32 / 208
第六章 小悪魔編
第三十ニ話 誘惑
しおりを挟む
遂に広間まで響く嬢の喘ぎ声止み、しばらくするとお嬢と黎が部屋から出てくる。
すると八代が広間でパソコンをいじっていた。
「花梨ちゃんおはよー。」
「八代、おはようございます。」
「おはようございます。お嬢様、黎様。」
黎は八代に彼女の姉と妹の話をいつしようか迷っていた。
八代から話し始めるまで待とうか。彼女は自分なりに最善の選択をするはずだと黎が色々考えてたそのときだった。
「あの、黎様、お話したい事があるのですが。」
「え?俺ですか?」
「はい…黎様だけにお話したいことでして…。」
「お嬢…いかがいたしましょう…。」
「私には…話せない事なのかな?」
「例の組織についてのお話でして、お嬢様にお話するのは、黎様とお話をまとめてからの方がよいと思いまして…。」
お嬢は深く考えた。
以前書斎に八代を招いたことでお嬢は酷く取り乱したこともあり、お嬢もきっと2人の間で何かあるのではないかと不安なのだろう。
「…わかったわ。」
前回八代が黎を招いた時騒ぎにはなったものの結果的に事実上、大きな問題は発生していなかった。それに八代が部屋に招いた時には八代なりの目的があったから今回も大事にはならないだろうとお嬢と黎は考えていた。
「そしたら、一度記憶の共有を切断しておく必要があるわね。」
「わかりました。」
そうしてお嬢と黎の記憶の共有は一時的に解除された。
そして黎は八代とともに書斎へ向かう。
書斎に入ると前回同様、八代は部屋の鍵を閉める。
そして、八代は話し始める。
「あれから暴行を受けることはなくなり、誘拐された時に暴行を受けた際の顔の怪我の治療も兼ねて、南病院のもとで、全身のあざもよくなりました。」
「それはよかったです。」
そして八代は前回のようにエプロンの背中のリボンを外し、ジッパーを下ろす。
「背中の状態はワタクシにはよく見えないので、黎様に確認して頂きたいのです。」
たしかに肌の状態は前回より改善している。
しかし何かおかしいと黎は感じた。
「ええ、確かに前回よりかなり改善されています。しかし八代、本題はなんでしょうか。」
「…さすがは黎様ですね。」
八代は自分のベッドに座り始める。
「単刀直入にお聞きします。黎様とお嬢様は交際されているのですか?」
黎はその質問に戸惑った。
「お嬢様にとって黎様は舎弟という立場ですがワタクシにはお互いに特別な感情を抱かれていると思われます。初めはお嬢様の一方的なものかと思われましたが黎様も次第にお嬢様に惹かれていっているようにお見受けしたのです。」
黎は無自覚であったが八代の言っていることがもっともであるような気がした。
「もう一つお聞きしたいことがあります。黎様は以前ワタクシのことを抱きしめて頂きましたが…あの時のように今ワタクシを抱きしめて頂くことはできますか?」
黎は先の戸惑いにさらなる別の戸惑いが上乗せされる。
黎が戸惑っていると八代が立ち上がって黎のもとに歩み寄る。
そして、八代が黎を抱きしめる。
「ワタクシ、これまでに黎様に助けていただいた出来事を思い出すと、最近黎様のことが頭から離れないのです。ワタクシの姉と妹も想定外の出来事でしたが姿を表し、あの2人がおっしゃっていたようにワタクシを攫うことは彼女たちにとっては容易いことだと思われます。ワタクシも…怖いのです…。」
八代の目からは涙が溢れていた。
そんな八代を、黎が抱きしめる。
「黎様、ワタクシ、処女なのです。ワタクシの初めてを、黎様がいただいてはくれませんか?」
黎は八代の突然の一言に驚く。
「八代…さすがにそれは…」
八代が黎をベッドに引き連れる。
「ダメ、でございますか…?ワタクシも…お嬢様のように…好きな方と愛情を共有したいのです…。お願いします…。」
まさかの言葉に黎は戸惑い続けながらも、
「…わかりました。」
と答え、黎が八代を抱きしめ2人でベッドに横になる。
黎は八代の体を服の上から撫でる。
「……ッ!」
八代は声を抑えている。
恐らく広間に聞こえないように堪えているのだろう。
八代は黎に服を脱がされ、今度は肌の上から体をなぞる。
「…ッッ!」
それでも手で口を抑えて声を出すのを我慢している。
しかし、八代の体の準備は…既にできているようだった。
「…始めますよ?」
「…はい…。」
その頃お嬢は自分の部屋に戻っていた。
「黎、早く戻ってこないかな…。」
お嬢はベッドに仰向けになって天井に左手を伸ばしてそんな事を呟やいた。
そして黎と八代は一連の行為を終えた。
八代は最後まで声を抑えていた。
「黎様…どうもありがとうございました…。」
八代は服を着ながら黎にお礼を言う。
「南グループの十の掟その三、何か悩み事がある時は一人で抱え込まなくて良いと念頭に置くこと。ですよ。八代も一人で悩まず何かあれば相談してください。あまり怖がらせるような事は言いたくはありませんが、今回の件のこともあり、八代は身の危険にさらされる可能性のある舎弟の一人ですから。」
黎も服を着ながら言う。
「はい…ありがとうございます。」
そういって八代は黎に抱きつく。
黎も八代の背中に手を回す。
そしてしばらくして、
「それでは、俺はお嬢のところへ戻りますね。」
と黎が部屋を後にしようと書斎の扉開けると、扉の前にはお嬢が立っていた。
「話は…まとまったかな…?」
「書斎に俺を招き入れたもののまだあまり今回の件について話せるような気持ちにはなれなかったそうです。」
「ねぇ…黎…。」
「なんでしょうか?」
「花梨ちゃんと…何してたの…?」
次回 第三十三話 白状
すると八代が広間でパソコンをいじっていた。
「花梨ちゃんおはよー。」
「八代、おはようございます。」
「おはようございます。お嬢様、黎様。」
黎は八代に彼女の姉と妹の話をいつしようか迷っていた。
八代から話し始めるまで待とうか。彼女は自分なりに最善の選択をするはずだと黎が色々考えてたそのときだった。
「あの、黎様、お話したい事があるのですが。」
「え?俺ですか?」
「はい…黎様だけにお話したいことでして…。」
「お嬢…いかがいたしましょう…。」
「私には…話せない事なのかな?」
「例の組織についてのお話でして、お嬢様にお話するのは、黎様とお話をまとめてからの方がよいと思いまして…。」
お嬢は深く考えた。
以前書斎に八代を招いたことでお嬢は酷く取り乱したこともあり、お嬢もきっと2人の間で何かあるのではないかと不安なのだろう。
「…わかったわ。」
前回八代が黎を招いた時騒ぎにはなったものの結果的に事実上、大きな問題は発生していなかった。それに八代が部屋に招いた時には八代なりの目的があったから今回も大事にはならないだろうとお嬢と黎は考えていた。
「そしたら、一度記憶の共有を切断しておく必要があるわね。」
「わかりました。」
そうしてお嬢と黎の記憶の共有は一時的に解除された。
そして黎は八代とともに書斎へ向かう。
書斎に入ると前回同様、八代は部屋の鍵を閉める。
そして、八代は話し始める。
「あれから暴行を受けることはなくなり、誘拐された時に暴行を受けた際の顔の怪我の治療も兼ねて、南病院のもとで、全身のあざもよくなりました。」
「それはよかったです。」
そして八代は前回のようにエプロンの背中のリボンを外し、ジッパーを下ろす。
「背中の状態はワタクシにはよく見えないので、黎様に確認して頂きたいのです。」
たしかに肌の状態は前回より改善している。
しかし何かおかしいと黎は感じた。
「ええ、確かに前回よりかなり改善されています。しかし八代、本題はなんでしょうか。」
「…さすがは黎様ですね。」
八代は自分のベッドに座り始める。
「単刀直入にお聞きします。黎様とお嬢様は交際されているのですか?」
黎はその質問に戸惑った。
「お嬢様にとって黎様は舎弟という立場ですがワタクシにはお互いに特別な感情を抱かれていると思われます。初めはお嬢様の一方的なものかと思われましたが黎様も次第にお嬢様に惹かれていっているようにお見受けしたのです。」
黎は無自覚であったが八代の言っていることがもっともであるような気がした。
「もう一つお聞きしたいことがあります。黎様は以前ワタクシのことを抱きしめて頂きましたが…あの時のように今ワタクシを抱きしめて頂くことはできますか?」
黎は先の戸惑いにさらなる別の戸惑いが上乗せされる。
黎が戸惑っていると八代が立ち上がって黎のもとに歩み寄る。
そして、八代が黎を抱きしめる。
「ワタクシ、これまでに黎様に助けていただいた出来事を思い出すと、最近黎様のことが頭から離れないのです。ワタクシの姉と妹も想定外の出来事でしたが姿を表し、あの2人がおっしゃっていたようにワタクシを攫うことは彼女たちにとっては容易いことだと思われます。ワタクシも…怖いのです…。」
八代の目からは涙が溢れていた。
そんな八代を、黎が抱きしめる。
「黎様、ワタクシ、処女なのです。ワタクシの初めてを、黎様がいただいてはくれませんか?」
黎は八代の突然の一言に驚く。
「八代…さすがにそれは…」
八代が黎をベッドに引き連れる。
「ダメ、でございますか…?ワタクシも…お嬢様のように…好きな方と愛情を共有したいのです…。お願いします…。」
まさかの言葉に黎は戸惑い続けながらも、
「…わかりました。」
と答え、黎が八代を抱きしめ2人でベッドに横になる。
黎は八代の体を服の上から撫でる。
「……ッ!」
八代は声を抑えている。
恐らく広間に聞こえないように堪えているのだろう。
八代は黎に服を脱がされ、今度は肌の上から体をなぞる。
「…ッッ!」
それでも手で口を抑えて声を出すのを我慢している。
しかし、八代の体の準備は…既にできているようだった。
「…始めますよ?」
「…はい…。」
その頃お嬢は自分の部屋に戻っていた。
「黎、早く戻ってこないかな…。」
お嬢はベッドに仰向けになって天井に左手を伸ばしてそんな事を呟やいた。
そして黎と八代は一連の行為を終えた。
八代は最後まで声を抑えていた。
「黎様…どうもありがとうございました…。」
八代は服を着ながら黎にお礼を言う。
「南グループの十の掟その三、何か悩み事がある時は一人で抱え込まなくて良いと念頭に置くこと。ですよ。八代も一人で悩まず何かあれば相談してください。あまり怖がらせるような事は言いたくはありませんが、今回の件のこともあり、八代は身の危険にさらされる可能性のある舎弟の一人ですから。」
黎も服を着ながら言う。
「はい…ありがとうございます。」
そういって八代は黎に抱きつく。
黎も八代の背中に手を回す。
そしてしばらくして、
「それでは、俺はお嬢のところへ戻りますね。」
と黎が部屋を後にしようと書斎の扉開けると、扉の前にはお嬢が立っていた。
「話は…まとまったかな…?」
「書斎に俺を招き入れたもののまだあまり今回の件について話せるような気持ちにはなれなかったそうです。」
「ねぇ…黎…。」
「なんでしょうか?」
「花梨ちゃんと…何してたの…?」
次回 第三十三話 白状
10
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる