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第二十三章 海陸風編
第百二十話 追悼
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「黎……黎………。」
お嬢は息を引き取った黎をずっと抱きしめて名前を呼び続けた。
……………
「………亡くなったしまった彼は…非常に美しかったです。」
……………
「…!?………またあの夢か…めんどくせー…。」
……………
「………。」
「……ょう、…じょう、お嬢、お嬢。」
お嬢は部屋で虚ろな表情を浮かべていた。
「お嬢。大丈夫ですか?お嬢。」
「…れ…い…?」
「俺ですよ。お嬢と俺は四天王を倒しゲームをクリアして元の世界に戻って来たみたいですよ。」
「黎………黎っ!!」
お嬢が黎を強く抱きしめる。
「生きてて…よかった…。」
お嬢がボロボロ涙を流している。
「ゲームの中では死んでしまいましたけど、お嬢が生きていたのでクリアできたみたいです。」
「ゲームの中でも…黎が死んじゃうの…耐えられなかった…。」
「それは逆の立場なら俺も同じです。悲しませてしまってすみません。」
黎もお嬢を抱きしめる。
しばらく抱きしめ合い、互いに生きてることの有り難みを互いに実感するようになる。
……………
「………たまには陸に上がって風を感じるのも悪くはないですね。」
……………
「………今日は静かだな…いつもうるせーのがいねーから…外の風の音だけを聞くのは久々だな…。」
……………
黎がふと部屋の時計に目をやる。
「…それにしてもお嬢…ゲームの世界ではあれだけ時間が流れていたのに、現実世界では5分程度しか経っていないみたいですね…。」
それを聞いてお嬢も時計に目をやる。
「…ほんとだ…。あれだけ密度の濃い時間を過ごすだのが嘘みたい…。」
「ということは、特に現実世界では大きな変化などはなかったということですね。」
「ええ、色々心配もあったけど、安心したわ。それじゃあ黎、エッチしよ♡」
「…ゲームの世界であれだけしたのにまだしたいんですね。いけないお嬢様です。」
「あんっ♡」
……………
「………やはり陸に上がるとアイツの事を思い出してしまうので、気が沈んでしまいますね。私とした事が…美しくないです。」
……………
「…やっぱり静かな外は風の音だけ…アイツの事を思い出しちまうな…めんどくせー…。」
……………
「海斗お兄ちゃん!陸斗お兄ちゃん!一緒に外で遊ぼうよ!」
「風斗、私が与えた今日のやるべき課題はやったのですか?あなたも将来の事を考えて今できる事をしないと行けませんよ。でないと美しくなれませんよ。」
「えー、後でやるよ!じゃあ陸斗お兄ちゃん遊ぼうよ!」
「…めんどくせーよ…つーかうるせーよ…ゲーム集中できねーだろ…お前沈めるぞ…。」
「陸斗もゲームばかりしていないで勉学に勤しむことを考えないと将来困りますよ?」
「…あ?…喧嘩売ってる…?…お前も沈めてやってもいいけど…?」
「もう2人ともまた喧嘩ー!?仲良くしようよー!」
「………。」
「………。」
「ほら!行くよ!」
「…全く…帰ったらちゃんと課題やるんですよ…。」
「…めんどくせーから少しだけだぞ…。」
次回 第百二十一話 空
お嬢は息を引き取った黎をずっと抱きしめて名前を呼び続けた。
……………
「………亡くなったしまった彼は…非常に美しかったです。」
……………
「…!?………またあの夢か…めんどくせー…。」
……………
「………。」
「……ょう、…じょう、お嬢、お嬢。」
お嬢は部屋で虚ろな表情を浮かべていた。
「お嬢。大丈夫ですか?お嬢。」
「…れ…い…?」
「俺ですよ。お嬢と俺は四天王を倒しゲームをクリアして元の世界に戻って来たみたいですよ。」
「黎………黎っ!!」
お嬢が黎を強く抱きしめる。
「生きてて…よかった…。」
お嬢がボロボロ涙を流している。
「ゲームの中では死んでしまいましたけど、お嬢が生きていたのでクリアできたみたいです。」
「ゲームの中でも…黎が死んじゃうの…耐えられなかった…。」
「それは逆の立場なら俺も同じです。悲しませてしまってすみません。」
黎もお嬢を抱きしめる。
しばらく抱きしめ合い、互いに生きてることの有り難みを互いに実感するようになる。
……………
「………たまには陸に上がって風を感じるのも悪くはないですね。」
……………
「………今日は静かだな…いつもうるせーのがいねーから…外の風の音だけを聞くのは久々だな…。」
……………
黎がふと部屋の時計に目をやる。
「…それにしてもお嬢…ゲームの世界ではあれだけ時間が流れていたのに、現実世界では5分程度しか経っていないみたいですね…。」
それを聞いてお嬢も時計に目をやる。
「…ほんとだ…。あれだけ密度の濃い時間を過ごすだのが嘘みたい…。」
「ということは、特に現実世界では大きな変化などはなかったということですね。」
「ええ、色々心配もあったけど、安心したわ。それじゃあ黎、エッチしよ♡」
「…ゲームの世界であれだけしたのにまだしたいんですね。いけないお嬢様です。」
「あんっ♡」
……………
「………やはり陸に上がるとアイツの事を思い出してしまうので、気が沈んでしまいますね。私とした事が…美しくないです。」
……………
「…やっぱり静かな外は風の音だけ…アイツの事を思い出しちまうな…めんどくせー…。」
……………
「海斗お兄ちゃん!陸斗お兄ちゃん!一緒に外で遊ぼうよ!」
「風斗、私が与えた今日のやるべき課題はやったのですか?あなたも将来の事を考えて今できる事をしないと行けませんよ。でないと美しくなれませんよ。」
「えー、後でやるよ!じゃあ陸斗お兄ちゃん遊ぼうよ!」
「…めんどくせーよ…つーかうるせーよ…ゲーム集中できねーだろ…お前沈めるぞ…。」
「陸斗もゲームばかりしていないで勉学に勤しむことを考えないと将来困りますよ?」
「…あ?…喧嘩売ってる…?…お前も沈めてやってもいいけど…?」
「もう2人ともまた喧嘩ー!?仲良くしようよー!」
「………。」
「………。」
「ほら!行くよ!」
「…全く…帰ったらちゃんと課題やるんですよ…。」
「…めんどくせーから少しだけだぞ…。」
次回 第百二十一話 空
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