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第十三章 超自然編
第六十六話 狂言
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お嬢の部屋に朝日が差し込む。
お嬢はまだ眠っていて黎は目を覚ましたがお嬢を抱きしめたまま離さなかった。
「超自然。神であるアイ・カリンはこのことを知っているのでしょうか…。」
すると突然、
「黎…黎…助けて…怖い…いや…やだ…。」
とお嬢がうなされた。
「お嬢、お嬢、俺はここにいますよ。大丈夫です。」
黎はお嬢に呼びかける。
「黎……黎…?」
お嬢が目を覚まして現実と夢の区別を理解できるようになる。
そして黎の胸元に顔をうずめる。
「黎…怖かった…。」
起きた後もお嬢が泣き出してしまう。
「怖かったんですね。もう大丈夫ですよ。」
黎がお嬢を落ち着かせる。
黎はもう一つの可能性を考えていた。
それはアイ・カリンが直接菱沼の回復に関与し、それが亡くなった者の超自然の力であるかのように演出し、黎達を二階堂の元へ誘導し、このようにお嬢を精神的に追い詰めること。
しかしそれでは寧ろお嬢が黎に対する依存度が高まり逆効果なのではないかと疑問に思う部分もあった。
……………
「いいですね…流石はワタクシと同じ南グループのS級舎弟でありお嬢様の最大の理解者の黎様です。とても面白くなってきました。」
……………
「ねぇ…黎…。」
「どうしましたか?お嬢。」
「黎は信じるの…?幽霊…。」
「いいえ、俺はお嬢が信じたいものだけを信じますから、お嬢が信じたくないのなら信じませんよ。」
「…黎…。」
「いいですかお嬢。お嬢と俺は人生を共にするいわば2人で1人のような存在なんです。お嬢の信念は俺の信念です。ですから自分の信念を強く持ってください。お嬢は南グループのお嬢なんですから。」
「………」
お嬢が顔をあげて起き上がる。
「そうよね…!そうよそうよ!幽霊なんていないわよね!黎っ!あ、でもお風呂とおトイレは一緒についてきてね!」
「そ、そうですね…はい…わかりました。」
黎はお嬢がひとまず元気を取り戻したようで良かったと感じた。
しかし黎の中ではやはり菱沼の回復速度については引っかかっていたがそれはお嬢の記憶には供給しないことにした。
黎は状況を理解していた。
この経緯も全てアイ・カリンにはお見通しであることを。
そして黎は気づく。
「想定外の出来事…ですかね。」
「黎?どうしたの?」
次回 第六十七話 攻略
お嬢はまだ眠っていて黎は目を覚ましたがお嬢を抱きしめたまま離さなかった。
「超自然。神であるアイ・カリンはこのことを知っているのでしょうか…。」
すると突然、
「黎…黎…助けて…怖い…いや…やだ…。」
とお嬢がうなされた。
「お嬢、お嬢、俺はここにいますよ。大丈夫です。」
黎はお嬢に呼びかける。
「黎……黎…?」
お嬢が目を覚まして現実と夢の区別を理解できるようになる。
そして黎の胸元に顔をうずめる。
「黎…怖かった…。」
起きた後もお嬢が泣き出してしまう。
「怖かったんですね。もう大丈夫ですよ。」
黎がお嬢を落ち着かせる。
黎はもう一つの可能性を考えていた。
それはアイ・カリンが直接菱沼の回復に関与し、それが亡くなった者の超自然の力であるかのように演出し、黎達を二階堂の元へ誘導し、このようにお嬢を精神的に追い詰めること。
しかしそれでは寧ろお嬢が黎に対する依存度が高まり逆効果なのではないかと疑問に思う部分もあった。
……………
「いいですね…流石はワタクシと同じ南グループのS級舎弟でありお嬢様の最大の理解者の黎様です。とても面白くなってきました。」
……………
「ねぇ…黎…。」
「どうしましたか?お嬢。」
「黎は信じるの…?幽霊…。」
「いいえ、俺はお嬢が信じたいものだけを信じますから、お嬢が信じたくないのなら信じませんよ。」
「…黎…。」
「いいですかお嬢。お嬢と俺は人生を共にするいわば2人で1人のような存在なんです。お嬢の信念は俺の信念です。ですから自分の信念を強く持ってください。お嬢は南グループのお嬢なんですから。」
「………」
お嬢が顔をあげて起き上がる。
「そうよね…!そうよそうよ!幽霊なんていないわよね!黎っ!あ、でもお風呂とおトイレは一緒についてきてね!」
「そ、そうですね…はい…わかりました。」
黎はお嬢がひとまず元気を取り戻したようで良かったと感じた。
しかし黎の中ではやはり菱沼の回復速度については引っかかっていたがそれはお嬢の記憶には供給しないことにした。
黎は状況を理解していた。
この経緯も全てアイ・カリンにはお見通しであることを。
そして黎は気づく。
「想定外の出来事…ですかね。」
「黎?どうしたの?」
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