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第二十二章 学園編

第百十二話 友達

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「あの…私…南さんの自己紹介聞いて…感動しました…私…南さんのこと…もっとよく…知りたいです…できたら…その…お友達になって頂けませんか?」

「…晶ちゃん…当たり前じゃないっ!」

「それと…もしよかったら、うちから学校に通ってください。部屋は一部屋だけ空いてて敷布団しかないのですが…。」

「ほんとっ!?凄く助かるっ!全然オッケーよっ!私と黎はいつも一緒に寝てるから全く問題ないわっ!」

「やっぱりお嬢、ありのままのお嬢でよかったですね。」

「うんっ!あっ!でも、私達カップルだから、黎に手出したらダメだからね!?」

「は、はい!わかってます…!お2人はとても仲が良さそうですし、皆だれもお邪魔できないと思いますよ!」

「それがそうでもないのよっ!黎ってばすぐ他の女の子にちょっかいを…」

「出してません…。」

「あ、さっき自己紹介しましたが私は菱沼晶って言います。よろしくお願いしますね!」

「ええ、よく知ってるわ。よろしくね、晶ちゃんっ!」

 そうしてお嬢と黎は菱沼に宿を提供してもらえることとなった。

 そして仮想世界でも現実世界と変わらずお嬢は黎と性行為をした。

「仮想世界でもかなり現実味がありますね。」

「あんっ♡気持ちいぃ♡」

 そして次の日…

 黎はお嬢より先に目を覚ます。

 そして黎は時計を見てハッとする。

「お嬢!起きてください!寝坊です!」

「…うーん…黎…まだ眠い…。」

 お嬢が黎に抱きつきながら目を瞑っている。

「だめですよお嬢!登校時間に間に合わないと…」

「…エッチしょ…♡」

「…お嬢…1回だけですよ…。」

 そしてお嬢と黎は起床後の性行為を終えてリビングに行くと菱沼がもう学校に行く支度を既に整えている。

「お2人とも急がないと遅刻してしまいます!」

「お嬢、急ぎましょう。」

「朝食はよろしいのですか!?」

「私達は少食だから平気よ。」

「菱沼、先に行っていてください。鍵を渡して頂ければ掛けておきます。」

「わ…わかりました!」

 そう言って菱沼は黎に家の鍵を手渡し学校へと走っていく。

 そして黎とお嬢も制服を着て支度を整え、黎が玄関の鍵を閉める。

「お嬢、一気にいきますよ。」

「キャッ!」

 黎がお嬢とをお姫様抱っこをして学校まで駆け抜ける。

 道路を走ると『自動車』よりも、線路沿いを走ると『電車』よりも速い。

 そして学校に到着する。

「間に合いました。片道20秒程度ですかね。」

「おい…見たか?」

「あの最強の女の彼氏…めちゃくちゃ走るのはえーぞ…。」

 周囲から黎の視線を浴びる。

 そしてさらに、

「ねぇ…あの人カッコよくない…?」

「彼女さんも凄く美人で…羨ましい…。」

「私もあんな彼氏欲しいな…。」

「お姫様抱っこで登校なんて…憧れちゃう…。」

 女子の間でも黎のことは噂になっていた。

「むっっっ!!!」

 お嬢がそんな小声で話している女子達を睨みつけられ、女子たちは目をそらして逃げてしまう。

「ちょっと黎っ!女の子に人気ありすぎじゃないっ!こっちは気が気じゃないわよっ!」

「そんな人気を集める俺が一途にお嬢を愛してるんですよ。お嬢はそれだけ魅力的な女性だということです。」

「…でも…!やきもちやいちゃうのっ!!」

 お嬢は黎の胸に顔をうずめる。

「ハァ…ハァ…お…お2人とも…もう…着いていたのですか…。」

 その声を聞いたお嬢は声のした方へ振り向く。

「晶ちゃん!大丈夫!?汗でびしょびしょじゃない!?」

「だ…大丈夫です…それより…教室へ急ぎましょう…『ホームルーム』が始まってしまいます…。」

「ほーむるーむ?」

「学校の1日が始まる時に担任の先生が教壇に立って連絡事項などを話すんです。そこで出席をとるのですがそれに間に合わないと遅刻になってしまいます…。」

「わかりました。それではお嬢、教室へ向かいましょう。」

 そしてお嬢と黎と菱沼は教室へ向かった。

 そしてホームルームが始まる。

 紅葉が教壇に立つ。

「みんな、最初は新しい学校生活に慣れないかもしれないけど、そのうち慣れるから頑張って。全員来てるね。それじゃあ今日のホームルームは終わり。」

 そう言って紅葉が教室も後にしていった。

「なんか学校生活ってそんなに楽しいものなのかな?」

「…お嬢…?」

「毎日同じ時間に起きて毎日同じ場所に来て毎日同じ教室の席に座る。なんか…お父様の言ってた、『こんな意味のない世界でどうして忙しなく生きているのか理解できない』って考え方…今なら少しわかる気がする…。」

「………。」

「もちろん私はこの仮想世界に来て間もないし、この世界をモチーフになった元の世界のことの全てを知ったわけじゃないよ。でも…なんか私には少し合わないのかもしれない…。」

「南源蔵がいた世界はまさにこのような世界だったみたいですよお嬢。南源蔵は学校に通っていたかはわかりませんがここは世界線Ⅰを舞台にした仮想世界です。そして俺は今改めて思いました。お嬢は与えられた世界を享受するのは苦手で、以前おっしゃったように、自分で世界を創りたいのだなと。争いのない世界を。世界を生きる側の人間としてだけでなく、世界を創る側の人間でありたいのがお嬢ではないのかと俺は思うのです。」

「…そうかも…しれないわね…。」

「現実世界の南グループを実際あそこまで大きくすることができた実績だってあるんです。お嬢と俺ならきっといつかできますよ。」

「黎…ずっと一緒にいてね。」

 教室のど真ん中でお嬢が黎を抱きしめる。


 次回 第百十三話 目の敵
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