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第二十九章 沈黙編
第百四十八話 均衡
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「…自分からやってくるなんて珍しいですね。どうしましたか?ライト。」
「………」
「なるほど。知らせて頂いてありがとうございます。」
「ダンテが何者かに攫われたのね…。」
「誰だ?」
「B級舎弟のライト様です!いつも同じB級舎弟のダンテ様と一緒に行動しているのですが、今日はお一人のようですね!お嬢様の呼びかけにすぐに駆けつけてくださる方なのですがご自身で自ら足を運ぶのは珍しいですね!」
「喋れないの?」
「ダンテ様との独自言語を話されていて、私達とはコミュニケーションを取れないのですが、黎様のドミニオンで記憶を読み取ることでいつも黎様を通じて南グループでコミュニケーションをとっています!」
「言葉が通じなくても心が通じれば大丈夫ですよ♡」
「私もそれは同感!…なんだけど、2人が考えていることは実はよくわからなくて南グループに凄く忠誠を誓っているのは確かなんですけど、普段どこにいるのかとか、何をしてるのかとか、そういうのは謎が多いんです。それで2人のことを南グループの皆さんは『サイレントデュオ』と呼んでいるんです。」
「………」
菱沼が3人にダンテとライトの話をしているとライトは黙ってその場を後にした。
……………
「ドッ」
「おい、どこ見て歩いてんだ?」
1人の男が誰かとぶつかり振り向く。
「おい、それはこっちの台詞だ。」
ぶつかった相手の男がそれに反応して振り向く。
2人は互いにそう喋っていたわけではない。
互いにぶつかり互いに振り向き目を見合わせてそう言っているのを感じ取っただけだ。
そして無言のまま互いに争いが始まる。
1人は足幅を広く取って沈み込むような態勢で腕を構える。
彼の名はダンテ。
もう1人は軽いフットワークで浮かび上がるような態勢で腕を構える。
彼の名はライト。
ライトが右からミドルキックを入れる。
それをダンテが左腕で掴んで間合いにはいりすかさずライトのもう片方の足をダンテの足の踵からかりあげようとするが、軸足だった方のライトの足が浮かび上がって掴まれた脚を軸に身体ごと回転させて踵から頭に脚を落とそうとするのをダンテが右手で受け止める。
ライトは体幹の力で受け止められた脚以外は宙に浮いた状態であった。
ダンテは両腕、ライトは両脚が塞がって両者互いに譲らず両者の力は拮抗した。
……………
ライトが病院を出ると、そこにはダンテがいた。
「………」
「………」
「バシッッッ!!!」
ライトが右のミドルキックを入れたがダンテに左手で掴まれた。
「ギィィィッッッ!!」
ライトの右のすねがライトに握り潰されそうになる。
……………
「私めの占星術によれば南グループのダンテという男はライトという男と2人でサイレントデュオと呼ばれており2人は常に修行に励んでいましたが、互いの力は常に拮抗していました。しかし陸斗様の氷化によって人間の脳によって無意識にかけられている力の制限を解くことができるので力の均衡が崩れるかと思います。陸斗様の氷化の実験にはとても良いサンプルです。」
「お前すげーな。ふつー軍備って言ったらつえーやつを仲間にするとかそういうのが真っ先に思い浮かんで俺はエンケラドス仲間にしたのにお前はお前で地道にこの『ゲーム』攻略しようとしてんじゃん。お前もうゲーマーだな。さすが『星読み』の『ルナ』だわ。」
「いえ、私めはエンケラドス様ありきでこの方法を思いついたので陸斗様の足元には全然及びません。」
「そうか?じゃあ紅葉が高柳グループにいた頃に創ったゲーム持ってきたからちょっと息抜きに対戦やるか?」
「それは面白そうですね。私めも相手が陸斗様だとしても本気を出させて頂きますよ。」
次回 第百四十九話 洗脳
「………」
「なるほど。知らせて頂いてありがとうございます。」
「ダンテが何者かに攫われたのね…。」
「誰だ?」
「B級舎弟のライト様です!いつも同じB級舎弟のダンテ様と一緒に行動しているのですが、今日はお一人のようですね!お嬢様の呼びかけにすぐに駆けつけてくださる方なのですがご自身で自ら足を運ぶのは珍しいですね!」
「喋れないの?」
「ダンテ様との独自言語を話されていて、私達とはコミュニケーションを取れないのですが、黎様のドミニオンで記憶を読み取ることでいつも黎様を通じて南グループでコミュニケーションをとっています!」
「言葉が通じなくても心が通じれば大丈夫ですよ♡」
「私もそれは同感!…なんだけど、2人が考えていることは実はよくわからなくて南グループに凄く忠誠を誓っているのは確かなんですけど、普段どこにいるのかとか、何をしてるのかとか、そういうのは謎が多いんです。それで2人のことを南グループの皆さんは『サイレントデュオ』と呼んでいるんです。」
「………」
菱沼が3人にダンテとライトの話をしているとライトは黙ってその場を後にした。
……………
「ドッ」
「おい、どこ見て歩いてんだ?」
1人の男が誰かとぶつかり振り向く。
「おい、それはこっちの台詞だ。」
ぶつかった相手の男がそれに反応して振り向く。
2人は互いにそう喋っていたわけではない。
互いにぶつかり互いに振り向き目を見合わせてそう言っているのを感じ取っただけだ。
そして無言のまま互いに争いが始まる。
1人は足幅を広く取って沈み込むような態勢で腕を構える。
彼の名はダンテ。
もう1人は軽いフットワークで浮かび上がるような態勢で腕を構える。
彼の名はライト。
ライトが右からミドルキックを入れる。
それをダンテが左腕で掴んで間合いにはいりすかさずライトのもう片方の足をダンテの足の踵からかりあげようとするが、軸足だった方のライトの足が浮かび上がって掴まれた脚を軸に身体ごと回転させて踵から頭に脚を落とそうとするのをダンテが右手で受け止める。
ライトは体幹の力で受け止められた脚以外は宙に浮いた状態であった。
ダンテは両腕、ライトは両脚が塞がって両者互いに譲らず両者の力は拮抗した。
……………
ライトが病院を出ると、そこにはダンテがいた。
「………」
「………」
「バシッッッ!!!」
ライトが右のミドルキックを入れたがダンテに左手で掴まれた。
「ギィィィッッッ!!」
ライトの右のすねがライトに握り潰されそうになる。
……………
「私めの占星術によれば南グループのダンテという男はライトという男と2人でサイレントデュオと呼ばれており2人は常に修行に励んでいましたが、互いの力は常に拮抗していました。しかし陸斗様の氷化によって人間の脳によって無意識にかけられている力の制限を解くことができるので力の均衡が崩れるかと思います。陸斗様の氷化の実験にはとても良いサンプルです。」
「お前すげーな。ふつー軍備って言ったらつえーやつを仲間にするとかそういうのが真っ先に思い浮かんで俺はエンケラドス仲間にしたのにお前はお前で地道にこの『ゲーム』攻略しようとしてんじゃん。お前もうゲーマーだな。さすが『星読み』の『ルナ』だわ。」
「いえ、私めはエンケラドス様ありきでこの方法を思いついたので陸斗様の足元には全然及びません。」
「そうか?じゃあ紅葉が高柳グループにいた頃に創ったゲーム持ってきたからちょっと息抜きに対戦やるか?」
「それは面白そうですね。私めも相手が陸斗様だとしても本気を出させて頂きますよ。」
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