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第十九章 切札編
第百話 黒と赤
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2人の黎が話し合っているとお嬢が部屋に入ってくる。
そして迷わず片方の黎の方に歩み寄り、抱きしめてキスをする。
「本物の黎はこっちね。やっぱり一瞬でわかったわ。簡単よ。あなた、赤井夢幻ね。一体何の用かしら?」
赤井夢幻と呼ばれた方の抱きしめられていない方の黎と思われていた男の髪が赤くなる。
「さすが田本黎のお嬢ですね。簡単なことです。田本黎を殺しにやって来ました。同じ人間は2人もいらないですからね。」
そう言って夢幻は黎に襲いかかる。
「ドカーーーーーン!!」
しかし黎はお嬢を抱えながらかわす。
「ちょっと!!私の部屋の壁壊さないでよ!!」
「俺は今日部屋から出られないんですから仕方ないですよね?」
「バコッッッ!」
「カハッ…!」
黎が夢幻に顔を殴られる。
「黎っ!」
「大丈夫ですお嬢。」
「ザシュッッッ!!!」
黎がお嬢を抱えながら夢幻の右腕を切りつける。
「お前の記憶を読んでわかったんです。お前、触れた者の記憶を読めるんですね。俺にそっくりです。だから木表で俺に殴って首を掴んだ時の俺の記憶からここに辿り着くことができたんですね。」
「バコッッッ!!」
黎が再び夢幻に顔を殴られる。
「ザシュッッッ!!!!」
黎が再び夢幻の右腕を切りつける。
「どうして…魔法が…使えない…世界の…木表で…そんな事が…できるのか…それは…お前が…木表の…者とは…違う…特別な…」
「バコッッッ!!!」
黎が夢幻に顔を殴られる。
「ザシュッッッッッ!!!!!」
黎が夢幻の顔を深く切りつける。
「そし…て…お前…は…こっち…の世界…の…俺に…しか…倒せ…ない…だか…ら…高…柳…遥輝…も…お前…に…負け…」
「ドカッッッ!!!」
黎が夢幻に顔を蹴られる。
「ザシュッッッッッッッ!!!!!」
黎が夢幻の首を切りつける。
「バタンッッ!!」
黎は抱きかかえていたお嬢の手の力が抜け、倒れた。
「黎っ!黎っ!しっかりしてっ!黎っ!!!」
夢幻も同時に倒れていた。
夢幻はその後星屑のように散って姿を消していった。
……………
「…ぃ。れぃ。黎。黎!」
黎の耳にお嬢の声が段々近づいてくるような感覚がした。
「…お嬢…ここは…お嬢の…部屋では…ない…ですね…また…約束を…」
「バカっ!そんな事言ってる場合じゃないわよっ!いい作戦があるって聞いて信じたらあんな無茶してっ!」
お嬢が泣きながら黎に抱きついていた。
黎がいたのは南病院のベッドだった。
「すみませんお嬢、部屋から出ない約束だっ…」
「だからそれはいいって言ってるでしょ!?どこまで真面目なのよ!?このバカ真面目っ!」
「愚問ですね。お嬢との約束ならどこまでも真面目ですよ。」
「もう黎ってば本当に私に心配かけてばっかり!」
「お嬢も人のこと言えないですよ。」
「黎の方が心配かけてるもんっ!」
「いえ、お嬢の方が…」
2人は顔を見合わせる。
「もうっ黎ってば…。」
お嬢が黎にキスをする。
黎もお嬢の背中に手を回す。
そして2人は再び顔を見合わせる。
「お嬢、今ので大体治りました。屋敷に戻りましょう。」
「もぅ!またそんなこと言って!全然怪我治ってないじゃない!」
「今日の0時の予定に間に合わなかったら嫌なので。」
「予定…?誰かと何か予定してるの…?」
「毎日してるではありませんか。お嬢と俺で。昨日も、一昨日も、その前も、ずっと。」
「もぅ♡黎…♡大好き♡」
そう言って再びお嬢が黎に抱きつく。
「俺、お嬢の事しか考えてませんよ。」
「えへへ♡私も♡」
……………
「夢幻、うぬがやられて帰ってくるとは何事じゃ。そやつは一体何者なのじゃ?」
「唯一俺を倒すことができた女王様と同じ黒髪をした田本黎という男です。」
「余が唯一倒すことができなかったうぬをそやつなら倒せると申すか。そやつは人類最強の男であるのか?」
「いえ、あちらの星で最強候補と呼ばれる高柳遥輝という男を俺は倒しました。しかしその男は高柳遥輝には完敗してきた模様だったので、俺は勝てると踏んでいたのですが…まさか引き分けるとは。」
「引き分け…か。余と同じく黒髪…黒と赤…まだ勝負はついておらん。今後とも期待しておるぞ、夢幻よ。」
……………
「ねぇ黎、本当にお屋敷に帰ってきて大丈夫だったの?」
黎とお嬢がベッドに横並びに座る。
「はい。大丈夫です。他の舎弟も一時的に気を失っただけで大事には至らなくてよかったです。それより部屋の壁壊したり床を血で汚したりしてしまってすみません。」
「いいのよそれは…って…黎の血しか残ってないわね…。」
「どうしてわかるんですか?」
「黎のことなら何でもわかるに決まってるじゃない。黎の血か他の人間の血かの区別ぐらい一目でつくわよ。」
「どういう理屈ですか…。」
「愛情っていうのはそういうものなの♡」
お嬢が黎にキスをする。
「お嬢、やっぱり可愛いですね。」
「また急にどうし…キャッ!」
黎がお嬢をベッドに押し倒す。
「急ですか?今までもずっと思ってましたよ?」
黎がお嬢の服のボタンを上から外していく。
「ま…待って…は…恥ずかしい…。」
「お嬢は俺が他の女性から好意を抱かれるのではないかと不安になり、嫉妬をするのかもしれませんが…」
「…あっ♡」
「それは俺も同じなんですよ。俺だってお嬢を、独り占めしたいんです。」
「…あんっ♡わ…私は…黎だけの…っあん♡女だよっ♡あんっ♡」
「それだけではまだ満足できません。お嬢と俺は2人で1人。そう思えるまで…側にいたいと思うのです。」
「もぅ黎ったら♡…あっ♡欲張りさん♡」
「俺の全てがお嬢の全てでお嬢の全てが俺の全てでありたい、それくらい俺は貪欲なのです。」
「うん…♡いいよ…♡私の全てを黎に捧げる…♡」
そしてこれまで過ごしてきた夜のように2人は抱き合いキスをし一夜を共にするのであった。
第十九章 切札編 ~完~
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そして迷わず片方の黎の方に歩み寄り、抱きしめてキスをする。
「本物の黎はこっちね。やっぱり一瞬でわかったわ。簡単よ。あなた、赤井夢幻ね。一体何の用かしら?」
赤井夢幻と呼ばれた方の抱きしめられていない方の黎と思われていた男の髪が赤くなる。
「さすが田本黎のお嬢ですね。簡単なことです。田本黎を殺しにやって来ました。同じ人間は2人もいらないですからね。」
そう言って夢幻は黎に襲いかかる。
「ドカーーーーーン!!」
しかし黎はお嬢を抱えながらかわす。
「ちょっと!!私の部屋の壁壊さないでよ!!」
「俺は今日部屋から出られないんですから仕方ないですよね?」
「バコッッッ!」
「カハッ…!」
黎が夢幻に顔を殴られる。
「黎っ!」
「大丈夫ですお嬢。」
「ザシュッッッ!!!」
黎がお嬢を抱えながら夢幻の右腕を切りつける。
「お前の記憶を読んでわかったんです。お前、触れた者の記憶を読めるんですね。俺にそっくりです。だから木表で俺に殴って首を掴んだ時の俺の記憶からここに辿り着くことができたんですね。」
「バコッッッ!!」
黎が再び夢幻に顔を殴られる。
「ザシュッッッ!!!!」
黎が再び夢幻の右腕を切りつける。
「どうして…魔法が…使えない…世界の…木表で…そんな事が…できるのか…それは…お前が…木表の…者とは…違う…特別な…」
「バコッッッ!!!」
黎が夢幻に顔を殴られる。
「ザシュッッッッッ!!!!!」
黎が夢幻の顔を深く切りつける。
「そし…て…お前…は…こっち…の世界…の…俺に…しか…倒せ…ない…だか…ら…高…柳…遥輝…も…お前…に…負け…」
「ドカッッッ!!!」
黎が夢幻に顔を蹴られる。
「ザシュッッッッッッッ!!!!!」
黎が夢幻の首を切りつける。
「バタンッッ!!」
黎は抱きかかえていたお嬢の手の力が抜け、倒れた。
「黎っ!黎っ!しっかりしてっ!黎っ!!!」
夢幻も同時に倒れていた。
夢幻はその後星屑のように散って姿を消していった。
……………
「…ぃ。れぃ。黎。黎!」
黎の耳にお嬢の声が段々近づいてくるような感覚がした。
「…お嬢…ここは…お嬢の…部屋では…ない…ですね…また…約束を…」
「バカっ!そんな事言ってる場合じゃないわよっ!いい作戦があるって聞いて信じたらあんな無茶してっ!」
お嬢が泣きながら黎に抱きついていた。
黎がいたのは南病院のベッドだった。
「すみませんお嬢、部屋から出ない約束だっ…」
「だからそれはいいって言ってるでしょ!?どこまで真面目なのよ!?このバカ真面目っ!」
「愚問ですね。お嬢との約束ならどこまでも真面目ですよ。」
「もう黎ってば本当に私に心配かけてばっかり!」
「お嬢も人のこと言えないですよ。」
「黎の方が心配かけてるもんっ!」
「いえ、お嬢の方が…」
2人は顔を見合わせる。
「もうっ黎ってば…。」
お嬢が黎にキスをする。
黎もお嬢の背中に手を回す。
そして2人は再び顔を見合わせる。
「お嬢、今ので大体治りました。屋敷に戻りましょう。」
「もぅ!またそんなこと言って!全然怪我治ってないじゃない!」
「今日の0時の予定に間に合わなかったら嫌なので。」
「予定…?誰かと何か予定してるの…?」
「毎日してるではありませんか。お嬢と俺で。昨日も、一昨日も、その前も、ずっと。」
「もぅ♡黎…♡大好き♡」
そう言って再びお嬢が黎に抱きつく。
「俺、お嬢の事しか考えてませんよ。」
「えへへ♡私も♡」
……………
「夢幻、うぬがやられて帰ってくるとは何事じゃ。そやつは一体何者なのじゃ?」
「唯一俺を倒すことができた女王様と同じ黒髪をした田本黎という男です。」
「余が唯一倒すことができなかったうぬをそやつなら倒せると申すか。そやつは人類最強の男であるのか?」
「いえ、あちらの星で最強候補と呼ばれる高柳遥輝という男を俺は倒しました。しかしその男は高柳遥輝には完敗してきた模様だったので、俺は勝てると踏んでいたのですが…まさか引き分けるとは。」
「引き分け…か。余と同じく黒髪…黒と赤…まだ勝負はついておらん。今後とも期待しておるぞ、夢幻よ。」
……………
「ねぇ黎、本当にお屋敷に帰ってきて大丈夫だったの?」
黎とお嬢がベッドに横並びに座る。
「はい。大丈夫です。他の舎弟も一時的に気を失っただけで大事には至らなくてよかったです。それより部屋の壁壊したり床を血で汚したりしてしまってすみません。」
「いいのよそれは…って…黎の血しか残ってないわね…。」
「どうしてわかるんですか?」
「黎のことなら何でもわかるに決まってるじゃない。黎の血か他の人間の血かの区別ぐらい一目でつくわよ。」
「どういう理屈ですか…。」
「愛情っていうのはそういうものなの♡」
お嬢が黎にキスをする。
「お嬢、やっぱり可愛いですね。」
「また急にどうし…キャッ!」
黎がお嬢をベッドに押し倒す。
「急ですか?今までもずっと思ってましたよ?」
黎がお嬢の服のボタンを上から外していく。
「ま…待って…は…恥ずかしい…。」
「お嬢は俺が他の女性から好意を抱かれるのではないかと不安になり、嫉妬をするのかもしれませんが…」
「…あっ♡」
「それは俺も同じなんですよ。俺だってお嬢を、独り占めしたいんです。」
「…あんっ♡わ…私は…黎だけの…っあん♡女だよっ♡あんっ♡」
「それだけではまだ満足できません。お嬢と俺は2人で1人。そう思えるまで…側にいたいと思うのです。」
「もぅ黎ったら♡…あっ♡欲張りさん♡」
「俺の全てがお嬢の全てでお嬢の全てが俺の全てでありたい、それくらい俺は貪欲なのです。」
「うん…♡いいよ…♡私の全てを黎に捧げる…♡」
そしてこれまで過ごしてきた夜のように2人は抱き合いキスをし一夜を共にするのであった。
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