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第七章 鉄葉編
第三十六話 紅鉄
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お嬢と黎は夜をともにしたあと、夜が明けて朝日が差し込み、お嬢が目を覚ました。
そして黎の寝顔を見て、
「もう…黎ってば…激しすぎ…。」
と言って寝ている黎にキスをして部屋を後にした。
広間には八代がいた。
「お嬢様、おはようございます。」
「花梨ちゃん、おはよう。」
「お嬢様にお伝えしたい事があります。」
「どうしたの?」
「ワタクシの姉と妹についてです。」
それを聞いた瞬間お嬢はあの屋敷の東に行った先にある倉庫での出来事がフラッシュバックし、嫌な気分になったが、表情には出さずになんとか冷静さを保ち、
「聞かせてちょうだい。」
と言った。
「黎様と菱沼様にも情報共有しておきたいのですが…。」
「黎は私が呼んでくるから、花梨ちゃんは晶ちゃんを呼んでもらっていいかしら?」
「かしこまりました。」
お嬢の部屋にて…
「黎ー、起きなさいー。」
「ポンポンッ」
お嬢が黎の肩を叩く。
「お嬢…おはようございます…すみません…俺…寝坊ですか…。」
黎が目をこすりながら起きる。
「いいのよ。花梨ちゃんがお姉さんと妹さんのことについてお話ししてくれるんだって。」
すると黎は帽子を被って、
「わかりました。」
と言い、2人は部屋を後にした。
そして広間では八代と菱沼が既に隣り合って座っていた。
そしてお嬢と黎がテーブルの向かい側に隣り合って座る。
「皆様、お集まり頂きありがとうございます。高柳グループにいたワタクシの姉と妹、楓お姉様と紅葉についての情報共有をさせて頂きたいと思います。」
黎はすぐに違和感に気づいた。
「ありがとうございます。それにしても八代、いつもの自前のパソコンはどうされたのですか?」
「高度なセキュリティプログラムを組んだ上で書斎に置いてあります。そして…書斎にありますデスクトップパソコンを含めこれまで保存していたデータを全て削除させて頂きました。南グループの情報機関にもワタクシの方から情報ネットワークの接続を切断するように提案しました。」
3人は驚いた。
「え!?一体どうして!?」
お嬢が八代に問いかける。
「はい。順を追って説明致します。ワタクシの妹にあたる八代紅葉ですが、彼女はプログラム設計、機械の工作などに関してワタクシの技術を遥かに上回ります。つまり、ワタクシのパソコンが彼女にハッキングされてしまえば南グループのこれまでの情報は全て高柳グループに漏洩されてしまうことになります。」
「そ、それでは、今までのようにこちら側は八代さんのパソコンや機器の系統を扱う事ができないのですか!?それと、削除してしまった八代さんのデータは…」
菱沼が慌てた様子で問いかける。
「データに関してはこちらのUSBメモリに全て保存してありますのでご安心ください。」
八代が小さな機器を摘んで3人に見せる。
「そして今までワタクシ達が用いていた機器に関しては、扱う事ができないどころか、寧ろ彼女にハッキングされ、改造されるなどして利用されてしまう可能性すらあるので、今回彼女と対峙する上で使用は控えたほうが良いでしょう。」
「花梨ちゃんよりも機械を扱える者がいるなんて…。」
お嬢が悲しそうにつぶやく。
「お嬢、大丈夫ですよ。」
黎がお嬢の左手を握りしめる。
そして黎は倉庫での出来事を思い出しながらいくつか気になる点を述べる。
「八代、お嬢と俺はあの倉庫で八代の元へ向かう途中、2体の機械の様な者から命を狙われました。彼女の言っていた『機械兵士』というのはアレのことで間違いないでしょうか?それと、彼女は機械に強い一面を持ちながら、戦闘力もかなりありそうな様子でした。なにか知っていることはありますか?」
「はい。ワタクシも今知っている限りの情報は限られておりますが、彼女は機械兵士と呼ばれる人形の戦闘兵器を従えて軍を率いています。特に彼女の最高傑作のE6(イーシックス)とE7(イーセブン)の戦闘力は南グループのA級舎弟を上回る可能性すらあります。そして紅葉自身は『タイタン』の異名を持ち、彼女の用いていた巨斧は一見ただの巨大な斧でしたが恐らくあれは彼女は改造しており、その破壊力はリソス様の竜化の鱗も裂ける程だと考えられます。」
「E6(イーシックス)とE7(イーセブン)…あの倉庫で私と黎を襲ってきたやつらがそんなこと言ってたわ!あの2体が南グループのA級舎弟を上回るなんて…。それに彼女の斧は竜の鱗も裂けるってことは…」
お嬢が続きを言いかけた時に八代がそれを代弁するかのように、
「はい。ワタクシの妹、八代紅葉は、頭脳、戦闘力、兵士の管理能力など総合的なステータスを加味した上で南グループで言うならば恐らく、黎様同様、S級舎弟にも相当すると考えられます。」
と言った。
次回 第三十七話 逃亡
そして黎の寝顔を見て、
「もう…黎ってば…激しすぎ…。」
と言って寝ている黎にキスをして部屋を後にした。
広間には八代がいた。
「お嬢様、おはようございます。」
「花梨ちゃん、おはよう。」
「お嬢様にお伝えしたい事があります。」
「どうしたの?」
「ワタクシの姉と妹についてです。」
それを聞いた瞬間お嬢はあの屋敷の東に行った先にある倉庫での出来事がフラッシュバックし、嫌な気分になったが、表情には出さずになんとか冷静さを保ち、
「聞かせてちょうだい。」
と言った。
「黎様と菱沼様にも情報共有しておきたいのですが…。」
「黎は私が呼んでくるから、花梨ちゃんは晶ちゃんを呼んでもらっていいかしら?」
「かしこまりました。」
お嬢の部屋にて…
「黎ー、起きなさいー。」
「ポンポンッ」
お嬢が黎の肩を叩く。
「お嬢…おはようございます…すみません…俺…寝坊ですか…。」
黎が目をこすりながら起きる。
「いいのよ。花梨ちゃんがお姉さんと妹さんのことについてお話ししてくれるんだって。」
すると黎は帽子を被って、
「わかりました。」
と言い、2人は部屋を後にした。
そして広間では八代と菱沼が既に隣り合って座っていた。
そしてお嬢と黎がテーブルの向かい側に隣り合って座る。
「皆様、お集まり頂きありがとうございます。高柳グループにいたワタクシの姉と妹、楓お姉様と紅葉についての情報共有をさせて頂きたいと思います。」
黎はすぐに違和感に気づいた。
「ありがとうございます。それにしても八代、いつもの自前のパソコンはどうされたのですか?」
「高度なセキュリティプログラムを組んだ上で書斎に置いてあります。そして…書斎にありますデスクトップパソコンを含めこれまで保存していたデータを全て削除させて頂きました。南グループの情報機関にもワタクシの方から情報ネットワークの接続を切断するように提案しました。」
3人は驚いた。
「え!?一体どうして!?」
お嬢が八代に問いかける。
「はい。順を追って説明致します。ワタクシの妹にあたる八代紅葉ですが、彼女はプログラム設計、機械の工作などに関してワタクシの技術を遥かに上回ります。つまり、ワタクシのパソコンが彼女にハッキングされてしまえば南グループのこれまでの情報は全て高柳グループに漏洩されてしまうことになります。」
「そ、それでは、今までのようにこちら側は八代さんのパソコンや機器の系統を扱う事ができないのですか!?それと、削除してしまった八代さんのデータは…」
菱沼が慌てた様子で問いかける。
「データに関してはこちらのUSBメモリに全て保存してありますのでご安心ください。」
八代が小さな機器を摘んで3人に見せる。
「そして今までワタクシ達が用いていた機器に関しては、扱う事ができないどころか、寧ろ彼女にハッキングされ、改造されるなどして利用されてしまう可能性すらあるので、今回彼女と対峙する上で使用は控えたほうが良いでしょう。」
「花梨ちゃんよりも機械を扱える者がいるなんて…。」
お嬢が悲しそうにつぶやく。
「お嬢、大丈夫ですよ。」
黎がお嬢の左手を握りしめる。
そして黎は倉庫での出来事を思い出しながらいくつか気になる点を述べる。
「八代、お嬢と俺はあの倉庫で八代の元へ向かう途中、2体の機械の様な者から命を狙われました。彼女の言っていた『機械兵士』というのはアレのことで間違いないでしょうか?それと、彼女は機械に強い一面を持ちながら、戦闘力もかなりありそうな様子でした。なにか知っていることはありますか?」
「はい。ワタクシも今知っている限りの情報は限られておりますが、彼女は機械兵士と呼ばれる人形の戦闘兵器を従えて軍を率いています。特に彼女の最高傑作のE6(イーシックス)とE7(イーセブン)の戦闘力は南グループのA級舎弟を上回る可能性すらあります。そして紅葉自身は『タイタン』の異名を持ち、彼女の用いていた巨斧は一見ただの巨大な斧でしたが恐らくあれは彼女は改造しており、その破壊力はリソス様の竜化の鱗も裂ける程だと考えられます。」
「E6(イーシックス)とE7(イーセブン)…あの倉庫で私と黎を襲ってきたやつらがそんなこと言ってたわ!あの2体が南グループのA級舎弟を上回るなんて…。それに彼女の斧は竜の鱗も裂けるってことは…」
お嬢が続きを言いかけた時に八代がそれを代弁するかのように、
「はい。ワタクシの妹、八代紅葉は、頭脳、戦闘力、兵士の管理能力など総合的なステータスを加味した上で南グループで言うならば恐らく、黎様同様、S級舎弟にも相当すると考えられます。」
と言った。
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