【R18】世界線Ⅱ〜恋するお嬢とその舎弟達〜

石原歩

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第二十二章 学園編

第百十八話 不審者

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「ピーンポーンパーンポーン」

 休み時間中に突然スピーカーから普段は聞かない音がした。

「何かしら?」

「校内に不審者が現れた。皆気をつけて。」

「ピーンポーンパーンポーン」

「紅葉の声ですね。それにしても不審者ですか。どんなやつなんでしょうか。」

「不審者って…怖い…。」

 女子生徒の1人が怯えてる。

「何言ってるのよ、大丈夫よ。」

 お嬢が怯えた女子生徒を安心させる。

「…南さん…。」

「お嬢…やっぱり優し…」

「黎がなんとかしてくれるわよ。」

「お嬢…。」

「それにしても私の学校にノコノコ入っくるなんていい度胸ね。黎、行くわよ。」

「はい。」

「行くってまさか…直接不審者のところにいくのか!?」

「そうですけど。」

「さすがにあぶねーぞ!?」

「知ってるわよ。でもこのままじゃ皆が危ないのよ。黙って見過ごすわけにはいかないの。」

 そうして2人は教室を後にした。

「あの2人…やっぱりすげー…。」

「か…かっこいい…。」

 お嬢と黎が外に出ると、門を入った所に1人の不審人物が立っていた。

「お嬢…確かにこれは不審者ですね…。」

「ええ…これは怪しいわ…間違いなく犯罪者予備軍よ…。」

 赤色の兜を被り鎧のような者を身にまとって者で顔を隠した男が両腕を組んで立っている。

 2人の目からすればそれは明らかに不審者だった。

「…こんな所で何してるんですか…太陽…。」

「俺だけではないぞ。」

 すると門の脇から別の3人が出てきた。

「あなたたちは…!」

「ここが南学校ですか、なかなか美しいですね。」

「千佳はなんかここ来たことあるゾ?」

「…風の赴くままに…。」

「お前達はA級四天王!…っていうかどこから突っ込んでいいか分からないんですが…。」

「俺は卑怯な事が嫌いだ。」

「不審者が言う事ではないような気がしますが…いや…不審者がこう言うこと自体が不審なんでしょうか…。」

「はて、私はお嬢を探しに参ったのですが。」

「お嬢は私で、咲なら私の教室で寝てるわよ。」

「ここに美味しそうなものはあるのカ?」

「…お前はさっきまで実習生でしたよね…?」

「…風の赴くままに…。」

「…なんで生きてるのよ…。」

「…なんで生きてるんですか…。」

「っていうかあなた達こんな所で何してるのよ!?」

「『ラスボス』を目の前にしてその威勢いつまで保つ事が出来るのか…」

「私達四天王の屍を越え…」

「倒すことができるのカ…」

「…風の赴くままに…」

「らすぼすって何よ?」

「ラストボスのことでしょうね。つまりこの4人を倒すことがゲームクリアみたいですよお嬢。」

「そうなの!?…うーん…でもなんかちょっとさみしいような…。それにゲームとはいえ私の舎弟だし…。」

「お気持ちは分かりますがまた紅葉が新作のゲームとか続編とか作ってくれると思うのでここはクリアしてしまってもいいのではないのですか?それにお嬢の舎弟はゲーム内でやられたぐらいで簡単に現実世界で死ぬような者達ではありませんよ。」

「それもそうね!そうと決まればサクッと倒しちゃいましょう!」

「切り替え早いですね…。…それと突っ込もうか迷ったのですが…4人が四天王の威厳を出そうとセリフを繋げようとしてるみたいですが息が全然合ってないですね…。太陽のセリフは情報の9割程度を担ってる感じがありますし、それに言葉を繋げられない海斗もこけてるのですが千佳は海斗の言ってることの後半を別の言い方にしてるだけですし、天宮は姿を現してから同じことしか言ってません…。これゲームのバグなんでしょうか…?」

「俺達は『バトンタッチ形式』で戦闘を行う。こちらは戦ってる者が倒され次第次の戦闘がすぐに始まるぞ。お前達はどんな手を使っても構わない。」

「ばとんたっちけいしき?」

「相手は4人一斉に戦うのではなく、1人ずつこちらに挑んできて、倒されたら交代するというのを全員倒し終えるまで繰り返す事です。」

「なるほどね。太陽らしいわね。それならこっちだって1人で挑んでやるわ。」

「お嬢…まさか…」

「黎がね。」

「ですよね…。」

「戦場はそこの『校庭』だ。」

 太陽は敷地内の砂の表面で覆われたスペースを指差す。

 そしてお嬢、黎とA級四天王は校庭の真ん中へと向かう。

「順番は千佳、俺、海斗、天宮だ。」

「そこまで教えてくれるんですね…。」

 その順序を聞いて黎はふと思う事がある。

 そして一行は校庭へと移動したのであった。


 次回 第百十九話 四天王
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