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第三章 修羅編
第十五話 誘致
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「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴコゴゴゴゴゴゴ…」
大きな地響きの様な音と振動で黎はお嬢のベッドで目を覚ました。
お嬢はまだ隣で眠っている。
黎はお嬢を起こさないようにベッドから離れて広間へと行った。
そこでは八代が時前のパソコンで作業をしていた。
「おはようございます。黎様。」
「おはようございます。八代。」
すると黎は屋敷の広間の壁を見てあることに気づいた。昨日爆破されて開いていた穴が完全に塞がっていたのだ。
「先程、地響きと共にそちらの壁の穴が完全に塞がったのです。」
「そんなことができるのはまさか…」
「はい、千佳様だと思われます。恐らく太陽様が事の成り行きを知らせ、千佳様が何処かからこの屋敷を修復してくださったのかと思われます。」
壁の穴だけではない。玄関も以前より綺麗に、より頑丈そうに修復されていた。
「さらに、情報機関からはこのようなメッセージが届いたとのことです。」
八代が黎にパソコンの画面を向けた。
『南グループA級舎弟の海斗です。この度は、私達の軽率な判断により多大なるご迷惑をお掛けしたことを謝罪させて頂きたく、こちらのメッセージを送信させて頂きました。私達の反乱に対する処罰の覚悟はできております。処遇の方は後ほど南香歩様よりご判断頂き、こちらのメッセージへ返信をして頂きたく存じ上げます。』
お嬢の言っていた通りなのかもしれないと黎は感じた。舎弟達を信じ続けるという信念が彼らに届き、刺客を仕向けられても恐らく内乱は起こらなかったのだ。
「八代、もしかして最初から気づいていたのですか。」
「…どういう意味でしょうか?」
「…昨日の八代の発言、少し引っかかていたんです。八代は太陽が潔白である事は気づいていたにも関わらずわざと疑うような態度を取り、まるでお嬢が場を取り持つように仕向けたようでした。」
「…どうしてそのように思われるのですか?」
「八代は俺と太陽が内乱で対立していたと初めに主張しました。しかしあの爆破を太陽の自演だとすると太陽を捕食していた俺と太陽が結託していることを意味するので初めの持論と矛盾すると思ったのです。南グループの『裏の頭』とも呼ばれる八代がそんな無理筋を唱えるとは思えません。」
「…黎様…。」
八代が座った状態で俯いたまま呟いて、黎の左手を握った。
「…ワタクシの書斎へきて頂けませんか…?お見せしたいものがあります。」
黎は驚いた。八代は自室に人を招き入れることはまずないからだ。
「…勿論ワタクシはお嬢様のように黎様に命令する権利などございません。黎様が宜しければの話です…。」
黎は少し考えた後…
「わかりました…。」
そして八代の部屋へと向かい、八代が扉を開ける。
すると部屋を見て黎は驚いた。
部屋中の壁際にびっしりと天井まで敷き詰めるられた数々の専門書、辺りには電子機器など、それに加えて机には電子板の様なものやデスクトップパソコンなどが置かれており、完全に仕事部屋といった感じだ。
「八代、ところで見せたいものというのは…?」
すると八代が黎を招き入れ、内側から部屋の鍵を閉める。
そして部屋の真ん中に立つ。
すると八代は突然背中のリボンをほどき、エプロンを外し、背中のジッパーを下ろし始めた。
「八代!?これは一体どういう…」
そう黎が言いかけた時黎の視界には衝撃的な光景が映った。
八代の背中全体があざだらけだったのだ。
「今まで、お嬢様にもお見せたしたことがありません。そもそもこちらの書斎に招いたのは黎様が初めてでございます。」
「一体…これは何があったというのですか!?」
次回 第十六話 発覚
大きな地響きの様な音と振動で黎はお嬢のベッドで目を覚ました。
お嬢はまだ隣で眠っている。
黎はお嬢を起こさないようにベッドから離れて広間へと行った。
そこでは八代が時前のパソコンで作業をしていた。
「おはようございます。黎様。」
「おはようございます。八代。」
すると黎は屋敷の広間の壁を見てあることに気づいた。昨日爆破されて開いていた穴が完全に塞がっていたのだ。
「先程、地響きと共にそちらの壁の穴が完全に塞がったのです。」
「そんなことができるのはまさか…」
「はい、千佳様だと思われます。恐らく太陽様が事の成り行きを知らせ、千佳様が何処かからこの屋敷を修復してくださったのかと思われます。」
壁の穴だけではない。玄関も以前より綺麗に、より頑丈そうに修復されていた。
「さらに、情報機関からはこのようなメッセージが届いたとのことです。」
八代が黎にパソコンの画面を向けた。
『南グループA級舎弟の海斗です。この度は、私達の軽率な判断により多大なるご迷惑をお掛けしたことを謝罪させて頂きたく、こちらのメッセージを送信させて頂きました。私達の反乱に対する処罰の覚悟はできております。処遇の方は後ほど南香歩様よりご判断頂き、こちらのメッセージへ返信をして頂きたく存じ上げます。』
お嬢の言っていた通りなのかもしれないと黎は感じた。舎弟達を信じ続けるという信念が彼らに届き、刺客を仕向けられても恐らく内乱は起こらなかったのだ。
「八代、もしかして最初から気づいていたのですか。」
「…どういう意味でしょうか?」
「…昨日の八代の発言、少し引っかかていたんです。八代は太陽が潔白である事は気づいていたにも関わらずわざと疑うような態度を取り、まるでお嬢が場を取り持つように仕向けたようでした。」
「…どうしてそのように思われるのですか?」
「八代は俺と太陽が内乱で対立していたと初めに主張しました。しかしあの爆破を太陽の自演だとすると太陽を捕食していた俺と太陽が結託していることを意味するので初めの持論と矛盾すると思ったのです。南グループの『裏の頭』とも呼ばれる八代がそんな無理筋を唱えるとは思えません。」
「…黎様…。」
八代が座った状態で俯いたまま呟いて、黎の左手を握った。
「…ワタクシの書斎へきて頂けませんか…?お見せしたいものがあります。」
黎は驚いた。八代は自室に人を招き入れることはまずないからだ。
「…勿論ワタクシはお嬢様のように黎様に命令する権利などございません。黎様が宜しければの話です…。」
黎は少し考えた後…
「わかりました…。」
そして八代の部屋へと向かい、八代が扉を開ける。
すると部屋を見て黎は驚いた。
部屋中の壁際にびっしりと天井まで敷き詰めるられた数々の専門書、辺りには電子機器など、それに加えて机には電子板の様なものやデスクトップパソコンなどが置かれており、完全に仕事部屋といった感じだ。
「八代、ところで見せたいものというのは…?」
すると八代が黎を招き入れ、内側から部屋の鍵を閉める。
そして部屋の真ん中に立つ。
すると八代は突然背中のリボンをほどき、エプロンを外し、背中のジッパーを下ろし始めた。
「八代!?これは一体どういう…」
そう黎が言いかけた時黎の視界には衝撃的な光景が映った。
八代の背中全体があざだらけだったのだ。
「今まで、お嬢様にもお見せたしたことがありません。そもそもこちらの書斎に招いたのは黎様が初めてでございます。」
「一体…これは何があったというのですか!?」
次回 第十六話 発覚
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