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第二十八章 探偵編
第百四十三話 調査
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「まずは紅葉の病室にいる楓達と合流をしましょうか。情報を共有しなければなりませんから。」
そう言って黎は紅葉の病室へと足へ運ぶ。
そして紅葉の病室の前へと辿り着く。
「楓ちゃーん、紅葉ちゃーん、入るわよー?」
お嬢が病室の扉越しに呼びかける。
「ああ、お嬢か。かまわん。」
「ガラガラガラ」
お嬢が引き戸を開ける。
楓がお嬢と黎の姿を見て驚く。
「…どういう状況だ?」
「屋敷を襲ってきた針と糸を扱う黒いフードの者について情報共有をしたくてやってきました。」
「………。」
紅葉はずっと俯いたまま黙っていた。
「…紅葉ちゃん…。」
お嬢が紅葉を気にかける。
「………あいつが来てから全てが始まったんだ…。…そして始まった頃にはボク達の終わりはもう決まっていた…。」
「そうね。私達の終わりはもう決まってるわよ。」
「…お嬢…?」
「いい?私は南グループのお嬢なの。南グループに不可能なことなんてないの。私達が終わる時はいつだって皆笑って終わる時なのよ。だから紅葉ちゃんを含めて皆が笑ってない時はまだ終わりじゃないの。だから皆が力を合わせるの。そのために南グループがあるのよ。」
「…お嬢………お嬢の言う通りです…。」
「…お嬢様…ボク…ごめんなさい…。」
紅葉は涙を流す。
「大丈夫よ紅葉ちゃん。あなたにはあなたのお姉さんの楓ちゃんを含めて南グループの皆がいるんだから。あなたは黎にちょっかいを出して私を怒らせなければいいのよ。」
「お嬢…最後ので全部台無しなんです…。」
「お嬢の言う通りだ。お嬢を怒らせる様な事だけは気をつけるんだぞ紅葉。」
「…うん…お姉様…ごめんなさい…。」
「2人もお嬢の言葉の重要なところをしっかりと捉えてください…。紅葉の謝罪がお嬢を怒らせたことに対する謝罪みたいになってますがそんなことしてないじゃないですか…。」
そして黎は菱沼と萌美の病室でお嬢と話し合った経緯について2人に話した。
「なるほど…容疑者は南病院一の名医のレフトス、洋服ブランド店のシェーハのオーナーのライカ、そして元南グループA級舎弟で屍人使いの二階堂レナの腹違いの姉である蟲使いの竈馬リナの3人か。」
「それ以外の者の可能性ももちろんありますが、身近で思いつく限りではこの3人と言った感じでしょうか。屋敷が襲われ始めたのは昨日の夜中の23時頃だったんですよね。今は既に20時を周っていて、この時間ともなると手術しかしていないレフトスも仕事を終えてるでしょうし、洋服ブランド店のシェーハも既に店を閉めてる時間ですね。竈馬は何をしてるのか知りませんが…。」
「…竈馬昆虫博物館の館長、竈馬リナ。」
紅葉が自前のパソコンの画面をお嬢と黎に向けながら呟く。
「キャーーーーーッッッ!!!」
お嬢が画面を見た途端急に叫びだして画面から目を逸らして目を強く瞑る。
「お嬢…これこの前俺と一緒に見た蝶ですよ…。黒い蝶ですか…。カラスアゲハの類でしょうか…。それにしても腹違いとは言え顔が二階堂に似てますね。」
黎が竈馬リナのプロフィール写真を見ながら言う。
本人は写真の右側に映り右手のひらを掲げてその上に蝶が舞っている写真を載せている。
髪は二階堂と同じ黒色だが二階堂は二つ結びなのに対し竈馬はショートヘアだ。
「いずれにしてもこの時間は閉館してる様ですし彼女も夜中23時には動けそうな感じですね。…お嬢、もう目開けて大丈夫ですよ。」
「もうっ!びっくりしたわよっ!黎のばかっ!」
「…俺ですか…?そう言えばお嬢、今日の宿どうしますか?屋敷は完全に燃えてしまったと思うので帰るとこないですけど…。」
「そんなの病室で寝ればいいのよ。」
「またそんな勝手なことをしていいんですか…。」
「私はお嬢なんだからいいの!」
黎はふとあることに気づいた。
「お嬢、もしレフトスが犯人だとしたらお嬢と俺が病院で宿を取ることはおろか、南病院は危険なのではないですか?」
「確かにそれはそうかもしれないな。レフトスが犯人だとしたらレフトス自身の目的は分からないが土屋は南グループを壊滅させると言っていた。もしレフトスが土屋に加担しているなら真っ先に狙われるのはお嬢だな。」
「ボク達が南病院に来ることも予測してここからが本番っていう可能性もあるし警戒した方がいいよね。」
「どうしよう!?皆の命が危ないの!?」
そして何より黎が一番気がかりな事がまだあった。
次回 百四十四話 潜入
そう言って黎は紅葉の病室へと足へ運ぶ。
そして紅葉の病室の前へと辿り着く。
「楓ちゃーん、紅葉ちゃーん、入るわよー?」
お嬢が病室の扉越しに呼びかける。
「ああ、お嬢か。かまわん。」
「ガラガラガラ」
お嬢が引き戸を開ける。
楓がお嬢と黎の姿を見て驚く。
「…どういう状況だ?」
「屋敷を襲ってきた針と糸を扱う黒いフードの者について情報共有をしたくてやってきました。」
「………。」
紅葉はずっと俯いたまま黙っていた。
「…紅葉ちゃん…。」
お嬢が紅葉を気にかける。
「………あいつが来てから全てが始まったんだ…。…そして始まった頃にはボク達の終わりはもう決まっていた…。」
「そうね。私達の終わりはもう決まってるわよ。」
「…お嬢…?」
「いい?私は南グループのお嬢なの。南グループに不可能なことなんてないの。私達が終わる時はいつだって皆笑って終わる時なのよ。だから紅葉ちゃんを含めて皆が笑ってない時はまだ終わりじゃないの。だから皆が力を合わせるの。そのために南グループがあるのよ。」
「…お嬢………お嬢の言う通りです…。」
「…お嬢様…ボク…ごめんなさい…。」
紅葉は涙を流す。
「大丈夫よ紅葉ちゃん。あなたにはあなたのお姉さんの楓ちゃんを含めて南グループの皆がいるんだから。あなたは黎にちょっかいを出して私を怒らせなければいいのよ。」
「お嬢…最後ので全部台無しなんです…。」
「お嬢の言う通りだ。お嬢を怒らせる様な事だけは気をつけるんだぞ紅葉。」
「…うん…お姉様…ごめんなさい…。」
「2人もお嬢の言葉の重要なところをしっかりと捉えてください…。紅葉の謝罪がお嬢を怒らせたことに対する謝罪みたいになってますがそんなことしてないじゃないですか…。」
そして黎は菱沼と萌美の病室でお嬢と話し合った経緯について2人に話した。
「なるほど…容疑者は南病院一の名医のレフトス、洋服ブランド店のシェーハのオーナーのライカ、そして元南グループA級舎弟で屍人使いの二階堂レナの腹違いの姉である蟲使いの竈馬リナの3人か。」
「それ以外の者の可能性ももちろんありますが、身近で思いつく限りではこの3人と言った感じでしょうか。屋敷が襲われ始めたのは昨日の夜中の23時頃だったんですよね。今は既に20時を周っていて、この時間ともなると手術しかしていないレフトスも仕事を終えてるでしょうし、洋服ブランド店のシェーハも既に店を閉めてる時間ですね。竈馬は何をしてるのか知りませんが…。」
「…竈馬昆虫博物館の館長、竈馬リナ。」
紅葉が自前のパソコンの画面をお嬢と黎に向けながら呟く。
「キャーーーーーッッッ!!!」
お嬢が画面を見た途端急に叫びだして画面から目を逸らして目を強く瞑る。
「お嬢…これこの前俺と一緒に見た蝶ですよ…。黒い蝶ですか…。カラスアゲハの類でしょうか…。それにしても腹違いとは言え顔が二階堂に似てますね。」
黎が竈馬リナのプロフィール写真を見ながら言う。
本人は写真の右側に映り右手のひらを掲げてその上に蝶が舞っている写真を載せている。
髪は二階堂と同じ黒色だが二階堂は二つ結びなのに対し竈馬はショートヘアだ。
「いずれにしてもこの時間は閉館してる様ですし彼女も夜中23時には動けそうな感じですね。…お嬢、もう目開けて大丈夫ですよ。」
「もうっ!びっくりしたわよっ!黎のばかっ!」
「…俺ですか…?そう言えばお嬢、今日の宿どうしますか?屋敷は完全に燃えてしまったと思うので帰るとこないですけど…。」
「そんなの病室で寝ればいいのよ。」
「またそんな勝手なことをしていいんですか…。」
「私はお嬢なんだからいいの!」
黎はふとあることに気づいた。
「お嬢、もしレフトスが犯人だとしたらお嬢と俺が病院で宿を取ることはおろか、南病院は危険なのではないですか?」
「確かにそれはそうかもしれないな。レフトスが犯人だとしたらレフトス自身の目的は分からないが土屋は南グループを壊滅させると言っていた。もしレフトスが土屋に加担しているなら真っ先に狙われるのはお嬢だな。」
「ボク達が南病院に来ることも予測してここからが本番っていう可能性もあるし警戒した方がいいよね。」
「どうしよう!?皆の命が危ないの!?」
そして何より黎が一番気がかりな事がまだあった。
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