97 / 208
第十九章 切札編
第九十七話 集中
しおりを挟む
「………」
「ん?君は香歩の彼氏の黎君だね。夜遅くにこんな所で出会うなんて奇遇だね。」
「ええ、奇遇ですね。ところで…」
「バコッッッ!!!」
「グシャッ!グシャッ!グシャッ!グシャッ!グシャッ!グシャッ!グシャッ!グシャッ!グシャッ!」
「これで形勢逆転ですね。」
「ドカッッッ!!!」
……………
「あんっ♡あんっ♡」
昼間に菱沼がお嬢の部屋の前を通るとお嬢の喘ぎ声が聞こえる。
「お嬢様、また今日も…!ここのところ毎日ですね…!しかも長時間…!凄まじい体力です…。それしても…」
菱沼が足をモジモジし始め顔を赤らめる。
「そんなに…気持ちいいのでしょうか…?」
「晶ちゃん♡おっはよ~♡」
「も、も、も、萌美ちゃん!?お、おはよう!?」
「どうしたの?そんなに顔赤くして?」
「べ、べ、べ、べ、別に何でもないよ!?」
「あ~♡さては~♡」
「ちょっ…!どこ触って…!?」
「お嬢様の声聞いて想像してるけど、自分は殿方がいなくて寂しいんでしょ?♡」
「そ、そんなことないよ!?そ…そういう萌美ちゃんはどうなの!?」
「萌美は黎様のこと想像して1人でしてるよ♡晶ちゃんに気づかれないようにね♡」
「えーーー!?どこから突っ込んでいいか分からないけど、カミングアウトがド直球すぎるし、そもそも黎様のこと好きだったの!?」
「そりゃ皆好きでしょ♡」
「ダメだよ萌美ちゃん!黎様はお嬢様の…」
「わかってるよ♡でも想像するのは自由でしょ?♡萌美の暗号に真っ先に気づいてくれたのも黎様って聞いて、あんな王子様みたいな人他にいないよ?♡晶ちゃんも本当はそう思ってるんじないの?♡」
「わ、私は…。」
菱沼は南グループを破門にされそうになった時お嬢に何度も頭を下げていた黎のことや、いつも非戦闘員である自分の安全を優先して動いてくれる黎のことを思い出してつい顔が赤くなってしまった。
「た、確かに黎様は…すごく思いやりがあって、かっこいいなって思うけど…」
「ほらほら~♡ちゃんと素直になりなって~♡」
「でも!黎様はお嬢様の…」
「一体なんの騒ぎだ?」
「ボク…まだ眠かった…。」
楓と紅葉が部屋から出てきた。
「ご…!ごめんなさい!お2人とも!お休みのところうるさくしてしまって…!」
「いや、気にするな。もうとっくに昼だしコイツが寝すぎなだけだ。」
「ボク…ロングスリーパー…ムニュムニュ…。」
「あの~♡お2人は黎様のことをどう思ってますか~?♡」
「黎のことか?かっこいいに決まっているだろ。あれはモテるぞ。オレのを差し出してやってもいいぐらいだ。」
「ちょっ…!?」
「ボクもお姉様と同じだよ。お嬢様っていつも黎といると幸せそうな顔してるし、花梨お姉様の一番厳重なセキュリティでロックされたファイルの記録によれば相当気持ちよくてハマっちゃうらしいよ。ボクも体験してみたい。」
「え………えーーーーーーーーー!!!!?」
するとお嬢の部屋からお嬢の喘ぎ声が止んだ。
そしてYシャツだけ着て下は下着しか履いていないお嬢が部屋から飛び出してきた。
「ちょっと!?皆どうしたの!?一体なんの騒ぎ!?」
「お、お嬢様!?も…申し訳ありません?と言いますか…いつもの黒のスカートはどうされたのですか!?」
「あまりにも部屋の前が騒がしいから何事かと思って慌てて出てきたのよ!!」
すると部屋の外にいた女舎弟達がお嬢の部屋の中に上半身が裸の黎の姿が視界に入った。
そして黎は服を着た。
女舎弟達の目には一瞬しか映らなかったが細身でありながらも筋肉のラインがあり、腹筋は左右非対称で六つに割れていた。
「す…素敵…!」
菱沼が顔を赤らめ思わず声を漏らした。
「え?晶ちゃん?」
「今黎様のことについてどう思うか皆で話し合ってたんですよ~♡」
「さすがはお嬢の彼氏だな。」
「正直…うらやましい…。」
「え?え?え?え?え?ちょっと皆?どういうこと?どういうこと?」
「ここの皆さんは黎様に気があるということで満場一致したんですよ♡」
「………」
「バタン。カチャッ。」
お嬢が部屋の扉と鍵を閉めた。
「コラーーーーーッッッ!!!黎ーーーーーッッッ!!!あなたいつの間に浮気してたのよーーーーーッッッ!!!!?」
部屋の中からのお嬢の叫び声が部屋の前まで響き渡る。
「え?してませんよ?俺の記憶共有して…」
「パシンッッッ!!!ドカーーーーーンッッッ!!!」
平手打ちの音と壁にぶち当たる音が部屋の前まで響き渡る。
「やっぱり黎は他の女の子に目移りして!!」
「お…お嬢…ご…誤解…です…。」
「黎!!今日1日私の部屋から出ちゃだめよ!!」
「どうして…ですか…。」
「だめって言ったらだめなの!!わかった!?返事は!?」
「は…はい…。」
部屋の外ではお嬢の声だけが聞こえていた。
そしてお嬢はスカートを履いて部屋を出てきた。
そして女舎弟達を1人ずつ睨みつける。
「むーーーっ!!!」
お嬢はすごく怒っている。
「あの…お嬢さ…」
「なによ!?」
「ひぃ…!ごめんなさい…!」
お嬢は屋敷の広間の玄関へと向かう。
「バタンッッッ!!!」
お嬢は怒りながら屋敷を出て何処かへ行ってしまった。
「ちょっと…!萌美ちゃん!お嬢様すごく怒ってるよ!」
「う~んそれだけ黎様に一途ってことだね♡」
「ポジティブで楽観的すぎる…これからどうするつもり!?」
「心配しなくても大丈夫だ。お嬢は黎が好きだから直ぐに帰って…」
「バタンッッッ!!!」
お嬢が戻ってきた。
しかしさっきのように怒っているわけではなくむしろ悲しそうだった。
「………」
しばらくお嬢が黙って俯いていた。
そして突然、
「やっぱり黎がいないとさー!みー!しー!いー!!!!」
と泣き叫びながら自分の部屋に駆け込んで行った。
「予想より相当早く帰ってきたね。ていうかほとんど外出てないじゃん。」
「黎ーーーーーっっっ…どうして浮気しちゃったのーーーーーっっっ?ねぇーーーーーっ!!!!?」
「なんか…お嬢様…可愛いですね。」
菱沼がそう呟いた矢先に、
「バタンッッッ!」
と屋敷の玄関が開く音がした。
「客人か?」
次回 第九十八話 疑惑
「ん?君は香歩の彼氏の黎君だね。夜遅くにこんな所で出会うなんて奇遇だね。」
「ええ、奇遇ですね。ところで…」
「バコッッッ!!!」
「グシャッ!グシャッ!グシャッ!グシャッ!グシャッ!グシャッ!グシャッ!グシャッ!グシャッ!」
「これで形勢逆転ですね。」
「ドカッッッ!!!」
……………
「あんっ♡あんっ♡」
昼間に菱沼がお嬢の部屋の前を通るとお嬢の喘ぎ声が聞こえる。
「お嬢様、また今日も…!ここのところ毎日ですね…!しかも長時間…!凄まじい体力です…。それしても…」
菱沼が足をモジモジし始め顔を赤らめる。
「そんなに…気持ちいいのでしょうか…?」
「晶ちゃん♡おっはよ~♡」
「も、も、も、萌美ちゃん!?お、おはよう!?」
「どうしたの?そんなに顔赤くして?」
「べ、べ、べ、べ、別に何でもないよ!?」
「あ~♡さては~♡」
「ちょっ…!どこ触って…!?」
「お嬢様の声聞いて想像してるけど、自分は殿方がいなくて寂しいんでしょ?♡」
「そ、そんなことないよ!?そ…そういう萌美ちゃんはどうなの!?」
「萌美は黎様のこと想像して1人でしてるよ♡晶ちゃんに気づかれないようにね♡」
「えーーー!?どこから突っ込んでいいか分からないけど、カミングアウトがド直球すぎるし、そもそも黎様のこと好きだったの!?」
「そりゃ皆好きでしょ♡」
「ダメだよ萌美ちゃん!黎様はお嬢様の…」
「わかってるよ♡でも想像するのは自由でしょ?♡萌美の暗号に真っ先に気づいてくれたのも黎様って聞いて、あんな王子様みたいな人他にいないよ?♡晶ちゃんも本当はそう思ってるんじないの?♡」
「わ、私は…。」
菱沼は南グループを破門にされそうになった時お嬢に何度も頭を下げていた黎のことや、いつも非戦闘員である自分の安全を優先して動いてくれる黎のことを思い出してつい顔が赤くなってしまった。
「た、確かに黎様は…すごく思いやりがあって、かっこいいなって思うけど…」
「ほらほら~♡ちゃんと素直になりなって~♡」
「でも!黎様はお嬢様の…」
「一体なんの騒ぎだ?」
「ボク…まだ眠かった…。」
楓と紅葉が部屋から出てきた。
「ご…!ごめんなさい!お2人とも!お休みのところうるさくしてしまって…!」
「いや、気にするな。もうとっくに昼だしコイツが寝すぎなだけだ。」
「ボク…ロングスリーパー…ムニュムニュ…。」
「あの~♡お2人は黎様のことをどう思ってますか~?♡」
「黎のことか?かっこいいに決まっているだろ。あれはモテるぞ。オレのを差し出してやってもいいぐらいだ。」
「ちょっ…!?」
「ボクもお姉様と同じだよ。お嬢様っていつも黎といると幸せそうな顔してるし、花梨お姉様の一番厳重なセキュリティでロックされたファイルの記録によれば相当気持ちよくてハマっちゃうらしいよ。ボクも体験してみたい。」
「え………えーーーーーーーーー!!!!?」
するとお嬢の部屋からお嬢の喘ぎ声が止んだ。
そしてYシャツだけ着て下は下着しか履いていないお嬢が部屋から飛び出してきた。
「ちょっと!?皆どうしたの!?一体なんの騒ぎ!?」
「お、お嬢様!?も…申し訳ありません?と言いますか…いつもの黒のスカートはどうされたのですか!?」
「あまりにも部屋の前が騒がしいから何事かと思って慌てて出てきたのよ!!」
すると部屋の外にいた女舎弟達がお嬢の部屋の中に上半身が裸の黎の姿が視界に入った。
そして黎は服を着た。
女舎弟達の目には一瞬しか映らなかったが細身でありながらも筋肉のラインがあり、腹筋は左右非対称で六つに割れていた。
「す…素敵…!」
菱沼が顔を赤らめ思わず声を漏らした。
「え?晶ちゃん?」
「今黎様のことについてどう思うか皆で話し合ってたんですよ~♡」
「さすがはお嬢の彼氏だな。」
「正直…うらやましい…。」
「え?え?え?え?え?ちょっと皆?どういうこと?どういうこと?」
「ここの皆さんは黎様に気があるということで満場一致したんですよ♡」
「………」
「バタン。カチャッ。」
お嬢が部屋の扉と鍵を閉めた。
「コラーーーーーッッッ!!!黎ーーーーーッッッ!!!あなたいつの間に浮気してたのよーーーーーッッッ!!!!?」
部屋の中からのお嬢の叫び声が部屋の前まで響き渡る。
「え?してませんよ?俺の記憶共有して…」
「パシンッッッ!!!ドカーーーーーンッッッ!!!」
平手打ちの音と壁にぶち当たる音が部屋の前まで響き渡る。
「やっぱり黎は他の女の子に目移りして!!」
「お…お嬢…ご…誤解…です…。」
「黎!!今日1日私の部屋から出ちゃだめよ!!」
「どうして…ですか…。」
「だめって言ったらだめなの!!わかった!?返事は!?」
「は…はい…。」
部屋の外ではお嬢の声だけが聞こえていた。
そしてお嬢はスカートを履いて部屋を出てきた。
そして女舎弟達を1人ずつ睨みつける。
「むーーーっ!!!」
お嬢はすごく怒っている。
「あの…お嬢さ…」
「なによ!?」
「ひぃ…!ごめんなさい…!」
お嬢は屋敷の広間の玄関へと向かう。
「バタンッッッ!!!」
お嬢は怒りながら屋敷を出て何処かへ行ってしまった。
「ちょっと…!萌美ちゃん!お嬢様すごく怒ってるよ!」
「う~んそれだけ黎様に一途ってことだね♡」
「ポジティブで楽観的すぎる…これからどうするつもり!?」
「心配しなくても大丈夫だ。お嬢は黎が好きだから直ぐに帰って…」
「バタンッッッ!!!」
お嬢が戻ってきた。
しかしさっきのように怒っているわけではなくむしろ悲しそうだった。
「………」
しばらくお嬢が黙って俯いていた。
そして突然、
「やっぱり黎がいないとさー!みー!しー!いー!!!!」
と泣き叫びながら自分の部屋に駆け込んで行った。
「予想より相当早く帰ってきたね。ていうかほとんど外出てないじゃん。」
「黎ーーーーーっっっ…どうして浮気しちゃったのーーーーーっっっ?ねぇーーーーーっ!!!!?」
「なんか…お嬢様…可愛いですね。」
菱沼がそう呟いた矢先に、
「バタンッッッ!」
と屋敷の玄関が開く音がした。
「客人か?」
次回 第九十八話 疑惑
10
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる