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第二十四章 獣人編
第百二十五話 本能
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黎もすぐにお嬢の元へ駆け寄る。
「お嬢、この者は空腹で行倒れてしまったみたいですね。どこから来てどうしてこんな所にいるのかまではわかりませんが。」
男はアッシュグレーの髪色をしていて獣の耳のようなものが頭部から生えている。
「とりあえず食事が必要ならお屋敷に連れて行くわよ!黎っ!お願い!」
「わかりました…。それにしても…」
黎は男を肩に担いでお嬢と屋敷に戻る。
「この者の名前………。そしてこの耳………。」
黎は色々考えながら屋敷へと向かう。
2人が屋敷に戻ると菱沼と萌美が広間で談笑していた。
「お帰りなさいませお嬢様、黎様…って…そのお方はどちら様ですか!?」
「話は後よ!晶ちゃん!今すぐ食事をお願い!」
黎はお嬢の今の掛け声で担いでる男がピクリと動くのを感じ取った。
「…はい!かしこまりました!」
そして菱沼は調理場へ向かった。
「萌美も手伝うよ~♡」
萌美も調理場に向かう。
そして黎は男を椅子に座らせようとするが男の力が入らず椅子から崩れ落ちてしまいそうになるのを介助する。
そして菱沼と萌美が調理場に向かってしばらくすると突然男が目を見開き顔を上げる。
そして一瞬の出来事であった。
「キャーーーー!!!」
黎が介助していたはずの男はもう椅子に座っていない。
調理場の方からは菱沼と萌美の叫び声が聞こえる。
「な…!何…!?何が起きたの…!?」
黎がすぐに調理場に駆けつける。
そこには尻もちをついて腰を抜かした菱沼と萌美、そして男が食材のまま貪り食う光景が黎の視界に広がっていた。
「こ…これは…。」
「………」
男は無言でひたすら食い散らかす。
「一体何があったの!?晶ちゃん!萌美ちゃん!大丈夫!?」
お嬢も慌てて駆けつけてその光景を目にして驚く。
「ちょっとあなた何して…」
「お嬢!近づいてはいけません!」
黎がお嬢が男を止めようとするのをすぐに止める。
「こいつは『黒舟彰』という名前で…本能のままに生きていて…何を考えているのかが全く分かりません…!」
「くろふね…あきら…?晶ちゃんと同じ名前…?」
「はい、ただ…あの感じ…恐らく戦闘力はあの高柳遥輝を上回るレベルだと思いますし、下手に刺激するのは危険です。それにあの耳、恐らくあれは人間ではなく『獣人』で人間よりも鋭い五感と身体能力を持っています。」
「ど……どうしましょう………。」
菱沼は腰を抜かして動けずにいる。
そして男は食事の手を止め、立ち上がって菱沼の方に視線をやりじっと見つめる。
「…っ!?」
「ちょっと!あなた!」
黎がすぐに黒舟と菱沼の間に入る。
「………」
黒舟は黙っている。
「あなた!皆に手を出したら許さないわよ!?」
お嬢が黒舟に怒鳴りつける。
「………」
黒舟が黙ったまま調理場の出口へと目をやり、そちらに向かって歩き出す。
「ちょっと!あなた人に食べさせてもらっておいてお礼の一つもできないの!?」
「………」
黒舟は静かに屋敷を後にしていった。
「もう!なんなのよ!!こんなに食べ散らかして!!」
お嬢が食べ散らかった残骸を見て文句を言う。
「お嬢、あいつは話の通じる相手ではありませんよ。過去でも殆ど人との関わりを持たず1人で生きてきたみたいです。まさに『一匹狼』と言った感じですね。」
「私と名前が同じなのに…全然生き方が違いますね…。」
次回 第百二十六話 夜襲
「お嬢、この者は空腹で行倒れてしまったみたいですね。どこから来てどうしてこんな所にいるのかまではわかりませんが。」
男はアッシュグレーの髪色をしていて獣の耳のようなものが頭部から生えている。
「とりあえず食事が必要ならお屋敷に連れて行くわよ!黎っ!お願い!」
「わかりました…。それにしても…」
黎は男を肩に担いでお嬢と屋敷に戻る。
「この者の名前………。そしてこの耳………。」
黎は色々考えながら屋敷へと向かう。
2人が屋敷に戻ると菱沼と萌美が広間で談笑していた。
「お帰りなさいませお嬢様、黎様…って…そのお方はどちら様ですか!?」
「話は後よ!晶ちゃん!今すぐ食事をお願い!」
黎はお嬢の今の掛け声で担いでる男がピクリと動くのを感じ取った。
「…はい!かしこまりました!」
そして菱沼は調理場へ向かった。
「萌美も手伝うよ~♡」
萌美も調理場に向かう。
そして黎は男を椅子に座らせようとするが男の力が入らず椅子から崩れ落ちてしまいそうになるのを介助する。
そして菱沼と萌美が調理場に向かってしばらくすると突然男が目を見開き顔を上げる。
そして一瞬の出来事であった。
「キャーーーー!!!」
黎が介助していたはずの男はもう椅子に座っていない。
調理場の方からは菱沼と萌美の叫び声が聞こえる。
「な…!何…!?何が起きたの…!?」
黎がすぐに調理場に駆けつける。
そこには尻もちをついて腰を抜かした菱沼と萌美、そして男が食材のまま貪り食う光景が黎の視界に広がっていた。
「こ…これは…。」
「………」
男は無言でひたすら食い散らかす。
「一体何があったの!?晶ちゃん!萌美ちゃん!大丈夫!?」
お嬢も慌てて駆けつけてその光景を目にして驚く。
「ちょっとあなた何して…」
「お嬢!近づいてはいけません!」
黎がお嬢が男を止めようとするのをすぐに止める。
「こいつは『黒舟彰』という名前で…本能のままに生きていて…何を考えているのかが全く分かりません…!」
「くろふね…あきら…?晶ちゃんと同じ名前…?」
「はい、ただ…あの感じ…恐らく戦闘力はあの高柳遥輝を上回るレベルだと思いますし、下手に刺激するのは危険です。それにあの耳、恐らくあれは人間ではなく『獣人』で人間よりも鋭い五感と身体能力を持っています。」
「ど……どうしましょう………。」
菱沼は腰を抜かして動けずにいる。
そして男は食事の手を止め、立ち上がって菱沼の方に視線をやりじっと見つめる。
「…っ!?」
「ちょっと!あなた!」
黎がすぐに黒舟と菱沼の間に入る。
「………」
黒舟は黙っている。
「あなた!皆に手を出したら許さないわよ!?」
お嬢が黒舟に怒鳴りつける。
「………」
黒舟が黙ったまま調理場の出口へと目をやり、そちらに向かって歩き出す。
「ちょっと!あなた人に食べさせてもらっておいてお礼の一つもできないの!?」
「………」
黒舟は静かに屋敷を後にしていった。
「もう!なんなのよ!!こんなに食べ散らかして!!」
お嬢が食べ散らかった残骸を見て文句を言う。
「お嬢、あいつは話の通じる相手ではありませんよ。過去でも殆ど人との関わりを持たず1人で生きてきたみたいです。まさに『一匹狼』と言った感じですね。」
「私と名前が同じなのに…全然生き方が違いますね…。」
次回 第百二十六話 夜襲
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