。
「はぁ…はぁ…」
「しっかりして!!」
「大…丈…」
直巳はそのまま目を瞑ってしまった。
「花梨ちゃん!なんとかしなさい!!あなた神様なんでしょ!?第一あなた私の舎弟じゃない!!私の言うことたまには聞きなさいよ!!」
お嬢が空に向かって叫びかける。
「かしこまりました。お嬢様達の勝利に敬意を示しまして相川様の回復にお務めします。」
「…あ…れ…私…」
「直巳ちゃん!気付いたのねよかったわ!!」
「うん…ありがとう…。」
「パチンッ!!」
指を鳴らす様な音とともにお嬢達は教室に戻っていた。
「お嬢!大丈夫ですか!?」
お嬢は黎の声が聞こえた。
「黎…!?黎ーーーっっっ!!!」
お嬢は黎が完全に回復した姿を見て駆け寄って抱きしめた。
「お嬢様!無事で良かったです!!」
「晶ちゃんも無事でよかったーーーっっっ!!!」
お嬢は泣きながら喜んでいた。
「アキーーーっっっ!!!」
「直巳、お前が無事でよかった。」
しかしお嬢の背後に2つの影が忍び寄る。
「…!お嬢!危な…」
「ガンッッ!ガシャーンッッッ!」
「は…?机が…粉々になった…。なんで?後頭部に当てたのに。」
「ガキンッ!グニャッッッ!!!」
「包丁が…曲がった…どうして…背中から心臓を狙ったのに…。」
「お嬢の南グループの十の掟に基づく立派な考え方を持つ頭も、お嬢の舎弟を想う熱い心も、そんなものでは簡単にやられたりはしませんよ。」
「もう黎ってば♡何言ってんの?♡ちゅーしよ♡」
……………
「今回の賭事もあなた方『四凶』の負けです『渾沌』、『窮奇』、『檮杌』、『饕餮』。卑しいかつての神々。あなた方はワタクシの南グループのお嬢様を甘く見ていた様ですね。これであなた方は消えて頂くことになります。悪神と呼ばれても差し支えないあなた方に神罰を下すのに今最も相応しいのは…『アイ・カリン四天王』が1人、『天使』、ですね。」
番外編 八心 ~完~
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