【R18】世界線Ⅱ〜恋するお嬢とその舎弟達〜

第十六章 真髄編

第八十三話 失踪

　お嬢が黎の病室にたどり着く。

「黎っ！」

　病室に黎の姿はなかった。

「黎っ！黎っ！どこなの！？黎っ！！」

　お嬢が病院内の各所で黎を呼びかけるも返事がない。

　お嬢が病院内に黎が行方をくらましたことを情報共有してもらう。

　どうやら病院内にはいないようだった。

「黎…！どこ行っちゃったの…！？」

　お嬢が泣きながら必死に外を探し回る。

「黎は体がボロボロでそんなに速くは歩けないから自分の力では遠くには行けないはずよ…！」

　そしてお嬢は塔での遥輝のことを思い出した。

「まさか…！」

　お嬢は高柳グループの本拠地へと向かった。

　そして遥輝がいつもいる王室にたどり着く。

「黎っ！いたら返事してっ！黎っ！！」

　……………

「果たして、黎様は一体どこへ消えてしまったのでしょうか？お嬢様の嫌な予感は的中してしまうのでしょうか？高柳遥輝様。南グループのS級舎弟を上回る程の圧倒的強さです。因みにお嬢様は大会で遥輝様が南グループの舎弟達が次々とやられていったという出来事のショックからどうやら記憶の一部を失ってしまっているようで、ご自身が舎弟達を助けたということも覚えていません。遥輝様に太刀打ち出来る唯一の実力者であることには間違いありませんが本人には全くその自覚がございません。さて、ここで大事なポイントは、事の本質とは何か、です。ワタクシもこの後の経緯がどのようになるのか楽しみでございます。」

　……………

「黎っ！黎ーーーーーっっっ！！！」

　するとどこかから足音が聞こえてくる。

　そして王室の奥の隠れた場所から両手をポケットに入れた男が姿を現す。

　高柳遥輝だった。

「お嬢。どうしたの？」

「あ、あなた…黎を…知らない…？」

「ああ、お嬢の彼氏？」

「…！？…なんで…それを…。」

「だって病室で一緒にいたでしょ？表札に名前書いてあったし。」

「…そ…そうね…どこにいるか知ってるの…？」

「うん、こっちだよ。」

　そうして遥輝が出てきた場所に入っていく。

「…え…なんで…そんなところ…。」

　お嬢が恐る恐るついていく。

　そこは秘密通路の階段が地下まで繋がっているという感じだった。

　
　次回　第八十四話　公開処刑