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雉 始めて鳴く
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12月に入って、3年の教室はすっかりシンと静かになった。
他のクラスを覗いたわけじゃないが、うちのクラスはみんなソノみたいに赤本と睨めっこになって、昼飯も誰かと食うより、自分の席で問題解きながらのながら食いの奴が多い。
うちの学校は一応、センター試験が終わると自由登校扱いになる。
二次試験で遠方まで受験いく奴もいるし、滑り止めを兼ねて受験先をいくつも掛け持ちで頑張ってる奴もいるし、ガッコ来るより赤本齧りついて追い込みしたい奴の方が多いからだろう。
そのセンターももう一か月ちょい位だし、ピリピリするのもまあ、分かる。
俺の方も一応、二次の結果は既に出ていて、通知も家に届いていた。
だけど、先月センセんちに押しかけてから、薬局には一度も寄っていない。
結果もセンセの顔を見て直接言いたかったから、まだ毎日やり取りはしてるメールでも報告していない。
早く報告したかったけど、センセの出張や俺の予定もあって、上手く会いに行けるタイミングがなかった。
ただ、センセは律儀だから、そんな中でもちゃんと俺の誕生日は覚えてくれていて、『誕生日おめでとう』のメッセージは貰えた。いつもと変わらない、優しくてあったかい文面で。
それがいつもと変わらな過ぎて、ちょっと戸惑うけれど……あれだけ面と向かってはっきりと言ったから、少しは考えてくれている、はずだ、と思う、多分。
「……でも、センセだからな……」
思わずぼやいた言葉に、目の前でノートに齧りついていた航太がきょとんと顔を上げた。
「……ん? なんかいった? ……どっか間違ってる?」
「何でもない。…………いや、なんでもある、お前、その表現間違ってるぞ。現在進行形の文法、さっきやってただろ」
「……うぅ……英語ってなんでこんな、色々文法とかあるんだろ……。過去でも現在でも未来でも、そんな変わんないじゃん……」
「…………お前、ホントにセンター受けるんだよな……大丈夫か?」
うー、と泣きそうな顔で返事する航太が涙目でこっちを見てるが、俺はソノではないので、その顔では泣き落とされない。
俺は以前にした約束通り、空いた時間を友人たちの受験対策の手伝いに充てていた。
モモに頼まれたデッサンモデル(座ってるだけ、立ってるだけなのに異常にキツイ)は何度かやったし、なぜかモモの家に下宿してるらしいことが判明した、ハヤシの英語の見直しも手伝った。
そして最後に残ったのが、おさなな……というか、航太の英語だ。
俺たちは今、おさなな行きつけのソノの爺ちゃんの喫茶店で、追い込みをかけていた。
ちなみにこんなやり取りをしていても、12月入ってとうとう一言も口を利かなくなったソノは反応しないし、赤本から顔を上げない。
「ソノが受けるとこ、難関の国立大だっけ。……そういえば、もしソノが受かったら、お前どうすんの? 航太って、受験したい大学こっちだったよな」
うーうーいいながら、俺が赤ペンでチェックしたところを再確認していた航太は、唸りながら顔を上げた。
「そりゃあ、一緒に行きたいけど……しょうがないから、俺は俺でこっちで頑張る。休みは絶対帰ってきてくれるって言ってたし! 俺もバイトやって電車賃溜めないとだし!」
「……まあ、お前ら付き合い長いもんな……。ちょっと距離と時間離れるくらいなら、平気か」
俺がセンセの顔を思い出しながら呟くと、とたんに航太の顔が仄暗くなった。
「……俺だって、ソノがモテるのくらいわかってるもんね。……でも、絶対浮気させないし、しないし。一限終わるごとに連絡いれるから」
「…………」
なんていうんだっけか、こういうの。
もしも、俺が中学の頃にセンセへの恋を自覚してたら、こうなってたかもな。
考えながら、チラッとなんとなくソノに視線を向けたら、バチッと珍しく視線が合って、俺は思わず瞬きした。
……お前、聞こえてるんじゃんよ。
それでも特に止める様子はなく、ブツブツと暗い目で呟き始める航太を大事そうに見てるから、なんていうか、こいつらアレだ。
「…………思い出した、割れ鍋に綴じ蓋」
「……なにそれ、悪口? 大体、俺らの方もだけど、藤谷だって気になるヒトいるんだろ。知ってんだかんな、俺! 相手があのでっかい親戚のヒトだってこと!」
「…………藤谷は、俺達がお似合いだって言いたいらしいぞ。……今日も色々ありがとな、航太。おかげで助かってる」
キー!と闇落ちしかけた航太を、ギリギリで帰ってきたソノが宥めている。
現金な事に、ソノを認識したとたん、航太はコロッといつもの明るい航太に戻った。
場所がソノの爺ちゃんの喫茶店(定休日)で、すでに家に帰ってるも同然だからか、あんまりガッコでも見ない距離で航太が引っ付くのにもソノは動じなかった。
「……まあ、距離離れてたってお前らなら平気そうだよな」
「藤谷がそんなふうに聞いてくるなんて、珍しいな。……航太の勉強の面倒で手間かけてるのもあるし、なんか悩みがあるなら聞いてやってもいいけど」
「…………いや、うーん……。……お前らってさ、付き合う時どっちが告ったん? ……ってか、告ったのか?」
今までずっと、なんとなく航太が告ったんだろうと思ってたが、告るとかそういうイベントさえなくくっついたまであるな、とソノにべったりで会話に顔を上げなくなった航太の頭を見ながら思う。
ポンポンと、肩にある航太の頭を撫でて、ソノがゆっくり俺に視線を向けた。
「……うん、まあ……。最終的に伝えた形にされたのは俺だな。惚れた弱みって奴だから、尻に敷かれるの悩んでても仕方ないぞ、藤谷」
「……いや、うちの場合はそういうのじゃ……、……」
鎌かけに引っかかった俺が唇を噛むのに、ソノがニッと笑って俺の顔を見る。
「……悩んでたって、何にも進まないぞ、藤谷。……お前だって、好きなヤツが自分じゃない他の誰かとくっつくの嫌だろ」
「やだ!」
俺の代わりに間髪入れずに航太が叫んで、ずいずいとソノの膝の上に乗って、ガッシリホールドしている。
……なるほど、付き合うとこういう距離感になるんだな、おさなな。
「…………、とりあえず、すげー有用な意見アリガト」
ため息をつきながら答えると、抱きつかれたままのソノが器用にポケットから何か取り出して、俺へと差し出した。
「……お前んトコも、上手くいくといいな。……これ、俺の爺ちゃんとこの、コーヒー一杯無料券の十枚綴り。航太の面倒見させた謝礼って事で」
「……ああ、悪い、ありがとな」
「……藤谷ントコも、上手くいったら相手連れてくるといいよ。そんで、コーヒーだけじゃなく、なんか甘いオヤツでも食べてってくれ。その方が爺ちゃんとこも儲かるし」
「…………、商売上手か」
チケットを受け取った途端、そんな言葉を付け加えられて思わず呻くと、ソノが声を立てて笑った。
家に帰った俺は、メシの支度と当分の母さん用の仕込みを終えた後、時計と睨めっこしている。
一応、長いこと薬局のバイトとして働いてきた経験値で、大体センセとリンさんが店を閉めようかと思い始める時間は分かる。
店閉め作業を終えて、リンさんがちょうど帰って、ご飯を食べようとセンセが思うくらいの時間。
俺はそれを狙っていた。
「…………、……」
睨んでいた秒針がちょうど12を差すのを確認して、俺はスマホからセンセの番号に通話してみる。
呼び出しのコールがだいぶ長くて、やっぱり無理かな、と思った辺りで繋がって、もしもし、といつもの柔らかいハジメさんの声がした。
「…………こんばんは、センセ。今、大丈夫です?」
『うん、ちょうど店も閉め終わって、ご飯にしようかなって思ってたところ。……まだキヨくんが置いてってくれた冷凍残ってるから、それ温めて食べるつもりだけど』
「冷凍してるとはいえ、そんなに長くは持たないですから、ずっととっとかないで食べちゃってくださいね。……あの、今週末、センセの予定どうですか? ……出張とか、あります?」
そう聞いたとたん、ちょっと待ってね、とセンセの声が遠くなった。
ハジメさんはアレで一応、手帳とかに細かく予定書いてくタイプではあるから、多分カバンを取りに行ってるんだと思う。耳を澄ますと、ごそごそと何かを漁るような音が聞こえる。
『…………うん、大丈夫。特にそういう予定はないから』
「……じゃあ、俺も今週は予定ないんで、ちょっとそっちお邪魔したいんですけど」
言ったとたんに、センセがふつっと沈黙した。
しばらく経ってからうん、となんか決心したような声が聞こえて、その緊張感に思わず笑う。
「……まあ、確かに答えを期待してはいますけど。通知も来てるんで、それ持ってまた家の方寄りますね」
『……うん、……うん。わかった、待ってるね』
今度はいつもの柔らかい声が聞こえて、改めて通話を切る。
センセは、ハジメさんは、今度こそちゃんと俺とのことを考えてくれた、と思う、多分。
ひっそり緊張していて汗ばんだ手をパジャマの袖で拭うと、改めてスマホを机に置いて息をつく。
俺の机の上には2つ、お守りが飾ってある。
白い地に黒で目立つ字の入った勝守、五角形に合格の字の入った合格守。
どっちもセンセがわざわざ俺のために買ってきてくれたもので、すぐ目に入る所に大事に飾ってあった。
それに向け、目を閉じてパンと一つ両手を合わせる。
「…………上手くいきますように」
何もかもを抜きにして、俺を一人の人間と見た上で、俺の事を好きになってくれますように。
……隣においてくれますように。
やることを全部やった今、俺に出来ることはもう神頼みくらいしかなかった。
他のクラスを覗いたわけじゃないが、うちのクラスはみんなソノみたいに赤本と睨めっこになって、昼飯も誰かと食うより、自分の席で問題解きながらのながら食いの奴が多い。
うちの学校は一応、センター試験が終わると自由登校扱いになる。
二次試験で遠方まで受験いく奴もいるし、滑り止めを兼ねて受験先をいくつも掛け持ちで頑張ってる奴もいるし、ガッコ来るより赤本齧りついて追い込みしたい奴の方が多いからだろう。
そのセンターももう一か月ちょい位だし、ピリピリするのもまあ、分かる。
俺の方も一応、二次の結果は既に出ていて、通知も家に届いていた。
だけど、先月センセんちに押しかけてから、薬局には一度も寄っていない。
結果もセンセの顔を見て直接言いたかったから、まだ毎日やり取りはしてるメールでも報告していない。
早く報告したかったけど、センセの出張や俺の予定もあって、上手く会いに行けるタイミングがなかった。
ただ、センセは律儀だから、そんな中でもちゃんと俺の誕生日は覚えてくれていて、『誕生日おめでとう』のメッセージは貰えた。いつもと変わらない、優しくてあったかい文面で。
それがいつもと変わらな過ぎて、ちょっと戸惑うけれど……あれだけ面と向かってはっきりと言ったから、少しは考えてくれている、はずだ、と思う、多分。
「……でも、センセだからな……」
思わずぼやいた言葉に、目の前でノートに齧りついていた航太がきょとんと顔を上げた。
「……ん? なんかいった? ……どっか間違ってる?」
「何でもない。…………いや、なんでもある、お前、その表現間違ってるぞ。現在進行形の文法、さっきやってただろ」
「……うぅ……英語ってなんでこんな、色々文法とかあるんだろ……。過去でも現在でも未来でも、そんな変わんないじゃん……」
「…………お前、ホントにセンター受けるんだよな……大丈夫か?」
うー、と泣きそうな顔で返事する航太が涙目でこっちを見てるが、俺はソノではないので、その顔では泣き落とされない。
俺は以前にした約束通り、空いた時間を友人たちの受験対策の手伝いに充てていた。
モモに頼まれたデッサンモデル(座ってるだけ、立ってるだけなのに異常にキツイ)は何度かやったし、なぜかモモの家に下宿してるらしいことが判明した、ハヤシの英語の見直しも手伝った。
そして最後に残ったのが、おさなな……というか、航太の英語だ。
俺たちは今、おさなな行きつけのソノの爺ちゃんの喫茶店で、追い込みをかけていた。
ちなみにこんなやり取りをしていても、12月入ってとうとう一言も口を利かなくなったソノは反応しないし、赤本から顔を上げない。
「ソノが受けるとこ、難関の国立大だっけ。……そういえば、もしソノが受かったら、お前どうすんの? 航太って、受験したい大学こっちだったよな」
うーうーいいながら、俺が赤ペンでチェックしたところを再確認していた航太は、唸りながら顔を上げた。
「そりゃあ、一緒に行きたいけど……しょうがないから、俺は俺でこっちで頑張る。休みは絶対帰ってきてくれるって言ってたし! 俺もバイトやって電車賃溜めないとだし!」
「……まあ、お前ら付き合い長いもんな……。ちょっと距離と時間離れるくらいなら、平気か」
俺がセンセの顔を思い出しながら呟くと、とたんに航太の顔が仄暗くなった。
「……俺だって、ソノがモテるのくらいわかってるもんね。……でも、絶対浮気させないし、しないし。一限終わるごとに連絡いれるから」
「…………」
なんていうんだっけか、こういうの。
もしも、俺が中学の頃にセンセへの恋を自覚してたら、こうなってたかもな。
考えながら、チラッとなんとなくソノに視線を向けたら、バチッと珍しく視線が合って、俺は思わず瞬きした。
……お前、聞こえてるんじゃんよ。
それでも特に止める様子はなく、ブツブツと暗い目で呟き始める航太を大事そうに見てるから、なんていうか、こいつらアレだ。
「…………思い出した、割れ鍋に綴じ蓋」
「……なにそれ、悪口? 大体、俺らの方もだけど、藤谷だって気になるヒトいるんだろ。知ってんだかんな、俺! 相手があのでっかい親戚のヒトだってこと!」
「…………藤谷は、俺達がお似合いだって言いたいらしいぞ。……今日も色々ありがとな、航太。おかげで助かってる」
キー!と闇落ちしかけた航太を、ギリギリで帰ってきたソノが宥めている。
現金な事に、ソノを認識したとたん、航太はコロッといつもの明るい航太に戻った。
場所がソノの爺ちゃんの喫茶店(定休日)で、すでに家に帰ってるも同然だからか、あんまりガッコでも見ない距離で航太が引っ付くのにもソノは動じなかった。
「……まあ、距離離れてたってお前らなら平気そうだよな」
「藤谷がそんなふうに聞いてくるなんて、珍しいな。……航太の勉強の面倒で手間かけてるのもあるし、なんか悩みがあるなら聞いてやってもいいけど」
「…………いや、うーん……。……お前らってさ、付き合う時どっちが告ったん? ……ってか、告ったのか?」
今までずっと、なんとなく航太が告ったんだろうと思ってたが、告るとかそういうイベントさえなくくっついたまであるな、とソノにべったりで会話に顔を上げなくなった航太の頭を見ながら思う。
ポンポンと、肩にある航太の頭を撫でて、ソノがゆっくり俺に視線を向けた。
「……うん、まあ……。最終的に伝えた形にされたのは俺だな。惚れた弱みって奴だから、尻に敷かれるの悩んでても仕方ないぞ、藤谷」
「……いや、うちの場合はそういうのじゃ……、……」
鎌かけに引っかかった俺が唇を噛むのに、ソノがニッと笑って俺の顔を見る。
「……悩んでたって、何にも進まないぞ、藤谷。……お前だって、好きなヤツが自分じゃない他の誰かとくっつくの嫌だろ」
「やだ!」
俺の代わりに間髪入れずに航太が叫んで、ずいずいとソノの膝の上に乗って、ガッシリホールドしている。
……なるほど、付き合うとこういう距離感になるんだな、おさなな。
「…………、とりあえず、すげー有用な意見アリガト」
ため息をつきながら答えると、抱きつかれたままのソノが器用にポケットから何か取り出して、俺へと差し出した。
「……お前んトコも、上手くいくといいな。……これ、俺の爺ちゃんとこの、コーヒー一杯無料券の十枚綴り。航太の面倒見させた謝礼って事で」
「……ああ、悪い、ありがとな」
「……藤谷ントコも、上手くいったら相手連れてくるといいよ。そんで、コーヒーだけじゃなく、なんか甘いオヤツでも食べてってくれ。その方が爺ちゃんとこも儲かるし」
「…………、商売上手か」
チケットを受け取った途端、そんな言葉を付け加えられて思わず呻くと、ソノが声を立てて笑った。
家に帰った俺は、メシの支度と当分の母さん用の仕込みを終えた後、時計と睨めっこしている。
一応、長いこと薬局のバイトとして働いてきた経験値で、大体センセとリンさんが店を閉めようかと思い始める時間は分かる。
店閉め作業を終えて、リンさんがちょうど帰って、ご飯を食べようとセンセが思うくらいの時間。
俺はそれを狙っていた。
「…………、……」
睨んでいた秒針がちょうど12を差すのを確認して、俺はスマホからセンセの番号に通話してみる。
呼び出しのコールがだいぶ長くて、やっぱり無理かな、と思った辺りで繋がって、もしもし、といつもの柔らかいハジメさんの声がした。
「…………こんばんは、センセ。今、大丈夫です?」
『うん、ちょうど店も閉め終わって、ご飯にしようかなって思ってたところ。……まだキヨくんが置いてってくれた冷凍残ってるから、それ温めて食べるつもりだけど』
「冷凍してるとはいえ、そんなに長くは持たないですから、ずっととっとかないで食べちゃってくださいね。……あの、今週末、センセの予定どうですか? ……出張とか、あります?」
そう聞いたとたん、ちょっと待ってね、とセンセの声が遠くなった。
ハジメさんはアレで一応、手帳とかに細かく予定書いてくタイプではあるから、多分カバンを取りに行ってるんだと思う。耳を澄ますと、ごそごそと何かを漁るような音が聞こえる。
『…………うん、大丈夫。特にそういう予定はないから』
「……じゃあ、俺も今週は予定ないんで、ちょっとそっちお邪魔したいんですけど」
言ったとたんに、センセがふつっと沈黙した。
しばらく経ってからうん、となんか決心したような声が聞こえて、その緊張感に思わず笑う。
「……まあ、確かに答えを期待してはいますけど。通知も来てるんで、それ持ってまた家の方寄りますね」
『……うん、……うん。わかった、待ってるね』
今度はいつもの柔らかい声が聞こえて、改めて通話を切る。
センセは、ハジメさんは、今度こそちゃんと俺とのことを考えてくれた、と思う、多分。
ひっそり緊張していて汗ばんだ手をパジャマの袖で拭うと、改めてスマホを机に置いて息をつく。
俺の机の上には2つ、お守りが飾ってある。
白い地に黒で目立つ字の入った勝守、五角形に合格の字の入った合格守。
どっちもセンセがわざわざ俺のために買ってきてくれたもので、すぐ目に入る所に大事に飾ってあった。
それに向け、目を閉じてパンと一つ両手を合わせる。
「…………上手くいきますように」
何もかもを抜きにして、俺を一人の人間と見た上で、俺の事を好きになってくれますように。
……隣においてくれますように。
やることを全部やった今、俺に出来ることはもう神頼みくらいしかなかった。
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