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第三十章 夢魔編
第百五十五話 火の粉
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お嬢が表に出ると無数のサキュバスが家を取り囲んでいた。
「新入りさん。あなたのシフトはまだ入ってますので今からお店に戻っていただけますか?」
リリが玄関の前に立っていた。
「うるさいわね!!誰が新入りよ!!私は生まれた時からお嬢なの!!あなた達なんかよりずーーーーっと先輩よ!!あなた達黎に気があるのかなんだから知らないけどとっとと帰りなさい!!」
それを聞いたリリの表情が豹変する。
「アーッッッッムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくこのクソアマ黙って聞いてりゃペラペラと好き勝手喋りやがって!!てめぇのムカつく血の匂いはさっさと蒸発させてぇと思って俺達はてめぇを葬りにきたんだ!!その口二度と叩けなくしてやるよオルァっ!!」
リリが激昂し別人のようになる。
「カキィン!」
「お前、お嬢のストーカーですか?それは俺が許しま…」
「パシーーーン!!!バーーーーーンッッッ!!!」
玄関からリリの槍をナイフで受け止めた黎がお嬢に平手打ちをされて吹っ飛んだ。
「こらーーーーーっっっ!!!黎っっっ!!!どうして他の女の子達に付いていこうとするのよっっっ!!!黎のばかっっっ!!!」
「仲間割れするなんざ大した余裕…アッつ!?アチい!!アチい!!!なんだこれ!!!?」
「あなた達…私を本気で怒らせてしまったようね…。」
……………
「あ!熱いです!身体が焼けてしまいそうです!」
「も…萌美も溶けてしまいそうです~…。」
「な…なんだこの熱さは…異常だ…。」
「クーラー…どこ…?」
……………
「イヤっ!熱いですリリ様!!」
「私達のお肌が焼けてしまいます!!」
周囲のサキュバス達がどんどん逃げていく。
「う、わ!分かってる!!分かってる…!!ま…待て待ってくれ!!て、てめぇ…な、何者だ…?」
「だからずっと言ってるでしょ。私は生まれた時からお嬢なの。これでも食らいなさい!ファイ…」
お嬢がそう言いかけて左手の人差し指をリリに向けた時だった。
「スミマセンでしたーーーー!!!!!」
リリが突然土下座をして謝った。
「俺達が悪かったです!!!!紛れもなく全て俺達が悪かったです!!!!それでは…!それでは俺達はこれで失礼しま…」
「待ちなさい。」
「は…はい?」
「あなた本当に男の子なの?」
「………はい…。」
「………」
「………あの…。」
「男の子がこんな可愛いわけないでしょー!?許さないわよっ!!ファイ…キャッ!」
黎が突然お嬢をお姫様抱っこした。
「お嬢、熱くなりすぎですよ。」
「黎っ!!離してっ!!離してよっ!!もとはといえば黎が…んっ!」
黎が喋りかけのお嬢の口を唇で塞ぐ。
「すみませんお嬢。俺はまたお嬢を悲しませてしまいましたね。」
「うっ…うっ…黎っ…。」
「二度と冷めることのない本物の熱で、お嬢と俺が結ばれるためにはどうすればよいのか、これからも一緒に考えていきたいです。これは俺のわがままです。俺のわがままに付き合って頂けませんか?」
「そ…そんなの…付き合うに…決まってるじゃない…黎のばかっ…。」
「ありがとうございます。それが聞けて嬉しいです。誰が何と言おうと俺はお嬢を一生愛してますから。」
「私だって…黎の事…ずっと愛してるんだから♡」
泣いて笑いながらお嬢は黎に抱きついた。
一方で悪魔達は2人がやり取りしてる最中に姿を消してしまっていた。
……………
「お…温度が少しずつ下がってきた…。でも…これだけ熱くなったらもしかすると………やっぱり…。」
……………
2人はしばらく抱き合っていた。
「カチャッ」
紅葉が玄関を開けた。
「こっちも全部壊れてる…。」
「…紅葉ちゃん…どうかしたの…?」
「なんか急激に気温が上昇して機械類が全部壊れちゃったみたい…何があったんだろ…。」
「え!?そんな!?大丈夫!?」
「少し時間かかるけどすぐ直せるから大丈夫だよ。」
「それにしても急に気温が上昇するなんて…私には全然気づかなかったわ…。ねぇ、黎は気づいてた?」
「もちろんですよ。」
「そうなの!?一体何が原因なの!?」
「お嬢の俺に対する気持ちと俺がお嬢に対する気持ちですよ。」
お嬢の顔がすぐに赤くなる。
「も…もうっ♡こんな時までなにバカなこと言ってるのよっ♡」
お嬢が黎にキスする。
「そんなことしてるとまた気温が上昇してしまいますよ?」
「じゃあもうどうすればいいの?♡私黎の事大好きだもん♡」
「好きなままでいいんですよ。俺もお嬢が大好きですから。二度と冷めない本物の熱もこれからも持ち続けましょう。」
「えへへ♡わかった♡」
お嬢が黎を抱きしめる。
……………
「リリ、香歩に命乞いして尻尾を巻いて逃げたんだってね?」
「じゅ…呪文を唱える前からとてつもない熱さで…」
「バコッッッ!!!」
「俺の妹なんだからそんなの当たり前じゃん。香歩にとっては例えそれが『火の粉』でもそれは俺達人間にとっても君達悪魔にとっても『業火』なんだよ。」
「す…すみま…せん…それに…まさか…ボスの血縁の…妹様だとは…」
「グシャッ!!グシャッ!!グシャッ!!グシャッ!!グシャッ!!グシャッ!!グシャッ!!グシャッ!!グシャッ!!グシャッ!!」
「血の匂いが嗅ぎ分けられるヴァンパイアなら血縁かどうかぐらい気づけるんじゃないの?血液型が違うと無理なのかな?香歩はA(エー)型だし。まぁ君は普段から店で売上に貢献してるからこれぐらいにしといてあげるよ。俺も昨日陸斗と引き分けたばかりで本調子じゃないし。」
第三十章 夢魔編 ~完~
次回 百五十六話 片手間
「新入りさん。あなたのシフトはまだ入ってますので今からお店に戻っていただけますか?」
リリが玄関の前に立っていた。
「うるさいわね!!誰が新入りよ!!私は生まれた時からお嬢なの!!あなた達なんかよりずーーーーっと先輩よ!!あなた達黎に気があるのかなんだから知らないけどとっとと帰りなさい!!」
それを聞いたリリの表情が豹変する。
「アーッッッッムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくムカつくこのクソアマ黙って聞いてりゃペラペラと好き勝手喋りやがって!!てめぇのムカつく血の匂いはさっさと蒸発させてぇと思って俺達はてめぇを葬りにきたんだ!!その口二度と叩けなくしてやるよオルァっ!!」
リリが激昂し別人のようになる。
「カキィン!」
「お前、お嬢のストーカーですか?それは俺が許しま…」
「パシーーーン!!!バーーーーーンッッッ!!!」
玄関からリリの槍をナイフで受け止めた黎がお嬢に平手打ちをされて吹っ飛んだ。
「こらーーーーーっっっ!!!黎っっっ!!!どうして他の女の子達に付いていこうとするのよっっっ!!!黎のばかっっっ!!!」
「仲間割れするなんざ大した余裕…アッつ!?アチい!!アチい!!!なんだこれ!!!?」
「あなた達…私を本気で怒らせてしまったようね…。」
……………
「あ!熱いです!身体が焼けてしまいそうです!」
「も…萌美も溶けてしまいそうです~…。」
「な…なんだこの熱さは…異常だ…。」
「クーラー…どこ…?」
……………
「イヤっ!熱いですリリ様!!」
「私達のお肌が焼けてしまいます!!」
周囲のサキュバス達がどんどん逃げていく。
「う、わ!分かってる!!分かってる…!!ま…待て待ってくれ!!て、てめぇ…な、何者だ…?」
「だからずっと言ってるでしょ。私は生まれた時からお嬢なの。これでも食らいなさい!ファイ…」
お嬢がそう言いかけて左手の人差し指をリリに向けた時だった。
「スミマセンでしたーーーー!!!!!」
リリが突然土下座をして謝った。
「俺達が悪かったです!!!!紛れもなく全て俺達が悪かったです!!!!それでは…!それでは俺達はこれで失礼しま…」
「待ちなさい。」
「は…はい?」
「あなた本当に男の子なの?」
「………はい…。」
「………」
「………あの…。」
「男の子がこんな可愛いわけないでしょー!?許さないわよっ!!ファイ…キャッ!」
黎が突然お嬢をお姫様抱っこした。
「お嬢、熱くなりすぎですよ。」
「黎っ!!離してっ!!離してよっ!!もとはといえば黎が…んっ!」
黎が喋りかけのお嬢の口を唇で塞ぐ。
「すみませんお嬢。俺はまたお嬢を悲しませてしまいましたね。」
「うっ…うっ…黎っ…。」
「二度と冷めることのない本物の熱で、お嬢と俺が結ばれるためにはどうすればよいのか、これからも一緒に考えていきたいです。これは俺のわがままです。俺のわがままに付き合って頂けませんか?」
「そ…そんなの…付き合うに…決まってるじゃない…黎のばかっ…。」
「ありがとうございます。それが聞けて嬉しいです。誰が何と言おうと俺はお嬢を一生愛してますから。」
「私だって…黎の事…ずっと愛してるんだから♡」
泣いて笑いながらお嬢は黎に抱きついた。
一方で悪魔達は2人がやり取りしてる最中に姿を消してしまっていた。
……………
「お…温度が少しずつ下がってきた…。でも…これだけ熱くなったらもしかすると………やっぱり…。」
……………
2人はしばらく抱き合っていた。
「カチャッ」
紅葉が玄関を開けた。
「こっちも全部壊れてる…。」
「…紅葉ちゃん…どうかしたの…?」
「なんか急激に気温が上昇して機械類が全部壊れちゃったみたい…何があったんだろ…。」
「え!?そんな!?大丈夫!?」
「少し時間かかるけどすぐ直せるから大丈夫だよ。」
「それにしても急に気温が上昇するなんて…私には全然気づかなかったわ…。ねぇ、黎は気づいてた?」
「もちろんですよ。」
「そうなの!?一体何が原因なの!?」
「お嬢の俺に対する気持ちと俺がお嬢に対する気持ちですよ。」
お嬢の顔がすぐに赤くなる。
「も…もうっ♡こんな時までなにバカなこと言ってるのよっ♡」
お嬢が黎にキスする。
「そんなことしてるとまた気温が上昇してしまいますよ?」
「じゃあもうどうすればいいの?♡私黎の事大好きだもん♡」
「好きなままでいいんですよ。俺もお嬢が大好きですから。二度と冷めない本物の熱もこれからも持ち続けましょう。」
「えへへ♡わかった♡」
お嬢が黎を抱きしめる。
……………
「リリ、香歩に命乞いして尻尾を巻いて逃げたんだってね?」
「じゅ…呪文を唱える前からとてつもない熱さで…」
「バコッッッ!!!」
「俺の妹なんだからそんなの当たり前じゃん。香歩にとっては例えそれが『火の粉』でもそれは俺達人間にとっても君達悪魔にとっても『業火』なんだよ。」
「す…すみま…せん…それに…まさか…ボスの血縁の…妹様だとは…」
「グシャッ!!グシャッ!!グシャッ!!グシャッ!!グシャッ!!グシャッ!!グシャッ!!グシャッ!!グシャッ!!グシャッ!!」
「血の匂いが嗅ぎ分けられるヴァンパイアなら血縁かどうかぐらい気づけるんじゃないの?血液型が違うと無理なのかな?香歩はA(エー)型だし。まぁ君は普段から店で売上に貢献してるからこれぐらいにしといてあげるよ。俺も昨日陸斗と引き分けたばかりで本調子じゃないし。」
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