【R18】世界線Ⅱ〜恋するお嬢とその舎弟達〜

石原歩

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第十五章 大会編

第七十七話 回転

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 黎は必然的に起こるであろう出来事が今まさに目の前で起きていると実感した。

「しかしお前達…この後はどうするんですか?これからも高柳グループに居続ければなにも現実は何も変わりませんよね。」

「私達は楓様や紅葉様ほどの戦闘力を持っていないため泣き寝入りする他ないのが現状です。」

「…わかりました…ちょっとお嬢に聞いてみます。」

「…どういうことですか?」

「お嬢から許可がおりました。お前達、南グループに入りませんか?F級舎弟からですけど。」

「ボスに追い回される事に変わりはありません。」

「俺とお嬢がなんとかします。」

「…なんか今のボスよりめんどくさくねーんじゃねーの?」

「あぁ、俺は悪くねぇと思うなぁ?」

「…わかりました。これまでな数々の非礼をお詫び申し上げます。」

「では決まりですね。F級舎弟ですので、管理担当に割り当てられるA級舎弟は後ほどお伝えします。それではその詩を投函箱に投函してください。」

 ……………

「さぁ!皆さまの投函が終わったことの確認と、お嬢様の優勝者選出が決まったので結果発表に参ります!優勝した詩はこちらになります!」

『♡♡♡♡♡リソス様♡♡♡♡♡ ♡♡♡♡♡私の私のリソス様♡♡♡♡♡』

「きゃーーーリソス様ぁぁぁ♡♡♡私やりましたのよー♡♡♡」

「お嬢…これは流石に…」

「お嬢様、この詩が優勝した理由はなんでしょうか!?」

 お嬢が舞台でマイクを菱沼から渡される。

「この詩の作者の一途な愛が感じられたからよ。」

 ところが外野は納得いってないようだった。

「こんなふざけた内容がなんで優勝なんだー!」

「この大会はどうなってんだー!」

 黎の嫌な予感がまた的中した。

 しかし観客のブーイングにお嬢は怯まなかった。

「いい?私はこの南グループのお嬢なの。私が優勝と決めたら優勝なのよ。」

「そんな傲慢な理由認められるかー!」

「審査員を交代しろー!」

 ブーイングに対して異議を申し立てるのはお嬢だけではなかった。

 突然江戸村が舞台に姿を現しマイクをお嬢から奪い取る。

「この詩の作者は私ですの。文句がある者は全員容赦しませんのよ?」

「おい!あれS級舎弟の…!」

「海の女王…江戸村…咲か!?」

「深海に眠ってるんじゃなかったのか!?」

「起きてる時はかなりやべーらしいぞ!!」

 江戸村の登場に会場のブーイングは静まり返った。

 お嬢が江戸村からマイクを取り戻す。

「はいはい皆!元気出して!まだまだ大会は終わりじゃないわよ!これから頑張って!」

 そしてお嬢は菱沼にマイクを手渡す。

「咲も熱くならないで早く戻りなさい!全く!」

「あなたに命令される筋合いはないんですの。フンッ!」

 そう言って江戸村は舞台から姿を消した。

 一方その頃楓は…

「ついに目を覚ましたか。」

「まだ寝てたかった…。これって途中参加できるの?」

「ああ、出来るだろう。」

「イルックス、マイマスターとジョイン。」

「イストル、主殿と途中参加。」

「続いての大会はこちらになります!」

 参加者に1面が縦7マス横7マスを掛けた合計49マスの立方体がランダムにカラフルに敷き詰められた物体が渡された。

「そちらのカラフルな立方体は全部で6色あります!それぞれのマスの縦横が回転する仕組みになっているので全ての色を全ての面で一番早く統一させた方が優勝です!」

「こんなのできるわけねーぞ!?」

「本当に全色揃うのか!?」

 参加者はみな動揺している。

 一部を除いて。

「どっちが優勝すると思う?」

「そうだな…これは甲乙つけがたい…。」

「イルックス、アバウト1.95バイ10レイズドトゥザパワーオブ120パターンとシュミレート。」

「イストル、無量大数以上の完成パターンを把握。」

「イルックス、相手が弟とはいえ手加減はしません。」

「イストル、お姉様に今日こそは絶対に勝ちます。」

 イルックスとイストルが見合う。

「それでは始めてください!」

 菱沼の合図と共に皆が手を動かし始める。

「1フェイスコンプリート。」

「続いて2面。」

「おい!なんだあいつら!?」

「まじかよ!?人間か!?めちゃくちゃはええ!?」

 そして14秒程度経過した所で。

「クリア。」

「完成。」

 イルックスとイストルが同時に、完成した綺麗に全ての色を揃えた立方体を高々と上げた。

「えー!?お、終わってしまいました!?」

「人間技じゃねー!」

「信じられねーよ!」

「そりゃボクの最高傑作だからね。ボクももうすぐ…できた。」

 紅葉が全ての面の色を揃えた立方体を掲げた。

「こ!これはどちらが優勝なのでしょうか!?」

「引き分けかしらね。まさか同時に終わるなんて思わないし、ましてやあんな早業を2人も出来るなんて想像もしてなかったからスロー映像なんて撮ってないもの。」

 その時楓と紅葉は紅葉が個人的に撮っていたイルックスとイストルのスロー映像を観ていた。

「…これは…。」

「完全に同時だね。」

「イルックス、次は負けない。」

「イストル、こっちの台詞。」


 次回 第七十八話 危機
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