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第二十七章 三凶編
第百四十話 西極
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「………!?どうなってやがる!?ここは以前ただの大陸だったはずなのに気温が下がって雪で覆われてるじゃねーか!?」
リソスの目の前に映ったのは真っ白の雪で覆われた地平線の見える大きな大陸だった。
そして雪で覆われた真っ白な大陸の上空に行き着くと、平地だけではなく雪山もある。
「気温が低すぎて周りの海もよく見たら凍りついてるじゃねーか!?咲の側近の白髪眼鏡はこの事気づいて…」
「ヒュウウウウウウ…ドゴーーーーン!!」
「グアアアッッ!?」
突然リソスの背中に重い何かがのしかかった。
「バーーーーーン!!」
リソスが大陸の地面に墜落した。
「あいつならもうじき永遠に沈むよ?海の表面は全て凍りつき海と陸の行き来はやがて出来なくなる。やっぱ俺のほうがかっけーじゃん。」
「ドゴン…!ドゴン!ドゴン!!ドゴン!!ドゴン!!!ドゴン!!!!ドゴン!!!!ドゴン!!!!!ドゴン!!!!!!ドゴンッッッ!!!!!!!ッッッバーーーーーンッッッ!!!!!」
白髪の男がリソスの背中を何度も殴りつけ最後は両手を振り下ろす。
リソスは雪の中へと沈んでゆく。
「よくはるばるこんなところまで来たな。ここは俺の作った『西極大陸』だから俺がこの氷の大陸の皇帝。地軸を傾け自然環境を変えるのはめんどくせーって最初は思ったけど、地形の変化に敏感な大地の王のお前は海斗の好きなあの女に夢中だし、あの女は影山の夢の中だし、南グループの本拠地は土屋が攻めてるからやってみたら案外簡単だったな。」
「テ…テメェ…誰の許可得て…」
「お前、とっとと沈めよ。」
「バーーーーーンッッッ!!!」
リソスは完全に雪の中へと沈んでしまった。
……………
「それにしてもよくやったね。陸斗、影山、土屋の『無彩色三凶(モノクロデルタ)』随分と見違えたんじゃないの?」
「…この男は私の動きについてこれたんですの…。しかしこいつはこの鎌を持った男の作り出した幻影…。リソス様の幻影が倒された時のように本物程の実力はないはずですの…。それに私はあの時十二単を纏っていたんですの…。カウントダウンを進めた段階の私には勝機はまだ…」
「ポキッ」
遥輝が肩を鳴らす。
「言っとくけど俺、さっきの爬虫類と違って幻影じゃないよ?」
「シュンッ!シュンッ!」
江戸村が遥輝の拳をギリギリでなんとかかわす。
「…!?1枚しか着てない私の動きでかわすのがやっとですの!?一撃でも食らったらあの時みたいに…」
「隙あり。」
「ドカッッッ!!!バーーーーーンッッッ!!!」
江戸村は遥輝に蹴られ吹っ飛ばされてしまい気を失ってしまった。
「またしばらく眠ることになるのかな。それじゃあ帰ろうか、影山。」
「キッキッキッキッキ…。」
そうして遥輝と影山は姿を消してしまった。
一方お屋敷では…
「全然当たらない!あの時と…ボクらが高柳グループにいた時とこいつの実力…全然違う…!」
「当然と言えば当然でしょう。高柳グループは実力主義なのですから所属していて成果を出そうと励んでいれば強くなるのは当たり前です。まだまだこれからですよ。イリュージョン。」
「シュンッ…」
紅葉の周囲に複数の土屋の姿をした者が現れた。
「これは…幻影だ!紅葉!惑わされるな!」
「…わ…分かってる!」
「ちょっと黎!!皆が戦ってる時に何であなただけ寝てるのよ!!起きなさいよ!!」
「お…お嬢にやられました…。」
「何バカなこと言ってるの!!私が黎にそんなことするわけないじゃない!!黎のバカっ!!」
「…そうですね。すみませんでした。では、行きますか。」
「ザシュッッッ!!!」
「グハッッッ!?」
「シュン…」
1人の黎に切りつけられた土屋を残して土屋の幻影は全て姿を消した。
「お前が作り出した幻影と元々の本物のお前の思考を全て読もうとすればどれが本物かぐらいわかりますよ。幻影は人間じゃないですから思考は読めません。」
「…ク…クックックッ…」
「皆!!あいつから離れて!!」
「ドカーーーーーンッッッ!!!」
「やっぱり逃げたわね。それより皆の手当てが必要ね。晶ちゃんと萌美ちゃんを病院に運びましょう。皆、手伝って。」
「はい、わかりました。」
「………。」
「紅葉、お前も戦闘で負傷している。病院にかかれ。」
「…ボク…負けた…歯が立たなかった…イルックスと…イストルも…」
「紅葉、まだ勝負はついていない。お前はまだ負けていない。今は休め。それが次の勝負に勝つ為に必要な準備だ。」
「………。」
楓が紅葉の元によって抱きしめる。
「お前はよくやった。」
紅葉の目から涙が溢れた。
そして楓の回復魔法のもとで菱沼と萌美は応急処置を受けながら、裏口から屋敷を後にし、南病院へ搬送された。
2人は一命を取り止めたが搬送先で意識は未だ戻らなかった。
……………
「南グループのワタクシと同じS級舎弟の、リソス様は西極大陸のとある場所の雪の中に陸斗様に生き埋めにされ、江戸村様は影山様の夢の中で意識を失い再び深い眠りについてしまいましたね。これは南グループにとっては大きな戦力を奪われた事になります。高柳グループの無彩色三凶(モノクロデルタ)はかなりの戦力を持って南グループに挑戦しにやってきました。お屋敷に放たれた針山は高柳グループと何か関係があるのでしょうか?南グループの皆さん、これからどうされますか?」
第二十七章 ~完~ 三凶編
次回 第百四十一話 初歩
リソスの目の前に映ったのは真っ白の雪で覆われた地平線の見える大きな大陸だった。
そして雪で覆われた真っ白な大陸の上空に行き着くと、平地だけではなく雪山もある。
「気温が低すぎて周りの海もよく見たら凍りついてるじゃねーか!?咲の側近の白髪眼鏡はこの事気づいて…」
「ヒュウウウウウウ…ドゴーーーーン!!」
「グアアアッッ!?」
突然リソスの背中に重い何かがのしかかった。
「バーーーーーン!!」
リソスが大陸の地面に墜落した。
「あいつならもうじき永遠に沈むよ?海の表面は全て凍りつき海と陸の行き来はやがて出来なくなる。やっぱ俺のほうがかっけーじゃん。」
「ドゴン…!ドゴン!ドゴン!!ドゴン!!ドゴン!!!ドゴン!!!!ドゴン!!!!ドゴン!!!!!ドゴン!!!!!!ドゴンッッッ!!!!!!!ッッッバーーーーーンッッッ!!!!!」
白髪の男がリソスの背中を何度も殴りつけ最後は両手を振り下ろす。
リソスは雪の中へと沈んでゆく。
「よくはるばるこんなところまで来たな。ここは俺の作った『西極大陸』だから俺がこの氷の大陸の皇帝。地軸を傾け自然環境を変えるのはめんどくせーって最初は思ったけど、地形の変化に敏感な大地の王のお前は海斗の好きなあの女に夢中だし、あの女は影山の夢の中だし、南グループの本拠地は土屋が攻めてるからやってみたら案外簡単だったな。」
「テ…テメェ…誰の許可得て…」
「お前、とっとと沈めよ。」
「バーーーーーンッッッ!!!」
リソスは完全に雪の中へと沈んでしまった。
……………
「それにしてもよくやったね。陸斗、影山、土屋の『無彩色三凶(モノクロデルタ)』随分と見違えたんじゃないの?」
「…この男は私の動きについてこれたんですの…。しかしこいつはこの鎌を持った男の作り出した幻影…。リソス様の幻影が倒された時のように本物程の実力はないはずですの…。それに私はあの時十二単を纏っていたんですの…。カウントダウンを進めた段階の私には勝機はまだ…」
「ポキッ」
遥輝が肩を鳴らす。
「言っとくけど俺、さっきの爬虫類と違って幻影じゃないよ?」
「シュンッ!シュンッ!」
江戸村が遥輝の拳をギリギリでなんとかかわす。
「…!?1枚しか着てない私の動きでかわすのがやっとですの!?一撃でも食らったらあの時みたいに…」
「隙あり。」
「ドカッッッ!!!バーーーーーンッッッ!!!」
江戸村は遥輝に蹴られ吹っ飛ばされてしまい気を失ってしまった。
「またしばらく眠ることになるのかな。それじゃあ帰ろうか、影山。」
「キッキッキッキッキ…。」
そうして遥輝と影山は姿を消してしまった。
一方お屋敷では…
「全然当たらない!あの時と…ボクらが高柳グループにいた時とこいつの実力…全然違う…!」
「当然と言えば当然でしょう。高柳グループは実力主義なのですから所属していて成果を出そうと励んでいれば強くなるのは当たり前です。まだまだこれからですよ。イリュージョン。」
「シュンッ…」
紅葉の周囲に複数の土屋の姿をした者が現れた。
「これは…幻影だ!紅葉!惑わされるな!」
「…わ…分かってる!」
「ちょっと黎!!皆が戦ってる時に何であなただけ寝てるのよ!!起きなさいよ!!」
「お…お嬢にやられました…。」
「何バカなこと言ってるの!!私が黎にそんなことするわけないじゃない!!黎のバカっ!!」
「…そうですね。すみませんでした。では、行きますか。」
「ザシュッッッ!!!」
「グハッッッ!?」
「シュン…」
1人の黎に切りつけられた土屋を残して土屋の幻影は全て姿を消した。
「お前が作り出した幻影と元々の本物のお前の思考を全て読もうとすればどれが本物かぐらいわかりますよ。幻影は人間じゃないですから思考は読めません。」
「…ク…クックックッ…」
「皆!!あいつから離れて!!」
「ドカーーーーーンッッッ!!!」
「やっぱり逃げたわね。それより皆の手当てが必要ね。晶ちゃんと萌美ちゃんを病院に運びましょう。皆、手伝って。」
「はい、わかりました。」
「………。」
「紅葉、お前も戦闘で負傷している。病院にかかれ。」
「…ボク…負けた…歯が立たなかった…イルックスと…イストルも…」
「紅葉、まだ勝負はついていない。お前はまだ負けていない。今は休め。それが次の勝負に勝つ為に必要な準備だ。」
「………。」
楓が紅葉の元によって抱きしめる。
「お前はよくやった。」
紅葉の目から涙が溢れた。
そして楓の回復魔法のもとで菱沼と萌美は応急処置を受けながら、裏口から屋敷を後にし、南病院へ搬送された。
2人は一命を取り止めたが搬送先で意識は未だ戻らなかった。
……………
「南グループのワタクシと同じS級舎弟の、リソス様は西極大陸のとある場所の雪の中に陸斗様に生き埋めにされ、江戸村様は影山様の夢の中で意識を失い再び深い眠りについてしまいましたね。これは南グループにとっては大きな戦力を奪われた事になります。高柳グループの無彩色三凶(モノクロデルタ)はかなりの戦力を持って南グループに挑戦しにやってきました。お屋敷に放たれた針山は高柳グループと何か関係があるのでしょうか?南グループの皆さん、これからどうされますか?」
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