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第二章 俺は好きかどうかわからないって答えたからそういう意味ではあるんじゃないの。
第八話 お前らの人生なんて、いつでも台無しにしてやれんだからな。
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伊織は席に座り、光はしばらく黙ったままその場に立ち尽くし動けずにいた。
「座らないの?」
伊織がふと光に声をかけると光はビクリとしてしまう。
「す…座ります…。」
光は伊織の席の隣に恐る恐る腰をかける。
伊織は黙ったまま自分の教材を出して勉強を始める。
伊織は光が先のやり取りが伊織にはまるでなかったかのような感覚を持っているのではないかと思うぐらい勉強に集中していた。
光には伊織のその姿がかえって恐ろしく感じた。
伊織は専門書の様に分厚い本を重ねて右手に青のボールペンを握りノートに文字を書き連ねる。
伊織のノートには青色の文字しか書かれていない。
光も自分も勉強しないといけないのではないかと思い、自分も先程伊織にもらった教科書と自分のノートに出す。
「その教科書、」
伊織が突然声を出して光はまたビクリとしてしまう。
「っ…!!は…はい…!」
「メモとか書きたかったら好きに書いていいから。」
「…あ…ありがとう…ございます…。」
「お前、なんでさっきからそんな畏まってんの?」
「えっ…!あ…いや…その…ご…ごめんなさい…。」
「なんで謝ってんの?」
「い…いや…!殺さないでください…!お願いです…」
光は突然泣き出してしまう。
「は?何言ってんの?お前なんかした?」
「いや…その…あの…」
光は何を言っても言い返されそうで言葉が出てこなかった。
「はっきり言えよ。」
「あ…えっと…ちょっと…トイレに…行ってもいいですか…?」
光は震えた声で伊織に問いかける。
「なんでわざわざそんなこと俺に聞くの?」
「え…あ…ごめ…」
「ああ、初めてだから場所がわからないのか。」
「…あ…う…うん…。」
「じゃあ案内するよ。」
「あ…ありがと…。」
そうやり取りして光は伊織にお手洗いまで案内された。
光は1人の空間になると必死に張り裂けそうになる心臓を落ち着かせようとした。
「どうしよう…戻るの怖い…。でも…遅すぎると何されるか分からない…。」
そして少しの間光はお手洗いの個室にこもっていた。
伊織のクラスには別の塾生が2人組の女子生徒で入ってくる。
「…黒田くんの隣の席…田端さん…だよね?」
「…うん…なんで他の人の鞄が置いてあるんだろう?」
女子生徒の2人が伊織に聞こえない声で話し合っていた。
つもりだった。
「無料体験のやつが来て席を外してるからだよ。っていうか気になるなら直接聞けよ。」
「っ!ごめんなさい!」
女子生徒の1人が伊織に謝る。
伊織は勉強に再度集中した。
「ふぅ…。」
謝った生徒が胸に手を当てふと息をついたその時だった。
「忘れんなよ。」
伊織が視線を参考書に注ぎながら言う。
「…え…。」
2人の女子生徒がその一言で顔が青ざめる。
「こっちはその気になれば、お前らの人生なんて、いつでも台無しにしてやれんだからな。」
次回 第九話 お前が初めてだよ。俺と一緒にとか言ったの。
「座らないの?」
伊織がふと光に声をかけると光はビクリとしてしまう。
「す…座ります…。」
光は伊織の席の隣に恐る恐る腰をかける。
伊織は黙ったまま自分の教材を出して勉強を始める。
伊織は光が先のやり取りが伊織にはまるでなかったかのような感覚を持っているのではないかと思うぐらい勉強に集中していた。
光には伊織のその姿がかえって恐ろしく感じた。
伊織は専門書の様に分厚い本を重ねて右手に青のボールペンを握りノートに文字を書き連ねる。
伊織のノートには青色の文字しか書かれていない。
光も自分も勉強しないといけないのではないかと思い、自分も先程伊織にもらった教科書と自分のノートに出す。
「その教科書、」
伊織が突然声を出して光はまたビクリとしてしまう。
「っ…!!は…はい…!」
「メモとか書きたかったら好きに書いていいから。」
「…あ…ありがとう…ございます…。」
「お前、なんでさっきからそんな畏まってんの?」
「えっ…!あ…いや…その…ご…ごめんなさい…。」
「なんで謝ってんの?」
「い…いや…!殺さないでください…!お願いです…」
光は突然泣き出してしまう。
「は?何言ってんの?お前なんかした?」
「いや…その…あの…」
光は何を言っても言い返されそうで言葉が出てこなかった。
「はっきり言えよ。」
「あ…えっと…ちょっと…トイレに…行ってもいいですか…?」
光は震えた声で伊織に問いかける。
「なんでわざわざそんなこと俺に聞くの?」
「え…あ…ごめ…」
「ああ、初めてだから場所がわからないのか。」
「…あ…う…うん…。」
「じゃあ案内するよ。」
「あ…ありがと…。」
そうやり取りして光は伊織にお手洗いまで案内された。
光は1人の空間になると必死に張り裂けそうになる心臓を落ち着かせようとした。
「どうしよう…戻るの怖い…。でも…遅すぎると何されるか分からない…。」
そして少しの間光はお手洗いの個室にこもっていた。
伊織のクラスには別の塾生が2人組の女子生徒で入ってくる。
「…黒田くんの隣の席…田端さん…だよね?」
「…うん…なんで他の人の鞄が置いてあるんだろう?」
女子生徒の2人が伊織に聞こえない声で話し合っていた。
つもりだった。
「無料体験のやつが来て席を外してるからだよ。っていうか気になるなら直接聞けよ。」
「っ!ごめんなさい!」
女子生徒の1人が伊織に謝る。
伊織は勉強に再度集中した。
「ふぅ…。」
謝った生徒が胸に手を当てふと息をついたその時だった。
「忘れんなよ。」
伊織が視線を参考書に注ぎながら言う。
「…え…。」
2人の女子生徒がその一言で顔が青ざめる。
「こっちはその気になれば、お前らの人生なんて、いつでも台無しにしてやれんだからな。」
次回 第九話 お前が初めてだよ。俺と一緒にとか言ったの。
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