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第三十二章 親権編
第百六十九話 くノ一
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「それにしても晶に本当にそんな力があったなんてね。黒舟を手なづけたら敵なしじゃん。」
「それでも彼が人を襲わないようにするにはこうやって私が寝てる間はお腹を満たしておかないといけないですから、しっかりと主人として責任を果たさないと多くの被害を出してしまう事になります。」
「それで黎はあの時冷蔵庫の中身を全てチェックしていたんだね。」
「黎様ってその…やっぱり私達のこと何でもお見通しって感じですよね…。心を射抜かれてるみたいでドキドキしちゃいます…。」
「もう恋してるじゃん。」
「ち、違います!さっきは少し興奮してしまいましたがやっぱり黎様ははお嬢様がいますから…。」
「お嬢様がいなかったら狙ってたの?」
「それは…って!そんな理詰めしないでくださいっ!」
「ボクは狙ってたけど。」
「え!?そ、それはずるいです!」
「自分もその者、狙わせていただくでござる。」
突然聞き覚えのない女の声がした。
「何者!?」
「ど…どこからの声でしょうか!?」
「シュバッ!」
突然何もないところから3枚の手裏剣が同じ方向から黒舟に目掛けて飛んでくる。
「キィン!!」
黒舟は手裏剣の飛んできた方向、そして嗅覚を辿って手裏剣を投げた者に対して爪で切り裂く。
「何も見えない!どうなってるの!?」
速さのせいか魔術の類かわからないが紅葉と菱沼には何も見えなかった。
「さすが自分からエマ殿を攫った者でござるな。想像以上に手強いでござる。自分はここで一度退かせて頂くでござる。」
黒舟が菱沼のもとに戻って来る。
「何も見えませんでしたが今の声…あの者がエマちゃんの世話係だったのでしょうか…。」
「そんな様なこと言ってたね…。あとでスローにしてカメラ映像確認してみるよ。晶も今日はもう休もう。」
「そうですね…。」
すると黒舟は外のどこかへ行ってしまった。
そして次の日…
「本当に何もないところから手裏剣3枚飛んできているな…。」
「黎は何の気配も感じなかったの?」
「ええ、全く感じませんでした、それに…」
「それに?」
「昨日はお嬢とのやり取りに夢中になってましたから。」
「ちょっと…♡みんなの前で恥ずかしいこと言わないでよ…♡」
「うちは全ての部屋の壁が防音ですからどれだけエッチしても大丈夫ですよ~♡萌美の歌でご近所迷惑にならないようにするためにそうしました~♡」
「そう、萌美の家にはボクが防犯システムを複数用意したにも関わらず全く何も反応しなかったんだ。」
「まるで『忍び』だな…。」
「しのび?」
「世界線Ⅰの歴史に出てきた密かに敵陣に潜り込み敵方の様子を伺う者の事だ。諜報、破壊、浸透活動、暗殺などを行う。」
「女の声だったから女の忍びの『くノ一』かも。」
「なるほど、もしかすると楓や紅葉がエマの世話係を見たことがないというのはその者が忍びながら世話をしていたからではないのでしょうか。黒舟は鋭い五感でくノ一を見つけ出しエマをここまで連れてくることができたと言ったところでしょうか。」
「確かにその可能性は高い。すると高柳遥輝自身はエマの居場所も、この事実にも気づいていない可能性すらあるな。」
「ところで世話係って2人いるんですよね?紅葉は2人の詳しい情報も知らないのにどうしてその事実と名前を知っているのですか?」
「高柳グループの情報機関の名簿と役割に書いてあったからね。エマのことはお姉様の娘のことだからそれを見なくても知っていたけど。」
「では昨日の忍びの1人が多賀か下田のどちらか、ということしか現段階ではわからないという事ですね。」
「ああ…だが…」
「ええ、わかってます。そのために黒舟も忍びに本気を出さなかったのでしょう。」
「…全く…黎にはかなわんな…。」
「ちょっと!また2人にしかわからない会話してる!!黎っ!どういうこと!?私にも分かるように説明しなさいっ!!」
次回 第百七十話 黒光
「それでも彼が人を襲わないようにするにはこうやって私が寝てる間はお腹を満たしておかないといけないですから、しっかりと主人として責任を果たさないと多くの被害を出してしまう事になります。」
「それで黎はあの時冷蔵庫の中身を全てチェックしていたんだね。」
「黎様ってその…やっぱり私達のこと何でもお見通しって感じですよね…。心を射抜かれてるみたいでドキドキしちゃいます…。」
「もう恋してるじゃん。」
「ち、違います!さっきは少し興奮してしまいましたがやっぱり黎様ははお嬢様がいますから…。」
「お嬢様がいなかったら狙ってたの?」
「それは…って!そんな理詰めしないでくださいっ!」
「ボクは狙ってたけど。」
「え!?そ、それはずるいです!」
「自分もその者、狙わせていただくでござる。」
突然聞き覚えのない女の声がした。
「何者!?」
「ど…どこからの声でしょうか!?」
「シュバッ!」
突然何もないところから3枚の手裏剣が同じ方向から黒舟に目掛けて飛んでくる。
「キィン!!」
黒舟は手裏剣の飛んできた方向、そして嗅覚を辿って手裏剣を投げた者に対して爪で切り裂く。
「何も見えない!どうなってるの!?」
速さのせいか魔術の類かわからないが紅葉と菱沼には何も見えなかった。
「さすが自分からエマ殿を攫った者でござるな。想像以上に手強いでござる。自分はここで一度退かせて頂くでござる。」
黒舟が菱沼のもとに戻って来る。
「何も見えませんでしたが今の声…あの者がエマちゃんの世話係だったのでしょうか…。」
「そんな様なこと言ってたね…。あとでスローにしてカメラ映像確認してみるよ。晶も今日はもう休もう。」
「そうですね…。」
すると黒舟は外のどこかへ行ってしまった。
そして次の日…
「本当に何もないところから手裏剣3枚飛んできているな…。」
「黎は何の気配も感じなかったの?」
「ええ、全く感じませんでした、それに…」
「それに?」
「昨日はお嬢とのやり取りに夢中になってましたから。」
「ちょっと…♡みんなの前で恥ずかしいこと言わないでよ…♡」
「うちは全ての部屋の壁が防音ですからどれだけエッチしても大丈夫ですよ~♡萌美の歌でご近所迷惑にならないようにするためにそうしました~♡」
「そう、萌美の家にはボクが防犯システムを複数用意したにも関わらず全く何も反応しなかったんだ。」
「まるで『忍び』だな…。」
「しのび?」
「世界線Ⅰの歴史に出てきた密かに敵陣に潜り込み敵方の様子を伺う者の事だ。諜報、破壊、浸透活動、暗殺などを行う。」
「女の声だったから女の忍びの『くノ一』かも。」
「なるほど、もしかすると楓や紅葉がエマの世話係を見たことがないというのはその者が忍びながら世話をしていたからではないのでしょうか。黒舟は鋭い五感でくノ一を見つけ出しエマをここまで連れてくることができたと言ったところでしょうか。」
「確かにその可能性は高い。すると高柳遥輝自身はエマの居場所も、この事実にも気づいていない可能性すらあるな。」
「ところで世話係って2人いるんですよね?紅葉は2人の詳しい情報も知らないのにどうしてその事実と名前を知っているのですか?」
「高柳グループの情報機関の名簿と役割に書いてあったからね。エマのことはお姉様の娘のことだからそれを見なくても知っていたけど。」
「では昨日の忍びの1人が多賀か下田のどちらか、ということしか現段階ではわからないという事ですね。」
「ああ…だが…」
「ええ、わかってます。そのために黒舟も忍びに本気を出さなかったのでしょう。」
「…全く…黎にはかなわんな…。」
「ちょっと!また2人にしかわからない会話してる!!黎っ!どういうこと!?私にも分かるように説明しなさいっ!!」
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