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第十七章 幻想編
第八十八話 平和
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「それでも俺はお嬢を一番に考えるだけです。」
「私も黎の事が一番よ。」
「………」
「………」
「お嬢、1人で何でも抱え込んではいけませんよ。お嬢の南グループに対する責任感が今お嬢に見えない圧力をかけてしまってるんだと思います。お嬢の舎弟に対する愛情は本物だと俺は思ってます。そんな南グループもお嬢も大好きです。ですが…」
お嬢は黎の続きの言葉を待った。
「逃げ出したくなったときは逃げ出してもいいんです。その時は俺も一緒についていきます。今日はそれをある種体験して頂く為の一般人のようなカップルがデートをするという世界観をお嬢にも身を持って体感して欲しいと思ってデートにお誘いしました。張り詰めてばかりの生活にはいつか限界が来てしまいますから。」
「…黎…。」
お嬢が涙を流しながら黎の胸元に顔をうずめ、黎はそれを抱きしめた。
「いつも感謝してるんですよ。勿論俺以外の舎弟もそうです。お嬢の南グループの存在意義はとても重要です。」
お嬢はしばらく涙を流して黎に抱きしめられていた。
そんなやり取りをしていると街なかで音楽が流れているのが聞こえてくる。
ハープのような音で奏でられる安らぎに満ちた美しい曲といった感じだった。
「…素敵な曲…。」
「ええ…なんだか心が癒されますね…。」
2人は曲がながれてくる方に向かっていくと、そこは中央に静かな水しぶきをあげる噴水のある公園があった。
公園にはベンチがあり2人は腰をかける。
ハープを奏でているのは、2人から見て噴水を背景にした銀色の長い髪をした青年であった。
お嬢と黎はしばらくして彼の奏でる曲を聴いていた。
すると演奏している青年はお嬢と黎の存在に気づく。
「おや、お2人はとても絵になるようなカップルですね。」
青年がお嬢と黎に微笑みながら言う。
お嬢が赤面する。
「あなたは、よくこちらで演奏をされているのですか?」
「小生は吟遊詩人として色々な場所へ旅をしながら曲を奏でておりますが、最近はこちらに来ることが多いですね。ディートリヒと申します。」
「ディートリヒさん…素敵な曲ね…。つい聴き入っちゃった…。私は南香歩で、こっちは私の彼氏の田本黎よ。」
「ありがとうございます。あなたも私の目には素敵なお方のようにお見受けされますよ。お美しいお嬢さん。香歩さんに黎さんですか。お2人はとても幸せそうで、お2人を見ているとこちらまで幸せな気分になります。」
「あ…ありがとうございます…。」
お嬢が照れてしまって遂いつもとは違う口調で話してしまう。
「折角お2人にお会い出来たのですが、曲も終わってしまう所ですし、小生はこれから別の場所へ向かおうかと思いますので失礼いたしますね。お2人のこれからのお幸せを、心より願っております。」
そう言ってディートリヒは荷物を担いで旅を続けていった。
「こういう色んな人との出会いもあるのね…。」
「ええ、とても新鮮な気分ですね。こんな平和な日常が続くといいなと思ってしまいます。」
「ねぇ、黎。」
「どうしましたか?お嬢。」
「私が他の男の人とお話してちょっと嫉妬した?」
「…ええ、でも、俺の記憶供給してるので気づいていたんですよね?」
「…えへへ…ちょっと意地悪しちゃっ…」
黎がお嬢の顎を指で支え唇にキスをした。
「………んっ♡」
「お嬢のいけないお口は俺の口で塞いでしまいます。」
「…んもう♡…黎が私にいつも嫉妬させるからよ…?でも黎が私に嫉妬もしてくれて…なんか嬉しい…。私は黎の事しか考えてないから大丈夫だよ。」
「わかっていても、ちゃんと確かめたくなってしまうものなんですね。」
「…えへへ♡そっか♡」
次回 第八十九話 舞
「私も黎の事が一番よ。」
「………」
「………」
「お嬢、1人で何でも抱え込んではいけませんよ。お嬢の南グループに対する責任感が今お嬢に見えない圧力をかけてしまってるんだと思います。お嬢の舎弟に対する愛情は本物だと俺は思ってます。そんな南グループもお嬢も大好きです。ですが…」
お嬢は黎の続きの言葉を待った。
「逃げ出したくなったときは逃げ出してもいいんです。その時は俺も一緒についていきます。今日はそれをある種体験して頂く為の一般人のようなカップルがデートをするという世界観をお嬢にも身を持って体感して欲しいと思ってデートにお誘いしました。張り詰めてばかりの生活にはいつか限界が来てしまいますから。」
「…黎…。」
お嬢が涙を流しながら黎の胸元に顔をうずめ、黎はそれを抱きしめた。
「いつも感謝してるんですよ。勿論俺以外の舎弟もそうです。お嬢の南グループの存在意義はとても重要です。」
お嬢はしばらく涙を流して黎に抱きしめられていた。
そんなやり取りをしていると街なかで音楽が流れているのが聞こえてくる。
ハープのような音で奏でられる安らぎに満ちた美しい曲といった感じだった。
「…素敵な曲…。」
「ええ…なんだか心が癒されますね…。」
2人は曲がながれてくる方に向かっていくと、そこは中央に静かな水しぶきをあげる噴水のある公園があった。
公園にはベンチがあり2人は腰をかける。
ハープを奏でているのは、2人から見て噴水を背景にした銀色の長い髪をした青年であった。
お嬢と黎はしばらくして彼の奏でる曲を聴いていた。
すると演奏している青年はお嬢と黎の存在に気づく。
「おや、お2人はとても絵になるようなカップルですね。」
青年がお嬢と黎に微笑みながら言う。
お嬢が赤面する。
「あなたは、よくこちらで演奏をされているのですか?」
「小生は吟遊詩人として色々な場所へ旅をしながら曲を奏でておりますが、最近はこちらに来ることが多いですね。ディートリヒと申します。」
「ディートリヒさん…素敵な曲ね…。つい聴き入っちゃった…。私は南香歩で、こっちは私の彼氏の田本黎よ。」
「ありがとうございます。あなたも私の目には素敵なお方のようにお見受けされますよ。お美しいお嬢さん。香歩さんに黎さんですか。お2人はとても幸せそうで、お2人を見ているとこちらまで幸せな気分になります。」
「あ…ありがとうございます…。」
お嬢が照れてしまって遂いつもとは違う口調で話してしまう。
「折角お2人にお会い出来たのですが、曲も終わってしまう所ですし、小生はこれから別の場所へ向かおうかと思いますので失礼いたしますね。お2人のこれからのお幸せを、心より願っております。」
そう言ってディートリヒは荷物を担いで旅を続けていった。
「こういう色んな人との出会いもあるのね…。」
「ええ、とても新鮮な気分ですね。こんな平和な日常が続くといいなと思ってしまいます。」
「ねぇ、黎。」
「どうしましたか?お嬢。」
「私が他の男の人とお話してちょっと嫉妬した?」
「…ええ、でも、俺の記憶供給してるので気づいていたんですよね?」
「…えへへ…ちょっと意地悪しちゃっ…」
黎がお嬢の顎を指で支え唇にキスをした。
「………んっ♡」
「お嬢のいけないお口は俺の口で塞いでしまいます。」
「…んもう♡…黎が私にいつも嫉妬させるからよ…?でも黎が私に嫉妬もしてくれて…なんか嬉しい…。私は黎の事しか考えてないから大丈夫だよ。」
「わかっていても、ちゃんと確かめたくなってしまうものなんですね。」
「…えへへ♡そっか♡」
次回 第八十九話 舞
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