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第二十一章 依存症編

第百六話 疑似

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 その頃お嬢と黎はお嬢の部屋で抱き合っていた。

「…お嬢…菱沼と萌美がこんな時間にも関わらず帰ってきてないような気がします。それになにか助けを求めているような…。」

「…黎…こんな時に他の女の子の事考えちゃうの…?っていうか…どうしてそんな事わかるの…?」

「…勘です…」

「むーーーっ!!!」

 お嬢が両頬を膨らませて怒っている。

「…でも、確かに2人がこんな時間に帰ってきてないなら心配ね…。どこに行ってしまったのかしら…。」

「…少し気が引けますが彼女たちの記憶を元に探してみましょうか。」

「…そうね。2人の安全が優先だものね。」

「………!?萌美がともとてつもない興奮状態に陥ってる状態で、菱沼からはいつになく虚無感が感じられます!どこにいるのか分かりません…これはまさか…。」

「…どういうこと…!?」

「恐らく彼女たちはどこかで誘拐されて『麻薬』の類を強制的に摂取させられてるのだと思います。」

「まやく?」

「裏社会などでよく出回っている特定の植物から採れる薬の類で、一時的な興奮状態を引き起こし、時間経過でその状態から離脱させることで高い依存性から摂取したくなる欲求を引き起こさせるものです。摂取する側はそれを手に入れるために高い金銭と引き換えに取引をしてしまうこともよくあります。」

「なによそれ!?晶ちゃんと萌美ちゃんはそんなもの摂取させられてるの!?」

「はい、そしてあくまでこれは可能性ですがあの2人は裏社会の人間に麻薬を取引させられ、尚且つ『風呂に沈められる』のだと思います。」

「お風呂に沈められるって、溺死させられちゃうの!?」

「いえ、俗語として女性が男性に性的なサービスをした仕事をさせ金銭を稼がせ、その取り分を裏社会の人間が何割か持ってゆき、その余り分を彼女たちに与えそのお金で麻薬を取引させるのだと思います。」

「…私の舎弟にそんなこと………ぜっっったいに許さないわ!!いくわよ!黎!!」

「はい、急ぎましょう。」

 お嬢と黎が部屋を出るとそこには楓と紅葉がいた。

「今の話し、聞かせてもらったぞ。」

「敵の居場所もばっちり。」

「流石、仕事が早いですね。」

 ……………

「萌美~すっごく幸せ~♡」

「いい感じになってきたじゃねーか。そろそろ薬切らしてみるか。」

「ドンッ!!!」

 突然部屋の扉が開く音がした。

「ちょっとあなた達。私の大事な舎弟を返してもらうわよ。」

「誰だお前ら!?見張りのやつらはどうした!?」

「見張りとはこいつらのことか?」

「ドサッドサッドサッ。」

 楓がのびた男3人を投げる。

「2人にGPSつけててよかった。」

「お前達南グループの舎弟に手を出すことの意味わかってるんですか?」

 男は背後から黎の声がするのが聞こえる。

「ひっ…!?」

「ザシュッッッ!!!」

「バタンッ!」

「致命傷は避けましたよ。」

「萌美ちゃん、帰るわよ。」

「あれ~?♡お嬢様~?♡どうしてここに~?♡」

「あなたを助けに来たのよ。あとは晶ちゃんね。」

「黎様~♡萌美とエッチしてくださぁい♡」

 萌美が黎に近づき服を脱ぎ始める。

「ちょっとっ!!だめよっ!!萌美ちゃんっ!!黎から離れてっ!!」

 萌美が黎に抱きつく。

「いやですぅ♡離れませんよぉ♡」

「ちょっとっ!!黎も抵抗しなさいよっ!!」

「お嬢、これが麻薬の恐ろしいところの一つですよ。興奮状態に陥ると理性がコントロールできなくなるのです。」

「そんなの関係ないわよっ!!萌美ちゃんっ!!だめったらだめっ!!」

 お嬢が無理矢理萌美を黎から離そうとする。

「紅葉、オレ達は晶のところへ先に向かうぞ。」

「うん、これは長くなりそうだね。」

「黎様ぁ♡萌美はずっと黎様のことがだぁいすきでしたぁ♡萌美をお嫁さんにしてくださぁい♡」
  
「だめっ!!黎は私と結婚するのっ!!あなたは別の男を探しなさいっ!!」

 ……………

「ここだね。」

「乗り込むぞ。」

「ドカーンッ!」

「なんだお前らはっ!?」

「ザクッ!!」

 男に楓の槍が貫かれる。

「お前に名乗る名などない。」

「スパッ!」

「バタンッ!」

 楓が槍を引き抜き男が倒れる。

「晶、大丈夫?」

「………。」

 菱沼は虚ろな表情をしており反応がないが、紅葉が手足の拘束を解く。

 楓が晶を担いで部屋を後にする。

 そして先程のお嬢達がいた部屋へと戻る。

「萌美ちゃんっ!!いい加減にしなさいっ!!」

「黎様ぁ♡萌美とお嬢様どちらかはっきり選んでくださ~い♡」

「お嬢です。」

「そんなぁ~♡」

「まだやってる…。」

「そんなの………萌美………」

「萌美ちゃん!!もう本当にいい加減にしないと…」

 お嬢が萌美を叱りつけてる時だった。

「いやーーーッッッ!!!」

 萌美が急に金切り声で叫びだす。


 次回 第百七話 離脱
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