【R18】世界線Ⅱ〜恋するお嬢とその舎弟達〜

石原歩

文字の大きさ
上 下
74 / 208
第十四章 偶像編

第七十四話 言霊

しおりを挟む
「4対1~?♡萌美負けちゃうかも~♡」

「パリーンッ!!」

 萌美は病院の窓ガラスを割って外へ脱出する。

「イルックス、チェイス。」

「イルックス、深追いは危険だよ。相手はどれ程の実力かまだ分からない。」

「マイマスター、イルックス、マイマスターとそのお嬢様、黎様の善意を踏みにじったもの許さない。恩を仇で返すなんて許せません。」

「イルックス…。」

「テレポーテーション。」

 そう言ってイルックスは姿を消した。

 萌美は病院から抜け出して遠くへと逃げ出した。

「キュイイイイイイン!」

「イストル、主殿達への裏切りの情報をお姉様より受信。お姉様同様、対象を許しません。」

「これが南グループ…なかなか手強そうね…でも…♡」

「シュバババババババババババババ!!」

 萌美の放つ弾丸がイストルを追跡する。

「何だか楽しそうね♡あなた達は今回の萌美ライブの特別ゲスト♡」

 萌美が電子端末を突然取り出してそれを左手に持ち、ライブ配信を始める。

「皆さんの天使としてお仕えする萌美で~す♡今日は特別ゲストと2人で戦闘配信したいと思いま~す♡」

 萌美が跳びながら配信者に向けて言う。

『萌美ちゃん久々の戦闘配信か!?』

『可愛くて強い萌美ちゃんやっぱり最高!!』

『萌美ちゃん負けるなー!!』

「イストル、対象戦闘力計算、現在上昇中、上昇原因不明。」

「イルックス、ターゲット、ファンのコールによりパワーをアップさせていると予想する。」

「戦う~♪事は~♪自分を~さらけ出すこ~とな~の~♪」

 萌美が突然歌い出す。

「シューン…ジュバババババババババババ!!!」

 萌美が宙を舞いながらイルックスに向けて弾丸を乱射する。

 先の病院で放った弾より速く重く追従性能もある。

「バキューン!」

 イルックスも弾丸をかわしていきながら空中にいる萌美に一発放つが避けられてしまう。

「だ~から~♪わた~しは~♪君~のため~♪にいつも全力っ♪」

「ジュババババババババババババ!!!!」

 弾がどんどん速くなり威力が増していく。

「キュイイイイイイイン!!!」

 イストルがイルックスが弾を引きつける間に萌美に接近し空中へ飛びドリルを放つが、

「勝負は~♪始まった頃に全て決まって~るの~♪」

 とイストルの背後から萌美の歌声が聞こえてくる。

「バコンッッッ!!!ドカーーーン!!!」

 萌美が背後からイストルの頭を踵落としで地面に叩きつけた。

「ドドドドドドドドドドドドン!!!」

 イルックスが遠くで萌美の追従弾を被弾して倒れた。

「シュタッ!」

 萌美は破壊されたイルックスとイストルを背後に地面に着地した。

『萌美ちゃんやっぱり強~い!』

『歌も最高~!』

『俺もう萌美ちゃんずっと推すわ!』

『私は最初から萌美ちゃん推し!』

『理想のアイドルって感じ!』

『よかったわマジ今日ライブ配信見れて!』

「皆さ~ん♡今日のゲストは戦闘不能になってしまったのでこれで配信は終了したいと思いま~す♡皆さんの天使として仕える萌実でし…」

「待ちなさい。」

「あれ?新たなゲストさんでしょうか!?♡この方はなんと!萌実の歌と踊りを披露してくださった方で~す♡」

 萌美は電子端末にお嬢の姿を映す。

「残念だけどその配信、あなたのファンの皆はもう誰も見てないわよ。」

「え?」

「最後のコメントからもうずっとコメント来てないでしょう?紅葉ちゃんがハッキングしたのよ。彼女の友達をあなたが傷つけたから、あなたは彼女を本気で怒ってしまったようね。」

「あなたの強さの秘密!それは言霊です!私も自分で言うのもなんですが友達が多いので人の言葉によって力が湧いてくる気持ちはよくわかります!ファンの皆さんの言葉によってあなたは力を増幅させて戦闘力を得ているんです!」

 お嬢の陰から菱沼が現れた。

「さ、さっきから何を言っているのでしょうか~…♡みなさ~ん?萌美の配信見てますよね~?♡だって視聴者の数が…」

「それは紅葉ちゃんがあなたを欺くために嘘の数字を表記させてるのよ。それに最後のコメント、縦読みしてみなさい。」

「萌、歌、俺、私、理、よ…」

 萌美が画面を見て呟いている間にお嬢が萌美に近寄る。

「も、う、お、わ、り、よ、?」

「パシンッ!!」

 お嬢が左手で萌美の右頬を平手打ちした。


 次回 第七十五話 生産
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...