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第二十三章 海陸風編
第百二十三話 預言
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お嬢と黎は紅葉に呼ばれて書斎に入った。
「どうしましたか?楓。」
「…これを見てくれ…。」
楓が手に持っていたのは『iの書』であった。
そして楓が見開き1ページ目をお嬢と黎に見せる。
お嬢と黎は驚いた。
白紙だったはずのページに文字が書き記されていたからだ。
そこには、
『双生なる者達の後なる末子の魂抽出されし。魂彷徨いてかの侍の器に帰りけり。』
と書いてあった。
「…どういう意味よ…?」
「『かの侍』…そう言えば紅葉が創ったゲームの中で俺が相討ちになった天宮のことを紅葉は詳しく知っているんですか?」
「一応高柳グループにいた頃の天宮の戦い方を楓お姉様と話し合って考察して創ったものだよ。でも、色々謎が多い事に変わりはなくて、わかっていることと言えばお嬢と黎のプレイ履歴から黎の戦っていた複数いたように見えた天宮は黎の攻撃を本人が全て受けてるよ。」
「え!?あれって黎に切られたと思ったらすぐに消えてたのに偽物じゃなかったの!?」
「まず前提としてあの世界では魔法が使えませんから幻影を作り出すのはなかなか難しいです。ずっと手応えがあったのでなんとなく分かっていたのですが恐らくあれは全て本物の天宮で、敢えて自ら致命傷を避けながら攻撃を受けた瞬間に別の場所から抜刀を継続するというのを繰り返して最後の居合で俺にトドメを刺したのでしょう。まさに肉を切らせて骨を断つといった感じでした。」
「しかし後半の文章の侍を天宮に当てはめると魂は別の者から授かって身体は天宮のあの姿の者の物だと言うことになるな。」
「そうですね。それにしても…前半の『双生なる者達の後なる末子の魂』とは一体誰の魂なのでしょうか…。」
……………
海斗は花束を持ってある場所に向かっていた。
それは、昔崖だったが陸斗が平地にした海斗と陸斗がよく知る場所。
海斗がその場所に行くと一束の花が添えられてあった。
「………陸斗………なかなか美しいではありませんか。」
そう呟いて海斗はその隣にもう一束花を添えた。
そして海斗はその場で跪き、両手を併せ目を瞑る。
そして暫く経った後海斗は目を開け静かに立ち上がりその場を後にする。
そしてそれを一部始終、いや、それよりも前からずっとその場所の近くにいる者が気配を消して木の陰に隠れていた。
その者は、
「…風の赴くままに…。」
と一言だけ呟いてその場から姿を消した。
……………
「そういえばボクの創ったゲーム、どうだった?まだ感想聞いてなかった。」
「一晩で仕上げたゲームとは思えないかなりの完成度でお嬢も俺も十分楽しめたかと…」
「黎が最後に死んじゃったわよ!なんてことしてくれるのよ!」
お嬢が紅葉の両肩を掴んで揺らす。
「あわわわ…でも最終的にはにはクリアできたんだし…」
「そういう問題じゃないわよ!」
「まあなんだかんだシナリオ1はクリアできたって感じだね。2人ならできると思ったよ。次のシナリオでは黎も全回復で生き返るから安心して。」
「やっぱりまだ続きがあるんですね。ゲーム内の日数で考えるとそんなに長くはなかったですからね。」
「まぁまだ続き創ってないけどね。」
「よかったですねお嬢、また紅葉がゲームを創ってくれるみたいですよ。」
「いやよ…。」
「…お嬢…?」
「黎が死んじゃって終わるなんてぜっっったいにいやよっ!!!今度こそ2人とも生き残ってクリアするんだから!!」
「…お嬢………そうですね。次こそしっかり攻略して2人で生き残ってクリアしましょう。」
「やってやろうじゃないの!」
「これは楽しみだね。ゲームの世界はボクの世界。ゲーム内のボクの預言を上手く汲み取ってって2人で無事に生き残ってクリアする事ができるかな?」
第二十三章 海陸風編 ~完~
次回 第百二十四話 行倒れ
「どうしましたか?楓。」
「…これを見てくれ…。」
楓が手に持っていたのは『iの書』であった。
そして楓が見開き1ページ目をお嬢と黎に見せる。
お嬢と黎は驚いた。
白紙だったはずのページに文字が書き記されていたからだ。
そこには、
『双生なる者達の後なる末子の魂抽出されし。魂彷徨いてかの侍の器に帰りけり。』
と書いてあった。
「…どういう意味よ…?」
「『かの侍』…そう言えば紅葉が創ったゲームの中で俺が相討ちになった天宮のことを紅葉は詳しく知っているんですか?」
「一応高柳グループにいた頃の天宮の戦い方を楓お姉様と話し合って考察して創ったものだよ。でも、色々謎が多い事に変わりはなくて、わかっていることと言えばお嬢と黎のプレイ履歴から黎の戦っていた複数いたように見えた天宮は黎の攻撃を本人が全て受けてるよ。」
「え!?あれって黎に切られたと思ったらすぐに消えてたのに偽物じゃなかったの!?」
「まず前提としてあの世界では魔法が使えませんから幻影を作り出すのはなかなか難しいです。ずっと手応えがあったのでなんとなく分かっていたのですが恐らくあれは全て本物の天宮で、敢えて自ら致命傷を避けながら攻撃を受けた瞬間に別の場所から抜刀を継続するというのを繰り返して最後の居合で俺にトドメを刺したのでしょう。まさに肉を切らせて骨を断つといった感じでした。」
「しかし後半の文章の侍を天宮に当てはめると魂は別の者から授かって身体は天宮のあの姿の者の物だと言うことになるな。」
「そうですね。それにしても…前半の『双生なる者達の後なる末子の魂』とは一体誰の魂なのでしょうか…。」
……………
海斗は花束を持ってある場所に向かっていた。
それは、昔崖だったが陸斗が平地にした海斗と陸斗がよく知る場所。
海斗がその場所に行くと一束の花が添えられてあった。
「………陸斗………なかなか美しいではありませんか。」
そう呟いて海斗はその隣にもう一束花を添えた。
そして海斗はその場で跪き、両手を併せ目を瞑る。
そして暫く経った後海斗は目を開け静かに立ち上がりその場を後にする。
そしてそれを一部始終、いや、それよりも前からずっとその場所の近くにいる者が気配を消して木の陰に隠れていた。
その者は、
「…風の赴くままに…。」
と一言だけ呟いてその場から姿を消した。
……………
「そういえばボクの創ったゲーム、どうだった?まだ感想聞いてなかった。」
「一晩で仕上げたゲームとは思えないかなりの完成度でお嬢も俺も十分楽しめたかと…」
「黎が最後に死んじゃったわよ!なんてことしてくれるのよ!」
お嬢が紅葉の両肩を掴んで揺らす。
「あわわわ…でも最終的にはにはクリアできたんだし…」
「そういう問題じゃないわよ!」
「まあなんだかんだシナリオ1はクリアできたって感じだね。2人ならできると思ったよ。次のシナリオでは黎も全回復で生き返るから安心して。」
「やっぱりまだ続きがあるんですね。ゲーム内の日数で考えるとそんなに長くはなかったですからね。」
「まぁまだ続き創ってないけどね。」
「よかったですねお嬢、また紅葉がゲームを創ってくれるみたいですよ。」
「いやよ…。」
「…お嬢…?」
「黎が死んじゃって終わるなんてぜっっったいにいやよっ!!!今度こそ2人とも生き残ってクリアするんだから!!」
「…お嬢………そうですね。次こそしっかり攻略して2人で生き残ってクリアしましょう。」
「やってやろうじゃないの!」
「これは楽しみだね。ゲームの世界はボクの世界。ゲーム内のボクの預言を上手く汲み取ってって2人で無事に生き残ってクリアする事ができるかな?」
第二十三章 海陸風編 ~完~
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