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第六章 小悪魔編
第三十ニ話 誘惑
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遂に広間まで響く嬢の喘ぎ声止み、しばらくするとお嬢と黎が部屋から出てくる。
すると八代が広間でパソコンをいじっていた。
「花梨ちゃんおはよー。」
「八代、おはようございます。」
「おはようございます。お嬢様、黎様。」
黎は八代に彼女の姉と妹の話をいつしようか迷っていた。
八代から話し始めるまで待とうか。彼女は自分なりに最善の選択をするはずだと黎が色々考えてたそのときだった。
「あの、黎様、お話したい事があるのですが。」
「え?俺ですか?」
「はい…黎様だけにお話したいことでして…。」
「お嬢…いかがいたしましょう…。」
「私には…話せない事なのかな?」
「例の組織についてのお話でして、お嬢様にお話するのは、黎様とお話をまとめてからの方がよいと思いまして…。」
お嬢は深く考えた。
以前書斎に八代を招いたことでお嬢は酷く取り乱したこともあり、お嬢もきっと2人の間で何かあるのではないかと不安なのだろう。
「…わかったわ。」
前回八代が黎を招いた時騒ぎにはなったものの結果的に事実上、大きな問題は発生していなかった。それに八代が部屋に招いた時には八代なりの目的があったから今回も大事にはならないだろうとお嬢と黎は考えていた。
「そしたら、一度記憶の共有を切断しておく必要があるわね。」
「わかりました。」
そうしてお嬢と黎の記憶の共有は一時的に解除された。
そして黎は八代とともに書斎へ向かう。
書斎に入ると前回同様、八代は部屋の鍵を閉める。
そして、八代は話し始める。
「あれから暴行を受けることはなくなり、誘拐された時に暴行を受けた際の顔の怪我の治療も兼ねて、南病院のもとで、全身のあざもよくなりました。」
「それはよかったです。」
そして八代は前回のようにエプロンの背中のリボンを外し、ジッパーを下ろす。
「背中の状態はワタクシにはよく見えないので、黎様に確認して頂きたいのです。」
たしかに肌の状態は前回より改善している。
しかし何かおかしいと黎は感じた。
「ええ、確かに前回よりかなり改善されています。しかし八代、本題はなんでしょうか。」
「…さすがは黎様ですね。」
八代は自分のベッドに座り始める。
「単刀直入にお聞きします。黎様とお嬢様は交際されているのですか?」
黎はその質問に戸惑った。
「お嬢様にとって黎様は舎弟という立場ですがワタクシにはお互いに特別な感情を抱かれていると思われます。初めはお嬢様の一方的なものかと思われましたが黎様も次第にお嬢様に惹かれていっているようにお見受けしたのです。」
黎は無自覚であったが八代の言っていることがもっともであるような気がした。
「もう一つお聞きしたいことがあります。黎様は以前ワタクシのことを抱きしめて頂きましたが…あの時のように今ワタクシを抱きしめて頂くことはできますか?」
黎は先の戸惑いにさらなる別の戸惑いが上乗せされる。
黎が戸惑っていると八代が立ち上がって黎のもとに歩み寄る。
そして、八代が黎を抱きしめる。
「ワタクシ、これまでに黎様に助けていただいた出来事を思い出すと、最近黎様のことが頭から離れないのです。ワタクシの姉と妹も想定外の出来事でしたが姿を表し、あの2人がおっしゃっていたようにワタクシを攫うことは彼女たちにとっては容易いことだと思われます。ワタクシも…怖いのです…。」
八代の目からは涙が溢れていた。
そんな八代を、黎が抱きしめる。
「黎様、ワタクシ、処女なのです。ワタクシの初めてを、黎様がいただいてはくれませんか?」
黎は八代の突然の一言に驚く。
「八代…さすがにそれは…」
八代が黎をベッドに引き連れる。
「ダメ、でございますか…?ワタクシも…お嬢様のように…好きな方と愛情を共有したいのです…。お願いします…。」
まさかの言葉に黎は戸惑い続けながらも、
「…わかりました。」
と答え、黎が八代を抱きしめ2人でベッドに横になる。
黎は八代の体を服の上から撫でる。
「……ッ!」
八代は声を抑えている。
恐らく広間に聞こえないように堪えているのだろう。
八代は黎に服を脱がされ、今度は肌の上から体をなぞる。
「…ッッ!」
それでも手で口を抑えて声を出すのを我慢している。
しかし、八代の体の準備は…既にできているようだった。
「…始めますよ?」
「…はい…。」
その頃お嬢は自分の部屋に戻っていた。
「黎、早く戻ってこないかな…。」
お嬢はベッドに仰向けになって天井に左手を伸ばしてそんな事を呟やいた。
そして黎と八代は一連の行為を終えた。
八代は最後まで声を抑えていた。
「黎様…どうもありがとうございました…。」
八代は服を着ながら黎にお礼を言う。
「南グループの十の掟その三、何か悩み事がある時は一人で抱え込まなくて良いと念頭に置くこと。ですよ。八代も一人で悩まず何かあれば相談してください。あまり怖がらせるような事は言いたくはありませんが、今回の件のこともあり、八代は身の危険にさらされる可能性のある舎弟の一人ですから。」
黎も服を着ながら言う。
「はい…ありがとうございます。」
そういって八代は黎に抱きつく。
黎も八代の背中に手を回す。
そしてしばらくして、
「それでは、俺はお嬢のところへ戻りますね。」
と黎が部屋を後にしようと書斎の扉開けると、扉の前にはお嬢が立っていた。
「話は…まとまったかな…?」
「書斎に俺を招き入れたもののまだあまり今回の件について話せるような気持ちにはなれなかったそうです。」
「ねぇ…黎…。」
「なんでしょうか?」
「花梨ちゃんと…何してたの…?」
次回 第三十三話 白状
すると八代が広間でパソコンをいじっていた。
「花梨ちゃんおはよー。」
「八代、おはようございます。」
「おはようございます。お嬢様、黎様。」
黎は八代に彼女の姉と妹の話をいつしようか迷っていた。
八代から話し始めるまで待とうか。彼女は自分なりに最善の選択をするはずだと黎が色々考えてたそのときだった。
「あの、黎様、お話したい事があるのですが。」
「え?俺ですか?」
「はい…黎様だけにお話したいことでして…。」
「お嬢…いかがいたしましょう…。」
「私には…話せない事なのかな?」
「例の組織についてのお話でして、お嬢様にお話するのは、黎様とお話をまとめてからの方がよいと思いまして…。」
お嬢は深く考えた。
以前書斎に八代を招いたことでお嬢は酷く取り乱したこともあり、お嬢もきっと2人の間で何かあるのではないかと不安なのだろう。
「…わかったわ。」
前回八代が黎を招いた時騒ぎにはなったものの結果的に事実上、大きな問題は発生していなかった。それに八代が部屋に招いた時には八代なりの目的があったから今回も大事にはならないだろうとお嬢と黎は考えていた。
「そしたら、一度記憶の共有を切断しておく必要があるわね。」
「わかりました。」
そうしてお嬢と黎の記憶の共有は一時的に解除された。
そして黎は八代とともに書斎へ向かう。
書斎に入ると前回同様、八代は部屋の鍵を閉める。
そして、八代は話し始める。
「あれから暴行を受けることはなくなり、誘拐された時に暴行を受けた際の顔の怪我の治療も兼ねて、南病院のもとで、全身のあざもよくなりました。」
「それはよかったです。」
そして八代は前回のようにエプロンの背中のリボンを外し、ジッパーを下ろす。
「背中の状態はワタクシにはよく見えないので、黎様に確認して頂きたいのです。」
たしかに肌の状態は前回より改善している。
しかし何かおかしいと黎は感じた。
「ええ、確かに前回よりかなり改善されています。しかし八代、本題はなんでしょうか。」
「…さすがは黎様ですね。」
八代は自分のベッドに座り始める。
「単刀直入にお聞きします。黎様とお嬢様は交際されているのですか?」
黎はその質問に戸惑った。
「お嬢様にとって黎様は舎弟という立場ですがワタクシにはお互いに特別な感情を抱かれていると思われます。初めはお嬢様の一方的なものかと思われましたが黎様も次第にお嬢様に惹かれていっているようにお見受けしたのです。」
黎は無自覚であったが八代の言っていることがもっともであるような気がした。
「もう一つお聞きしたいことがあります。黎様は以前ワタクシのことを抱きしめて頂きましたが…あの時のように今ワタクシを抱きしめて頂くことはできますか?」
黎は先の戸惑いにさらなる別の戸惑いが上乗せされる。
黎が戸惑っていると八代が立ち上がって黎のもとに歩み寄る。
そして、八代が黎を抱きしめる。
「ワタクシ、これまでに黎様に助けていただいた出来事を思い出すと、最近黎様のことが頭から離れないのです。ワタクシの姉と妹も想定外の出来事でしたが姿を表し、あの2人がおっしゃっていたようにワタクシを攫うことは彼女たちにとっては容易いことだと思われます。ワタクシも…怖いのです…。」
八代の目からは涙が溢れていた。
そんな八代を、黎が抱きしめる。
「黎様、ワタクシ、処女なのです。ワタクシの初めてを、黎様がいただいてはくれませんか?」
黎は八代の突然の一言に驚く。
「八代…さすがにそれは…」
八代が黎をベッドに引き連れる。
「ダメ、でございますか…?ワタクシも…お嬢様のように…好きな方と愛情を共有したいのです…。お願いします…。」
まさかの言葉に黎は戸惑い続けながらも、
「…わかりました。」
と答え、黎が八代を抱きしめ2人でベッドに横になる。
黎は八代の体を服の上から撫でる。
「……ッ!」
八代は声を抑えている。
恐らく広間に聞こえないように堪えているのだろう。
八代は黎に服を脱がされ、今度は肌の上から体をなぞる。
「…ッッ!」
それでも手で口を抑えて声を出すのを我慢している。
しかし、八代の体の準備は…既にできているようだった。
「…始めますよ?」
「…はい…。」
その頃お嬢は自分の部屋に戻っていた。
「黎、早く戻ってこないかな…。」
お嬢はベッドに仰向けになって天井に左手を伸ばしてそんな事を呟やいた。
そして黎と八代は一連の行為を終えた。
八代は最後まで声を抑えていた。
「黎様…どうもありがとうございました…。」
八代は服を着ながら黎にお礼を言う。
「南グループの十の掟その三、何か悩み事がある時は一人で抱え込まなくて良いと念頭に置くこと。ですよ。八代も一人で悩まず何かあれば相談してください。あまり怖がらせるような事は言いたくはありませんが、今回の件のこともあり、八代は身の危険にさらされる可能性のある舎弟の一人ですから。」
黎も服を着ながら言う。
「はい…ありがとうございます。」
そういって八代は黎に抱きつく。
黎も八代の背中に手を回す。
そしてしばらくして、
「それでは、俺はお嬢のところへ戻りますね。」
と黎が部屋を後にしようと書斎の扉開けると、扉の前にはお嬢が立っていた。
「話は…まとまったかな…?」
「書斎に俺を招き入れたもののまだあまり今回の件について話せるような気持ちにはなれなかったそうです。」
「ねぇ…黎…。」
「なんでしょうか?」
「花梨ちゃんと…何してたの…?」
次回 第三十三話 白状
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