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第七章 鉄葉編
第三十八話 交渉
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「八代紅葉、あの日以来ですね…。八代から話は伺っています。高柳のジェイソンですか。」
「ボクの事を情報ネットワークも使わずにそこまで調べられるなんて花梨お姉様もなかなかやるね。ボクも南グループのこと色々調べさせてもらってさ、お前のことも調べさせてもらったよ。伝説の殺し屋でナイトウォーカーと呼ばれていた南グループS級舎弟の田本黎…」
「知ってしまったのですか…。」
黎が深く帽子を被り黎の右腕から黒い球体が生み出される。
そして黎は不気味な笑みを浮かべる。
「その名前を知っている者はこの世界で1人しかいないんですよ。情報機関にもその情報はありません。あなたこそ一体どこで仕入れたんですかね?」
「なるほど。この事実を知ってしまった者は跡形もなく消される。そういう事なんだね。やっぱりお前、あの2体と戦ってる時本気出してなかったよね。どういうつもり?」
「俺はお嬢を悲しませたくないんですよね。ただそれだけです。ですが…あなたには消えていただかないといかなければなりませ…」
「だめぇーーーーーーーー!!!!」
突然黎の耳にお嬢の叫び声が聞こえてきた。
そしてお嬢が黎と紅葉の元に姿を現す。
「…お嬢!危険ですよ!どうして戻ってきたのですか!?」
「黎…お願い…それだけは止めて…。」
「………わかりました…。」
黎は黒い球体を消滅させた。
「お嬢様が直接お出まし?今の南グループの舎弟の情況を理解しづらい状態にあるだろうから直接教えてあげるけど、ボクの機械兵士達に次々と南グループの舎弟はやられているんだよ。この意味がわかる?」
「…!…お願い…お願いします…もう…本当に止めてください…お願いします…。」
お嬢が紅葉に泣きながら悲願する。
「そしたらやっぱり高柳グループの傘下に入れば?」
「…それは………でも、あなたたちのボスに一度会わせてくれないかしら…。」
「それはいいよ。ついてきなよ。」
「お嬢!お嬢!いけませんよ!南グループが高柳グループの傘下に入ってしまったら南グループは全て奴の独裁政権のもとで動かなくてはならないのですよ!」
「…まだ…傘下に入ると決めたわけじゃないわよ…。」
「ですが!」
お嬢が黎に抱きついた。
「…黎…助けて…。」
黎はお嬢の背中に手を回す。
「もちろんですよ。」
黎はお嬢に呟いた。
「話はまとまった?そしたらボスのもと案内するよ?」
「…わかったわ…。」
そしてお嬢は紅葉にボスの本拠地に案内された。
そこはまさに王室という感じであった。
そして広間の奥には玉座のようなものがあり、そこに遥輝が脚を組んで座っていた。
真ん中の通路を開けるように遥輝の舎弟たちが両脇に整列している。
「香歩。よく来てくれたね。歓迎するよ。」
お嬢はすごく怯えていた。
「ほら、ボスの元へ。」
紅葉がお嬢の背中を押し、両側の舎弟達の視線を浴びながら恐る恐る遥輝の元へ近づく。
「あれから気が変わったかな?」
「…あの…お願いです…私の舎弟達にこれ以上手を出すのはヤメてください…。私はどうなっても構いませんから…。」
お嬢は震えながら、俯いたまま懇願する。
「いい?香歩、そういうことじゃないんだよ。俺は南グループが高柳グループの傘下に入ってくれればいいだけ。香歩がその要求を呑んでくれるのならそれでいいんだ。」
「………でも…南グループのメンバーは私にとってとても大切な人たちなんです…。どうか…許してください…お願いします…!」
お嬢が遥輝に深く頭を下げる。
「ダメじゃない香歩、そんな子に育ってしまっていたなんて、兄さん残念だよ。これはちょっとお仕置きしないといけないね。」
遥輝が立ち上がってお嬢の元へ歩み寄る。
「…イヤ…イヤッ…!ヤメてください…!お願いです…!」
お嬢が後ずさりし、腰を抜かして尻もちをついてしまう。
「やだ…怖い…!イヤッ…!黎ッ…!助けて…!」
「お呼びですか?お嬢。」
お嬢と遥輝の間に黎が入る。
「俺が誰かの気配を感じないなんて君、なかなかやるね。」
「お嬢はひとまず俺がお持ち帰りします。それでは失礼いたします。」
そして黎はお嬢をお姫様抱っこしてシャドームーブで駆け抜け高柳グループの舎弟達を出し抜き王室を後にした。
「田本黎君、おもしろいね。」
そして…
「お嬢、だからダメだって言ったじゃないですか。お嬢が無理して敵陣に乗り込んで彼らのいいようにされたら…」
「黎ッ!怖かった…。助けてくれて本当にありがとう…。」
「お嬢は放っておくと本当に危ないですからね。俺はずっとお嬢のそばいると約束してるんですからお嬢が危ないときにはすぐにかけつけますよ。」
「…うん…。私黎のことずっと信じてる…。だから自分の身の危険を承知の上で行動したの…。これで敵陣の本拠地だってわかったし、彼はどうしても南グループを傘下に入れたいということが改めてわかったわね。でも…本当に凄く怖かった…。」
震えながらそう言うお嬢を黎は抱きしめる。
「いいですか、お嬢。お嬢は俺の大切な人なんです。俺は誓いましたよね。お嬢と人生を共にすると。お嬢の行動を俺が否定する権利はありませんが、お嬢が俺を心配するのと同じように、俺もお嬢を心配するんですよ。」
「黎…ごめんなさい…。」
お嬢も黎を抱きしめる。
次回 第三十九話 機兵
「ボクの事を情報ネットワークも使わずにそこまで調べられるなんて花梨お姉様もなかなかやるね。ボクも南グループのこと色々調べさせてもらってさ、お前のことも調べさせてもらったよ。伝説の殺し屋でナイトウォーカーと呼ばれていた南グループS級舎弟の田本黎…」
「知ってしまったのですか…。」
黎が深く帽子を被り黎の右腕から黒い球体が生み出される。
そして黎は不気味な笑みを浮かべる。
「その名前を知っている者はこの世界で1人しかいないんですよ。情報機関にもその情報はありません。あなたこそ一体どこで仕入れたんですかね?」
「なるほど。この事実を知ってしまった者は跡形もなく消される。そういう事なんだね。やっぱりお前、あの2体と戦ってる時本気出してなかったよね。どういうつもり?」
「俺はお嬢を悲しませたくないんですよね。ただそれだけです。ですが…あなたには消えていただかないといかなければなりませ…」
「だめぇーーーーーーーー!!!!」
突然黎の耳にお嬢の叫び声が聞こえてきた。
そしてお嬢が黎と紅葉の元に姿を現す。
「…お嬢!危険ですよ!どうして戻ってきたのですか!?」
「黎…お願い…それだけは止めて…。」
「………わかりました…。」
黎は黒い球体を消滅させた。
「お嬢様が直接お出まし?今の南グループの舎弟の情況を理解しづらい状態にあるだろうから直接教えてあげるけど、ボクの機械兵士達に次々と南グループの舎弟はやられているんだよ。この意味がわかる?」
「…!…お願い…お願いします…もう…本当に止めてください…お願いします…。」
お嬢が紅葉に泣きながら悲願する。
「そしたらやっぱり高柳グループの傘下に入れば?」
「…それは………でも、あなたたちのボスに一度会わせてくれないかしら…。」
「それはいいよ。ついてきなよ。」
「お嬢!お嬢!いけませんよ!南グループが高柳グループの傘下に入ってしまったら南グループは全て奴の独裁政権のもとで動かなくてはならないのですよ!」
「…まだ…傘下に入ると決めたわけじゃないわよ…。」
「ですが!」
お嬢が黎に抱きついた。
「…黎…助けて…。」
黎はお嬢の背中に手を回す。
「もちろんですよ。」
黎はお嬢に呟いた。
「話はまとまった?そしたらボスのもと案内するよ?」
「…わかったわ…。」
そしてお嬢は紅葉にボスの本拠地に案内された。
そこはまさに王室という感じであった。
そして広間の奥には玉座のようなものがあり、そこに遥輝が脚を組んで座っていた。
真ん中の通路を開けるように遥輝の舎弟たちが両脇に整列している。
「香歩。よく来てくれたね。歓迎するよ。」
お嬢はすごく怯えていた。
「ほら、ボスの元へ。」
紅葉がお嬢の背中を押し、両側の舎弟達の視線を浴びながら恐る恐る遥輝の元へ近づく。
「あれから気が変わったかな?」
「…あの…お願いです…私の舎弟達にこれ以上手を出すのはヤメてください…。私はどうなっても構いませんから…。」
お嬢は震えながら、俯いたまま懇願する。
「いい?香歩、そういうことじゃないんだよ。俺は南グループが高柳グループの傘下に入ってくれればいいだけ。香歩がその要求を呑んでくれるのならそれでいいんだ。」
「………でも…南グループのメンバーは私にとってとても大切な人たちなんです…。どうか…許してください…お願いします…!」
お嬢が遥輝に深く頭を下げる。
「ダメじゃない香歩、そんな子に育ってしまっていたなんて、兄さん残念だよ。これはちょっとお仕置きしないといけないね。」
遥輝が立ち上がってお嬢の元へ歩み寄る。
「…イヤ…イヤッ…!ヤメてください…!お願いです…!」
お嬢が後ずさりし、腰を抜かして尻もちをついてしまう。
「やだ…怖い…!イヤッ…!黎ッ…!助けて…!」
「お呼びですか?お嬢。」
お嬢と遥輝の間に黎が入る。
「俺が誰かの気配を感じないなんて君、なかなかやるね。」
「お嬢はひとまず俺がお持ち帰りします。それでは失礼いたします。」
そして黎はお嬢をお姫様抱っこしてシャドームーブで駆け抜け高柳グループの舎弟達を出し抜き王室を後にした。
「田本黎君、おもしろいね。」
そして…
「お嬢、だからダメだって言ったじゃないですか。お嬢が無理して敵陣に乗り込んで彼らのいいようにされたら…」
「黎ッ!怖かった…。助けてくれて本当にありがとう…。」
「お嬢は放っておくと本当に危ないですからね。俺はずっとお嬢のそばいると約束してるんですからお嬢が危ないときにはすぐにかけつけますよ。」
「…うん…。私黎のことずっと信じてる…。だから自分の身の危険を承知の上で行動したの…。これで敵陣の本拠地だってわかったし、彼はどうしても南グループを傘下に入れたいということが改めてわかったわね。でも…本当に凄く怖かった…。」
震えながらそう言うお嬢を黎は抱きしめる。
「いいですか、お嬢。お嬢は俺の大切な人なんです。俺は誓いましたよね。お嬢と人生を共にすると。お嬢の行動を俺が否定する権利はありませんが、お嬢が俺を心配するのと同じように、俺もお嬢を心配するんですよ。」
「黎…ごめんなさい…。」
お嬢も黎を抱きしめる。
次回 第三十九話 機兵
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