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第六章 小悪魔編
第三十四話 恋敵
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その頃八代は、お嬢の部屋の前で2人の話を聞いていた。
そして広間のテーブルのパソコンに向かい、作業に戻る。
お嬢と黎が部屋から出ると広間には八代がいる。
「花梨ちゃん…。」
お嬢は意を決したように八代のもとへ向かう。
「あのね、花梨ちゃん…私黎のこと…」
「はい。わかっております。わかった上で黎様を書斎にお招きしました。」
「…え…。」
「ですが…」
八代はお嬢とすれ違い黎のもとへ歩み寄る。
「黎様は、誰のものでもないとワタクシは考えております。そして…」
八代がどんどん黎のもとへ接近する。
「八代、これ以上近づいては…」
八代は黎に抱きついて背伸びをし、黎の口にキスをする。
それを見たお嬢は膝をついて涙を流してしまう。
「ワタクシも黎様に好意を抱いている以上、お嬢様とワタクシは恋敵ということになります。そしてお相手をお1人に絞られるのなら、それは黎様がお決めになる事だと考えられます。」
「…い…イヤ…」
お嬢が震えた声を出す。
「イヤーーーーーーーーーーッ!!!!!」
お嬢が泣き叫ぶ。
「お嬢様!どうされましたか!?」
部屋にいた菱沼にもその叫び声が聞こえてお嬢のもとへ駆けつける。
「大丈夫ですか!?お嬢様!?」
「…イヤ…黎…そんなの…イヤよ…」
「八代、俺の中で1人を決めるのであればその相手は既に決まっています。」
「…やはり、敵わないのですか。」
「これからも八代は俺が守ります。これは約束です。ですが、俺が人生を共にする相手を決めるのなら、やはり俺にはお嬢しかいないです。」
「…わかりました。ですがワタクシはいつでも黎様のことを、お待ちしています。それがワタクシの、恐らくは叶わぬ恋心というものです。」
八代は俯く。
黎はお嬢の方に目を向ける。
お嬢は菱沼になだめられながらとても号泣している。
黎はお嬢に抱かせる不安要素をまた一つ増やしてしまったのかもしれないと感じた。
次回 第三十五話 誓い
そして広間のテーブルのパソコンに向かい、作業に戻る。
お嬢と黎が部屋から出ると広間には八代がいる。
「花梨ちゃん…。」
お嬢は意を決したように八代のもとへ向かう。
「あのね、花梨ちゃん…私黎のこと…」
「はい。わかっております。わかった上で黎様を書斎にお招きしました。」
「…え…。」
「ですが…」
八代はお嬢とすれ違い黎のもとへ歩み寄る。
「黎様は、誰のものでもないとワタクシは考えております。そして…」
八代がどんどん黎のもとへ接近する。
「八代、これ以上近づいては…」
八代は黎に抱きついて背伸びをし、黎の口にキスをする。
それを見たお嬢は膝をついて涙を流してしまう。
「ワタクシも黎様に好意を抱いている以上、お嬢様とワタクシは恋敵ということになります。そしてお相手をお1人に絞られるのなら、それは黎様がお決めになる事だと考えられます。」
「…い…イヤ…」
お嬢が震えた声を出す。
「イヤーーーーーーーーーーッ!!!!!」
お嬢が泣き叫ぶ。
「お嬢様!どうされましたか!?」
部屋にいた菱沼にもその叫び声が聞こえてお嬢のもとへ駆けつける。
「大丈夫ですか!?お嬢様!?」
「…イヤ…黎…そんなの…イヤよ…」
「八代、俺の中で1人を決めるのであればその相手は既に決まっています。」
「…やはり、敵わないのですか。」
「これからも八代は俺が守ります。これは約束です。ですが、俺が人生を共にする相手を決めるのなら、やはり俺にはお嬢しかいないです。」
「…わかりました。ですがワタクシはいつでも黎様のことを、お待ちしています。それがワタクシの、恐らくは叶わぬ恋心というものです。」
八代は俯く。
黎はお嬢の方に目を向ける。
お嬢は菱沼になだめられながらとても号泣している。
黎はお嬢に抱かせる不安要素をまた一つ増やしてしまったのかもしれないと感じた。
次回 第三十五話 誓い
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