63 / 208
第十二章 唯一神編
第六十三話 写像
しおりを挟む
「…これは…八代花梨の仕業なのでしょうか…。」
「…花梨ちゃん…どういうことなの…。」
「しかし災いとは何だったのだろうな。」
「Bの掟の内容もわからないままだよ。」
暫く沈黙が流れるが、黎がそれを破る。
「災い、恐らく八代が神であるならば天地開闢が実際に可能であった訳ですからその逆も可能かと思われます。つまり、この世界の全ては八代次第ということなので、彼女に出来ない事はなく、それ相応の罰を俺達に下すといった所ではないでしょうか。」
「でも、それならどうして彼女にしか知らないBの掟なんてものを残しておいたのよ。この状況だと、彼女にとって11番目の内容って私達に知られるべきなのか知られざるべきなのかもわからないじゃない。わざわざ災いなんて気味の悪いものまで残して…。」
「全て…」
「花梨お姉様の…」
「筋書き通り…なのでしょうか。」
「…え…?」
楓、紅葉、黎の一致したような推測にお嬢は戸惑う。
「筋書き通りって、どういうことよ!?」
「あくまで仮説ですが最初から全て八代の思い通りだったということです。南源蔵がこの世界に来ることも、南グループがこの世界最大の組織になる事も、南源蔵が革命によって俺にこの世界から消される事も、八代自身が南グループの戦闘員からいじめを受ける事も、南グループと高柳グループが衝突する事も、そして、楓と紅葉が南グループと和解してここに来ることも…。」
「え…嘘…そんな…そんなことって…。」
「あくまで可能性の話だ。」
「ボク達ずっと先を越されてる感じがして、なんかそう思いたくなっちゃう部分があるんだよね。」
「八代がD級舎弟として活躍していた頃の頭脳は南グループ内ではお墨付きでしたが、もしそれが本人の力のほんの一部で、先の仮定が正しかったとしたら、とんでもない相手と対峙することになりますね…。この世界の創造者、唯一神と言ったところでしょうか。」
「…花梨ちゃん…本当に…神様かもしれないの…?しかも…戦わなくちゃいけないなんて…。」
悲しげな表情をするお嬢のもとに黎が歩み寄って抱きしめる。
「大丈夫ですよお嬢、相手が神だろうと俺が必ずお嬢を守りますから。」
「…黎が…神様と…戦うの…?」
「お嬢を守る為なら俺は誰とでも戦いますよ。」
「…私も…黎の為に…一緒に戦う…。」
「お嬢…。」
お嬢が黎の背中に手を回す。
「ありがとうございます、お嬢。それにここにいるのは俺達2人だけではありませんから。」
「妹に負けてるようでは姉として顔が立てられないからな。」
「ボクも花梨お姉様を超えなきゃいけない日がいつかはくるからね。」
「みんな…ありがとう…。」
次回 第六十四話 原像
「…花梨ちゃん…どういうことなの…。」
「しかし災いとは何だったのだろうな。」
「Bの掟の内容もわからないままだよ。」
暫く沈黙が流れるが、黎がそれを破る。
「災い、恐らく八代が神であるならば天地開闢が実際に可能であった訳ですからその逆も可能かと思われます。つまり、この世界の全ては八代次第ということなので、彼女に出来ない事はなく、それ相応の罰を俺達に下すといった所ではないでしょうか。」
「でも、それならどうして彼女にしか知らないBの掟なんてものを残しておいたのよ。この状況だと、彼女にとって11番目の内容って私達に知られるべきなのか知られざるべきなのかもわからないじゃない。わざわざ災いなんて気味の悪いものまで残して…。」
「全て…」
「花梨お姉様の…」
「筋書き通り…なのでしょうか。」
「…え…?」
楓、紅葉、黎の一致したような推測にお嬢は戸惑う。
「筋書き通りって、どういうことよ!?」
「あくまで仮説ですが最初から全て八代の思い通りだったということです。南源蔵がこの世界に来ることも、南グループがこの世界最大の組織になる事も、南源蔵が革命によって俺にこの世界から消される事も、八代自身が南グループの戦闘員からいじめを受ける事も、南グループと高柳グループが衝突する事も、そして、楓と紅葉が南グループと和解してここに来ることも…。」
「え…嘘…そんな…そんなことって…。」
「あくまで可能性の話だ。」
「ボク達ずっと先を越されてる感じがして、なんかそう思いたくなっちゃう部分があるんだよね。」
「八代がD級舎弟として活躍していた頃の頭脳は南グループ内ではお墨付きでしたが、もしそれが本人の力のほんの一部で、先の仮定が正しかったとしたら、とんでもない相手と対峙することになりますね…。この世界の創造者、唯一神と言ったところでしょうか。」
「…花梨ちゃん…本当に…神様かもしれないの…?しかも…戦わなくちゃいけないなんて…。」
悲しげな表情をするお嬢のもとに黎が歩み寄って抱きしめる。
「大丈夫ですよお嬢、相手が神だろうと俺が必ずお嬢を守りますから。」
「…黎が…神様と…戦うの…?」
「お嬢を守る為なら俺は誰とでも戦いますよ。」
「…私も…黎の為に…一緒に戦う…。」
「お嬢…。」
お嬢が黎の背中に手を回す。
「ありがとうございます、お嬢。それにここにいるのは俺達2人だけではありませんから。」
「妹に負けてるようでは姉として顔が立てられないからな。」
「ボクも花梨お姉様を超えなきゃいけない日がいつかはくるからね。」
「みんな…ありがとう…。」
次回 第六十四話 原像
10
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる