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第三十章 夢魔編
第百五十四話 混在
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「あれは人間ですらなく悪魔のようです。あの店にはヴァンパイアとサキュバスが混在していた様です。」
「ゔぁんぱいあ?さきゅばす?」
「世界線Ⅰの神話に出てきた話に基づいてこの世界にいるようなので、詳しいことは萌美の家に着いてから楓に聞いてみましょう。」
そうしてお嬢と黎は萌美の家に到着してお嬢をおろす。
しかし…
「…セキュリティが厳重すぎて入れませんね…。」
「ちょっとー!!私よー!!お嬢よー!!開けてーーっ!!」
「バンバンバン!!」
お嬢が扉を叩く。
「お嬢!伏せてください!」
黎がお嬢を抱きかかえて一緒に伏せる。
「キャッ!」
「ヒューン!!カーンッ!」
「えっ!?なにっ!?」
「扉を強く叩くと備え付けられた巨大なクロスボウから矢が飛んでくるみたいですね。」
「危ないじゃないの!!」
「まだお嬢も俺も顔認証システムも登録してませんし暗証番号も教えてもらってませんから連絡を…」
「カチャッ」
黎が紅葉に連絡を取ろうとしたら扉が開いた。
「お嬢様、黎、おかえり。」
「ちょっと紅葉ちゃん!!あんなの作ったら危ないじゃない!!私達があの矢に刺さったらどうするのよ!!」
「2人なら大丈夫だと思った。2人の顔の登録、監視カメラから済ませたよ。暗証番号は…これ。」
「何よこれ!?覚えられないわよ!!」
「50桁以上あるじゃないですか…。」
「大丈夫。この端末を2人に渡すからこれ見ながら入力して。1分毎に数字がランダムに変わる。」
「間に合わないわよ!!」
「すごいですねこの短時間で…。」
2人は家の中に入っていった。
「おかえりなさいませ!お嬢様!黎様!」
「おかえりなさいませ~♡デートは楽しんでこれましたか~?♡」
「大変だったわよ!黎が女の子にまた狙われて…」
「ですからあれは女ではなく…」
「だめよ!!あんなに可愛いのが女の子じゃないなんて信じられないわよ!!」
「どういう事だ?」
「楓、世界線Ⅰの神話の悪魔について…」
「ちょっと黎!他の女の子と話す前に私の許可を取りなさい!!」
「…お嬢…楓と先の悪魔の件について話をしてもよろしいですか…?」
「しょうがないわね。これは世界の平和のためね。特別に許してあげるわ。もちろん私がちゃーーーんと見張ってるんだからね!!変な話になったらすぐ止めるから!!」
お嬢が黎にしがみついて離れない。
「お嬢様がいつになくヤンデレになってる…。」
「紅葉ちゃん何か言った!?」
「いや何も…。」
紅葉は言葉を慎む事を少しだけ覚えた。
「その感じだとお嬢と黎は悪魔に遭遇したみたいだな。」
「なんでわかるのよ!?さては楓ちゃん黎の事を追いかけてたわね!?」
「お嬢様…!楓さんはずっとお家にいらっしゃいました!」
「むっ!?そうなの晶ちゃん!?」
「は、はい…!」
お嬢がいつになくピリついている。
「お嬢と俺が遭遇したのはヴァンパイアとサキュバスだと思うのですが、何か詳しいことは知っていますか?」
「資料によればヴァンパイアは血を吸う悪魔でサキュバスは夢に出てきて夢の中で男を寝取る女の悪…」
「え!?何!?夢の中で黎を寝取る女!?」
「黎様もサキュバスさんに夢の中で寝取られてしまうんでしょうか~♡」
「だめーーーーっっっ!!!ぜっっったいにそんなのだめよっ!!!」
お嬢がひどく興奮している。
「お嬢、大丈夫ですよ。俺はサキュバスと接触していません。あのリリと名乗った『男』はヴァンパイアです。あの店ではヴァンパイアとサキュバスが共生、というよりはリリの独裁のもとで生きているみたいですね。」
「え!?じゃ、じゃあなんでそのリリってヴァンパイアはあんな女の子の見た目をしてたのよ!?」
「悪魔という属性で2つの種族の認識が混在されがちでかつその店でどのキャストがヴァンパイアなのかサキュバスなのか区別がつかないようにしているんだろう。もっとも、店に初めて足を運ぶものは普通の店だと思って入店するだろうがな。」
「どうやらあの店のサキュバスは男性の体液を吸わないとその対象に夢を見させることが出来ずそれで首元に噛みついていたんでしょうね。これはヴァンパイアのようなイメージを持ちやすいのですが男性の首元に噛みついていたのはサキュバスです。血を吸うことで夢を見させるつもりだったのでしょう。」
「ちょっと疑問なんですけど…その…どうしてヴァンパイアのリリって方が多くのサキュバスを従える仕組みを作ったのでしょうか?」
「恐らく悪魔同士で子孫を残すためだと思います。サキュバスは女性しか存在しないので悪魔と子孫を残すためには別の種族が必要です。リリは外見と声が生まれ持って中性的で女装ができると考えサキュバスを従えるようになったと考えるのが妥当でしょう。」
「お話し中悪いんだけど、なんか黒い翼の映えた女達に家がいつの間にか囲まれてるよ。」
「また黎を狙う女の子!?ちょっと見せなさい!!」
お嬢が紅葉のパソコンの映像を覗く。
「何よこれ!!皆際どい格好して!!黎っっっぜっっっっっっっっったいに許さないんだからっっっ!!!!!」
「やっぱり俺ですか…ってお嬢!どこ行くんですか!?」
「決まってるじゃない!あの女の子達に文句言いに行くのよ!!」
「お嬢!1人では…」
「あれは私が売られた喧嘩よ!!もう我慢ならないんだから!!!!」
表に出ていくお嬢を止められる者は誰もいなかった。
次回 第百五十五話 火の粉
「ゔぁんぱいあ?さきゅばす?」
「世界線Ⅰの神話に出てきた話に基づいてこの世界にいるようなので、詳しいことは萌美の家に着いてから楓に聞いてみましょう。」
そうしてお嬢と黎は萌美の家に到着してお嬢をおろす。
しかし…
「…セキュリティが厳重すぎて入れませんね…。」
「ちょっとー!!私よー!!お嬢よー!!開けてーーっ!!」
「バンバンバン!!」
お嬢が扉を叩く。
「お嬢!伏せてください!」
黎がお嬢を抱きかかえて一緒に伏せる。
「キャッ!」
「ヒューン!!カーンッ!」
「えっ!?なにっ!?」
「扉を強く叩くと備え付けられた巨大なクロスボウから矢が飛んでくるみたいですね。」
「危ないじゃないの!!」
「まだお嬢も俺も顔認証システムも登録してませんし暗証番号も教えてもらってませんから連絡を…」
「カチャッ」
黎が紅葉に連絡を取ろうとしたら扉が開いた。
「お嬢様、黎、おかえり。」
「ちょっと紅葉ちゃん!!あんなの作ったら危ないじゃない!!私達があの矢に刺さったらどうするのよ!!」
「2人なら大丈夫だと思った。2人の顔の登録、監視カメラから済ませたよ。暗証番号は…これ。」
「何よこれ!?覚えられないわよ!!」
「50桁以上あるじゃないですか…。」
「大丈夫。この端末を2人に渡すからこれ見ながら入力して。1分毎に数字がランダムに変わる。」
「間に合わないわよ!!」
「すごいですねこの短時間で…。」
2人は家の中に入っていった。
「おかえりなさいませ!お嬢様!黎様!」
「おかえりなさいませ~♡デートは楽しんでこれましたか~?♡」
「大変だったわよ!黎が女の子にまた狙われて…」
「ですからあれは女ではなく…」
「だめよ!!あんなに可愛いのが女の子じゃないなんて信じられないわよ!!」
「どういう事だ?」
「楓、世界線Ⅰの神話の悪魔について…」
「ちょっと黎!他の女の子と話す前に私の許可を取りなさい!!」
「…お嬢…楓と先の悪魔の件について話をしてもよろしいですか…?」
「しょうがないわね。これは世界の平和のためね。特別に許してあげるわ。もちろん私がちゃーーーんと見張ってるんだからね!!変な話になったらすぐ止めるから!!」
お嬢が黎にしがみついて離れない。
「お嬢様がいつになくヤンデレになってる…。」
「紅葉ちゃん何か言った!?」
「いや何も…。」
紅葉は言葉を慎む事を少しだけ覚えた。
「その感じだとお嬢と黎は悪魔に遭遇したみたいだな。」
「なんでわかるのよ!?さては楓ちゃん黎の事を追いかけてたわね!?」
「お嬢様…!楓さんはずっとお家にいらっしゃいました!」
「むっ!?そうなの晶ちゃん!?」
「は、はい…!」
お嬢がいつになくピリついている。
「お嬢と俺が遭遇したのはヴァンパイアとサキュバスだと思うのですが、何か詳しいことは知っていますか?」
「資料によればヴァンパイアは血を吸う悪魔でサキュバスは夢に出てきて夢の中で男を寝取る女の悪…」
「え!?何!?夢の中で黎を寝取る女!?」
「黎様もサキュバスさんに夢の中で寝取られてしまうんでしょうか~♡」
「だめーーーーっっっ!!!ぜっっったいにそんなのだめよっ!!!」
お嬢がひどく興奮している。
「お嬢、大丈夫ですよ。俺はサキュバスと接触していません。あのリリと名乗った『男』はヴァンパイアです。あの店ではヴァンパイアとサキュバスが共生、というよりはリリの独裁のもとで生きているみたいですね。」
「え!?じゃ、じゃあなんでそのリリってヴァンパイアはあんな女の子の見た目をしてたのよ!?」
「悪魔という属性で2つの種族の認識が混在されがちでかつその店でどのキャストがヴァンパイアなのかサキュバスなのか区別がつかないようにしているんだろう。もっとも、店に初めて足を運ぶものは普通の店だと思って入店するだろうがな。」
「どうやらあの店のサキュバスは男性の体液を吸わないとその対象に夢を見させることが出来ずそれで首元に噛みついていたんでしょうね。これはヴァンパイアのようなイメージを持ちやすいのですが男性の首元に噛みついていたのはサキュバスです。血を吸うことで夢を見させるつもりだったのでしょう。」
「ちょっと疑問なんですけど…その…どうしてヴァンパイアのリリって方が多くのサキュバスを従える仕組みを作ったのでしょうか?」
「恐らく悪魔同士で子孫を残すためだと思います。サキュバスは女性しか存在しないので悪魔と子孫を残すためには別の種族が必要です。リリは外見と声が生まれ持って中性的で女装ができると考えサキュバスを従えるようになったと考えるのが妥当でしょう。」
「お話し中悪いんだけど、なんか黒い翼の映えた女達に家がいつの間にか囲まれてるよ。」
「また黎を狙う女の子!?ちょっと見せなさい!!」
お嬢が紅葉のパソコンの映像を覗く。
「何よこれ!!皆際どい格好して!!黎っっっぜっっっっっっっっったいに許さないんだからっっっ!!!!!」
「やっぱり俺ですか…ってお嬢!どこ行くんですか!?」
「決まってるじゃない!あの女の子達に文句言いに行くのよ!!」
「お嬢!1人では…」
「あれは私が売られた喧嘩よ!!もう我慢ならないんだから!!!!」
表に出ていくお嬢を止められる者は誰もいなかった。
次回 第百五十五話 火の粉
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