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第三十章 夢魔編
第百五十二話 商売
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お嬢と黎が外に出た頃はちょうど日が沈む頃で辺りはすぐに暗くなった。
「やっぱり繁華街ってどことなく治安の悪さを感じ…」
「あれぇ~?お嬢さんとその彼氏じゃ~ん?久しぶりぃ~。」
「ライカちゃん!?…また酔っ払ってるの…?」
「…この間会ったばかりですけどね…。」
「お嬢さん達が店にこないから商売あがったりでやってらんねぇぜぇ~…な~んてねぇ~…うっぷ…。」
「お嬢…前も言いましたが酔っ払いの相手をするのは…」
「こらぁ~彼氏ぃ~、私のこと面倒くさいやつだと思ってるだろぉ~?そんな君にとっておきの情報を教えて上げるよぉ~…おえっぷ…。」
「…とっておきの情報…?」
「そこのキャバクラぁ~、一見普通のお店に見えるんだけどぉ~、なんか噂ではそこのお店のお客さんは必ず常連になってぇ~すごい儲けてるらしいよぉ~?」
ライカの言っているキャバクラ店の看板を見るとそこには『キャバクラむま』と書かれていた。
「それって現実的に可能なことではないんですか?」
「私の話ちゃんと聞いてたぁ~?これは噂話なんだよぉ~。その話しには裏があってぇ~そこに入ったお客さんはキャバ嬢が夢の中で出てきてあんな事やこんな事をされる夢を必ず見るんだってぇ~。その快楽から抜け出せなくなった常連さんからお金を巻き上げてるって裏話があるんだよぉ~…げぷっ…!」
黎は夢と聞いてすぐに思い浮かぶ人物が頭をよぎる。
夢の死神。
高柳グループがこの店で金を巻き上げているのかと黎は考える。
「まぁ彼氏さんはお嬢さんがいるしぃ~、大丈夫だろうと思うけどぉ~…おえっぷ…!」
「バタンッ!」
ライカがその場で倒れてしまった。
「ライカちゃん!?大丈夫!?」
「グガアアアア…!グガアアアア…!」
「また寝ちゃったの…?」
「やっぱりこれが日常的なんですね…。それにしても夢に出てくるキャバ嬢ですか…。」
「ねぇ黎。」
「どうしました?お嬢。」
「きゃばじょうってなに?」
「キャバクラというお店で働くお店の女性キャストの事です。男性に対する接待をするのですが、客に対して近い距離感で酒を注いだり話をして交流するのを目的としたお店ですね。」
「『じょう』って言うからには私以外にお嬢がいるの?」
「いえ、お嬢はこの世界でお嬢だけですよ。ですが世間一般的には『嬢』と言われるのであまりお嬢にとってはいい気はしないですよね。」
「それはそうね。それにもう一つ気になるのは、男の人をターゲットにするってことは、黎もやっぱりそのお店に興味があるの?」
「いえ、全く無いですね。ですがライカの噂話の裏話が真実なら話が変わってきてしまいます。しかし俺はお嬢とずっと側にいたいので別に…」
「私もちょっと気になるわ、その裏話。ちょっと潜入してみましょう。」
「お嬢…本気ですか?」
「ええ…だって…」
お嬢は俯いていた。
「私以外にお嬢がいるなんて許せるわけないじゃない!!それじゃあ黎もいつ目移りするかわからないわ!!そんなの放っておけるわけにはいかないわよ!!私もそのキャバ嬢になって一緒に潜入するわよ黎っ!!」
お嬢は本気だった。
「…わかりました。では行きましょうか…。ですがどうやって…」
「入口から入るに決まってるでしょ!?」
「いえ…そういうことではなくて…」
黎がそう言っているとお嬢は店の入口からずんずん入っていった。
店に入るとボーイが出迎えてきた。
「お客様は…女性の入店は禁止されておりますが…」
「私はお客じゃなくて今日からここのキャバ嬢になる本物のお嬢よ!!さっさと店の中を案内しなさい!!」
「…お嬢…面接では相手に高圧的な態度をとっては…」
「わかりました。ではご案内いたします。そちらの男性はお客様ですか?」
「え?あ…はい、そうですね…。」
黎はお嬢の破天荒なやり方が順調に進んでいることに違和感を感じながら入店した。
次回 第百五十三話 接客
「やっぱり繁華街ってどことなく治安の悪さを感じ…」
「あれぇ~?お嬢さんとその彼氏じゃ~ん?久しぶりぃ~。」
「ライカちゃん!?…また酔っ払ってるの…?」
「…この間会ったばかりですけどね…。」
「お嬢さん達が店にこないから商売あがったりでやってらんねぇぜぇ~…な~んてねぇ~…うっぷ…。」
「お嬢…前も言いましたが酔っ払いの相手をするのは…」
「こらぁ~彼氏ぃ~、私のこと面倒くさいやつだと思ってるだろぉ~?そんな君にとっておきの情報を教えて上げるよぉ~…おえっぷ…。」
「…とっておきの情報…?」
「そこのキャバクラぁ~、一見普通のお店に見えるんだけどぉ~、なんか噂ではそこのお店のお客さんは必ず常連になってぇ~すごい儲けてるらしいよぉ~?」
ライカの言っているキャバクラ店の看板を見るとそこには『キャバクラむま』と書かれていた。
「それって現実的に可能なことではないんですか?」
「私の話ちゃんと聞いてたぁ~?これは噂話なんだよぉ~。その話しには裏があってぇ~そこに入ったお客さんはキャバ嬢が夢の中で出てきてあんな事やこんな事をされる夢を必ず見るんだってぇ~。その快楽から抜け出せなくなった常連さんからお金を巻き上げてるって裏話があるんだよぉ~…げぷっ…!」
黎は夢と聞いてすぐに思い浮かぶ人物が頭をよぎる。
夢の死神。
高柳グループがこの店で金を巻き上げているのかと黎は考える。
「まぁ彼氏さんはお嬢さんがいるしぃ~、大丈夫だろうと思うけどぉ~…おえっぷ…!」
「バタンッ!」
ライカがその場で倒れてしまった。
「ライカちゃん!?大丈夫!?」
「グガアアアア…!グガアアアア…!」
「また寝ちゃったの…?」
「やっぱりこれが日常的なんですね…。それにしても夢に出てくるキャバ嬢ですか…。」
「ねぇ黎。」
「どうしました?お嬢。」
「きゃばじょうってなに?」
「キャバクラというお店で働くお店の女性キャストの事です。男性に対する接待をするのですが、客に対して近い距離感で酒を注いだり話をして交流するのを目的としたお店ですね。」
「『じょう』って言うからには私以外にお嬢がいるの?」
「いえ、お嬢はこの世界でお嬢だけですよ。ですが世間一般的には『嬢』と言われるのであまりお嬢にとってはいい気はしないですよね。」
「それはそうね。それにもう一つ気になるのは、男の人をターゲットにするってことは、黎もやっぱりそのお店に興味があるの?」
「いえ、全く無いですね。ですがライカの噂話の裏話が真実なら話が変わってきてしまいます。しかし俺はお嬢とずっと側にいたいので別に…」
「私もちょっと気になるわ、その裏話。ちょっと潜入してみましょう。」
「お嬢…本気ですか?」
「ええ…だって…」
お嬢は俯いていた。
「私以外にお嬢がいるなんて許せるわけないじゃない!!それじゃあ黎もいつ目移りするかわからないわ!!そんなの放っておけるわけにはいかないわよ!!私もそのキャバ嬢になって一緒に潜入するわよ黎っ!!」
お嬢は本気だった。
「…わかりました。では行きましょうか…。ですがどうやって…」
「入口から入るに決まってるでしょ!?」
「いえ…そういうことではなくて…」
黎がそう言っているとお嬢は店の入口からずんずん入っていった。
店に入るとボーイが出迎えてきた。
「お客様は…女性の入店は禁止されておりますが…」
「私はお客じゃなくて今日からここのキャバ嬢になる本物のお嬢よ!!さっさと店の中を案内しなさい!!」
「…お嬢…面接では相手に高圧的な態度をとっては…」
「わかりました。ではご案内いたします。そちらの男性はお客様ですか?」
「え?あ…はい、そうですね…。」
黎はお嬢の破天荒なやり方が順調に進んでいることに違和感を感じながら入店した。
次回 第百五十三話 接客
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