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桐 初めて花を結ぶ
17 ※先生視点
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「……夏祭り? へえ、今日なんだ」
「はい、あっちのアーケードの方の。……まあ、今殺人的な暑さなんで、外でない方がいいですけど。 ……ハー、しかしエアコンはいいですね、涼しい……」
キヨくんが図書館から戻ってきて、ついでのように見せてくれたのは、ちょっと離れたアーケードのある商店街のチラシだった。
どうやら今夜、久しぶりに夏まつりを開催するらしい。
せっかくだから、とスーパーにあったチラシを1枚持って来てくれたみたいだけど、今はそれより最新型エアコンに夢中なキヨくんだった。
付けてもらったばっかりのピカピカのエアコンは、フィルター掃除だけすれば、あとはエアコンが勝手に自分で洗って乾燥してくれる優れものだ。
そうキヨくんにも(リンちゃんが)説明したら、もうカビないって事ですか!と血相変えて食い付いていた。
……ゴメン、そんなにうちの風呂のカビ掃除で苦労してるなんて知らなかったんだ……。
居間のエアコンをキラッキラの憧れの眼差しで眺めるその顔を、久しぶりにじっくりメガネ越しに見る。
切れ長の目とすっきりした眉、お母さんのエミさんによく似た細い鼻筋と薄い唇。
それに加えて、子供と青年の中間な輪郭と、サッパリ短めに整えた髪で、最近はすっかり日に焼けちゃったから、全体的に見るとスポーツをやっていそうな快活な高校生に見える。
冬に見ると色白になって、ちょっと神経質そうなとっつきにくい感じにも見えるんだけど、彼の場合、笑うと懐っこくなって印象がガラッと変わるのだ。
こうしてみると、言葉だけじゃなく、日に日に大人になっているんだなっていうのを実感して、なんだか感動しているうちに、ふいと戻るキヨくんの視線に気づいて、あわててエアコンに目をそらした。
「ねー、すごいね、文明の利器……空気が冷たくて澄んでる……」
ふわあ、と二人揃ってエアコンを見上げて深呼吸していたら、後ろのちゃぶ台で優雅にお茶を飲んでたリンちゃんに呆れられた。
「だから、ずっとずーっと、エアコン付けなさいって言ってたのに。ずぼらにもほどがあるわよ、ハジメくん」
「だって、エアコン付けるとなると、業者さんに部屋の中も見せなきゃいけないから……」
「……は? まさかつけなかった理由それなの? 私エアコン付けろって言ってるの、もう随分前からなんだけど? 去年とかじゃなく、まだちっちゃいキヨくんがバリバリお掃除してくれてた頃からなんだけど!」
もじもじと小さい声で言い訳したら、真っ向からリンちゃんの逆鱗に触れてしまった。
救いを求める気分でチラッと見たキヨくんは、今度はエアコンの説明書に夢中になっている。
仕方なく、しょんぼり視線を下ろした手元には、夏祭りのチラシがあった。
「……分かった、お詫びにみんなで夏祭り屋台いこう。 好きなだけ好きなの頼んでいいから!」
リンちゃんの怒りをそらそうと提案してみたのに、
「え! この気温なのに外で? 絶対イヤ!」
本人に即却下されてしまった……。
「……じゃあ、代わりに屋台メシ買ってくるから。何が欲しいか、メモに書いてよ。……キヨくん、申し訳ないんだけど運ぶの手伝って貰える?」
「いいですよ、二人だと歩きになりますけど……」
このヒトの体力持つかな、みたいな顔をされたので、失礼なとグイッと胸張ってみせる。
「あのあっつい台湾に一か月もいたんだから、これくらい平気だよ。……日ももう沈んでるしね」
ヒリヒリ赤くなってしまった肌はもうすっかり治ってるけど、やっぱりこの時期の太陽は出来るだけ浴びたくないもんね。
キヨくんみたいにキレイに焼けるタイプなら、日焼けもカッコいいのになあ。
リンちゃんから貰ったメモを確認しているキヨくんの腕を眺めていたら、サッと隠された。
「……そんなにみられても、まだ剥けてませんよ。……ところでセンセ、その格好で行くんです?」
「うん。……何かおかしい?」
ごくごく普通のアロハシャツとジーンズのつもりだけど。
元々、体格の大きい人でもサイズが豊富なアロハシャツは何枚か持ってたけど、今回の台湾行で着てみたら、ムシムシするあっちの気候にピッタリで、たくさん買ってきたんだよね。
「柄……その柄、なんですか?」
「……え、なんだろ……パイナップル?」
「真紫とド緑なんすけど……。そのまま行くとどう見てもヤの字のヒトなんで」
一回着替えましょうと俺の寝室の方に連行されて、あんまり見たことないカーキ色のショートパンツと白地に水色の小さい柄がたくさん入った地味めなアロハシャツを手渡された。
「……え、こんなパンツあったんだ! ……わあ、履きやすい!涼しい!……コレなんていうの?」
「カーゴパンツです。……中三の時、俺が誕プレで買ってあげたでしょう……。
タンスの一番下で肥やしになってました。まあ、センセの下のサイズ変わってなくて良かったですけど」
「……あ、ごめん……。嬉しくて、大事にしようと思って、一番下に入れたんだった……」
「今日から使ってくれればそれでいいです。……今度は肥やしにしないでくださいね」
「……はい。 有難う、キヨくん」
サイズもいいし、サンダルにも合いそうだから、キヨくんに買った店教えてもらって夏用にもう何枚か買おうかな。
ウキウキとエコバックやリュックを持つと、ひょいっと居間を覗く。
キヨくんはもうとっくに支度を終えていて、玄関先で待ってくれている。
「……じゃあ、行ってくるね、リンちゃん。留守番よろしく」
「はいはい、私は私でゆっくりしてるから、のんびり回ってみてきたら? たまにはキヨくんの慰労もしてやんなさいよ」
「……慰労……」
夏祭り屋台にオッサンと連れ立って行って慰労になるかな……。
ともかくも、キヨくんと一緒に出かけるのは久しぶりだ。
普段気を張って生活してるキヨくんだから、こういう時に本来の子供に戻って楽しんでくれるといいな。
「……センセ、行きますよー」
「あ、はーい」
あわててサンダルつっかけて、もわっと暑くて夏の匂いのする夜気の中へ、少し大人びた硬質な背を追って歩き出した。
「……まさか、こんなに人出すごいなんて……っ」
「うん、こんなんなるんだね……大丈夫? キヨくん、どこも踏まれてない?」
そうして出かけた先のアーケード街は夕飯時も相まって凄い人出で、プラプラするどころか人の流れに任せて歩くしかない。
最初は少し離れて歩けたんだけど、ヒトの圧がすごくて離されかねないから手をつないで歩くしかなくなり、それならタッパと厚みと腕力のある俺の肉盾の方が便利で、最終的に俺の背中にキヨくんがぴったりついて歩いている。
「……センセ、リストのジャガバタ屋台過ぎてます、戻りましょう」
「……後ろはちょっと無理じゃないかな……、あ、焼そばあった」
「俺の視界じゃ先が見えないんで、センセ、道案内お願いしますね」
「分かった、頑張る!」
目当ての屋台に人をかき分けるようにして俺が道を開け、盾になってる間にお財布係のキヨくんが購入する。
それをバッグに仕舞ってから次へ、を繰り返していたら、俺もキヨくんも、荷物の重さと、ヒト圧と、暑さにすっかりやられてヘロヘロになってきたので、あわてて手近なかき氷屋台で大きめのかき氷を頼んだ。
「わー……、お祭りってヤッバイね……。……あ、アイスクリームついてるのある! じゃあ、そのメロンフロートと……キヨくんなんにする?」
「……レモンで……」
お願いします、とかいう疲れ切った声に頷いて、アイスの乗ったメロンフロートとレモンシロップを掛けた普通のかき氷をもらい、出来るだけヒトの少なそうな脇道にそれる。
「……大丈夫? ……ちょっと人に酔ったんじゃない、キヨくん。休む?」
「……大丈夫です。 ……ハジメさん、なんかちょっと慣れてません?」
疲れ切ったキヨくんの声に片端によって立ち止まると、レモンのかき氷を渡しながら笑う。
「だって、台湾の夜市こんなモンじゃなかったもの。 でも、日本のお祭りも楽しいね」
先に溶けそうなアイスから食べ始めた俺を見て、キヨくんも呆れたふうに笑った。
暫くキヨくんの体力が回復するまで待つうちに、俺の方は食べ切ったけど、キヨくんはちびちび食べながら歩く気らしく、容器を持ち歩いている。
「センセの体力、ちょっと舐めてました。 ……まだ時間あります?」
「んー、ちょっと待って……うん、大丈夫。 遊びたい屋台ある?」
ごそっと、右のポッケに入れておいた腕時計を引っ張り出して、時間を見る。
こういう時、夜光ついてると便利だよね。
「……センセ、今、時計どっから出しました? いい加減ポケットじゃなく腕につけましょうよ……、……いえ、寄りたい所があって。 一緒に来てもらえるならと思ったんで」
行きましょ、と笑ってキヨくんが背を向けて先に行く。
その背に小さな子供の頃のキヨくんの姿が重なった。
俺が知ってた子供のキヨくんはどんどんと薄くなって、彼は一歩ずつしっかりした大人になっていく。
俺を置いて、どこか知らない所に去っていく。
それが途方もなく切なくて寂しくて、身勝手な俺はずっとキヨくんの裾を握っていた気がする。
……もうだいぶ前に手を放してあげなきゃいけなかったのに。
「…………」
ポツンと置いて行かれる前に、俺は家を出る時と同じように、その大人になりかけの背中を追って歩いた。
「はい、あっちのアーケードの方の。……まあ、今殺人的な暑さなんで、外でない方がいいですけど。 ……ハー、しかしエアコンはいいですね、涼しい……」
キヨくんが図書館から戻ってきて、ついでのように見せてくれたのは、ちょっと離れたアーケードのある商店街のチラシだった。
どうやら今夜、久しぶりに夏まつりを開催するらしい。
せっかくだから、とスーパーにあったチラシを1枚持って来てくれたみたいだけど、今はそれより最新型エアコンに夢中なキヨくんだった。
付けてもらったばっかりのピカピカのエアコンは、フィルター掃除だけすれば、あとはエアコンが勝手に自分で洗って乾燥してくれる優れものだ。
そうキヨくんにも(リンちゃんが)説明したら、もうカビないって事ですか!と血相変えて食い付いていた。
……ゴメン、そんなにうちの風呂のカビ掃除で苦労してるなんて知らなかったんだ……。
居間のエアコンをキラッキラの憧れの眼差しで眺めるその顔を、久しぶりにじっくりメガネ越しに見る。
切れ長の目とすっきりした眉、お母さんのエミさんによく似た細い鼻筋と薄い唇。
それに加えて、子供と青年の中間な輪郭と、サッパリ短めに整えた髪で、最近はすっかり日に焼けちゃったから、全体的に見るとスポーツをやっていそうな快活な高校生に見える。
冬に見ると色白になって、ちょっと神経質そうなとっつきにくい感じにも見えるんだけど、彼の場合、笑うと懐っこくなって印象がガラッと変わるのだ。
こうしてみると、言葉だけじゃなく、日に日に大人になっているんだなっていうのを実感して、なんだか感動しているうちに、ふいと戻るキヨくんの視線に気づいて、あわててエアコンに目をそらした。
「ねー、すごいね、文明の利器……空気が冷たくて澄んでる……」
ふわあ、と二人揃ってエアコンを見上げて深呼吸していたら、後ろのちゃぶ台で優雅にお茶を飲んでたリンちゃんに呆れられた。
「だから、ずっとずーっと、エアコン付けなさいって言ってたのに。ずぼらにもほどがあるわよ、ハジメくん」
「だって、エアコン付けるとなると、業者さんに部屋の中も見せなきゃいけないから……」
「……は? まさかつけなかった理由それなの? 私エアコン付けろって言ってるの、もう随分前からなんだけど? 去年とかじゃなく、まだちっちゃいキヨくんがバリバリお掃除してくれてた頃からなんだけど!」
もじもじと小さい声で言い訳したら、真っ向からリンちゃんの逆鱗に触れてしまった。
救いを求める気分でチラッと見たキヨくんは、今度はエアコンの説明書に夢中になっている。
仕方なく、しょんぼり視線を下ろした手元には、夏祭りのチラシがあった。
「……分かった、お詫びにみんなで夏祭り屋台いこう。 好きなだけ好きなの頼んでいいから!」
リンちゃんの怒りをそらそうと提案してみたのに、
「え! この気温なのに外で? 絶対イヤ!」
本人に即却下されてしまった……。
「……じゃあ、代わりに屋台メシ買ってくるから。何が欲しいか、メモに書いてよ。……キヨくん、申し訳ないんだけど運ぶの手伝って貰える?」
「いいですよ、二人だと歩きになりますけど……」
このヒトの体力持つかな、みたいな顔をされたので、失礼なとグイッと胸張ってみせる。
「あのあっつい台湾に一か月もいたんだから、これくらい平気だよ。……日ももう沈んでるしね」
ヒリヒリ赤くなってしまった肌はもうすっかり治ってるけど、やっぱりこの時期の太陽は出来るだけ浴びたくないもんね。
キヨくんみたいにキレイに焼けるタイプなら、日焼けもカッコいいのになあ。
リンちゃんから貰ったメモを確認しているキヨくんの腕を眺めていたら、サッと隠された。
「……そんなにみられても、まだ剥けてませんよ。……ところでセンセ、その格好で行くんです?」
「うん。……何かおかしい?」
ごくごく普通のアロハシャツとジーンズのつもりだけど。
元々、体格の大きい人でもサイズが豊富なアロハシャツは何枚か持ってたけど、今回の台湾行で着てみたら、ムシムシするあっちの気候にピッタリで、たくさん買ってきたんだよね。
「柄……その柄、なんですか?」
「……え、なんだろ……パイナップル?」
「真紫とド緑なんすけど……。そのまま行くとどう見てもヤの字のヒトなんで」
一回着替えましょうと俺の寝室の方に連行されて、あんまり見たことないカーキ色のショートパンツと白地に水色の小さい柄がたくさん入った地味めなアロハシャツを手渡された。
「……え、こんなパンツあったんだ! ……わあ、履きやすい!涼しい!……コレなんていうの?」
「カーゴパンツです。……中三の時、俺が誕プレで買ってあげたでしょう……。
タンスの一番下で肥やしになってました。まあ、センセの下のサイズ変わってなくて良かったですけど」
「……あ、ごめん……。嬉しくて、大事にしようと思って、一番下に入れたんだった……」
「今日から使ってくれればそれでいいです。……今度は肥やしにしないでくださいね」
「……はい。 有難う、キヨくん」
サイズもいいし、サンダルにも合いそうだから、キヨくんに買った店教えてもらって夏用にもう何枚か買おうかな。
ウキウキとエコバックやリュックを持つと、ひょいっと居間を覗く。
キヨくんはもうとっくに支度を終えていて、玄関先で待ってくれている。
「……じゃあ、行ってくるね、リンちゃん。留守番よろしく」
「はいはい、私は私でゆっくりしてるから、のんびり回ってみてきたら? たまにはキヨくんの慰労もしてやんなさいよ」
「……慰労……」
夏祭り屋台にオッサンと連れ立って行って慰労になるかな……。
ともかくも、キヨくんと一緒に出かけるのは久しぶりだ。
普段気を張って生活してるキヨくんだから、こういう時に本来の子供に戻って楽しんでくれるといいな。
「……センセ、行きますよー」
「あ、はーい」
あわててサンダルつっかけて、もわっと暑くて夏の匂いのする夜気の中へ、少し大人びた硬質な背を追って歩き出した。
「……まさか、こんなに人出すごいなんて……っ」
「うん、こんなんなるんだね……大丈夫? キヨくん、どこも踏まれてない?」
そうして出かけた先のアーケード街は夕飯時も相まって凄い人出で、プラプラするどころか人の流れに任せて歩くしかない。
最初は少し離れて歩けたんだけど、ヒトの圧がすごくて離されかねないから手をつないで歩くしかなくなり、それならタッパと厚みと腕力のある俺の肉盾の方が便利で、最終的に俺の背中にキヨくんがぴったりついて歩いている。
「……センセ、リストのジャガバタ屋台過ぎてます、戻りましょう」
「……後ろはちょっと無理じゃないかな……、あ、焼そばあった」
「俺の視界じゃ先が見えないんで、センセ、道案内お願いしますね」
「分かった、頑張る!」
目当ての屋台に人をかき分けるようにして俺が道を開け、盾になってる間にお財布係のキヨくんが購入する。
それをバッグに仕舞ってから次へ、を繰り返していたら、俺もキヨくんも、荷物の重さと、ヒト圧と、暑さにすっかりやられてヘロヘロになってきたので、あわてて手近なかき氷屋台で大きめのかき氷を頼んだ。
「わー……、お祭りってヤッバイね……。……あ、アイスクリームついてるのある! じゃあ、そのメロンフロートと……キヨくんなんにする?」
「……レモンで……」
お願いします、とかいう疲れ切った声に頷いて、アイスの乗ったメロンフロートとレモンシロップを掛けた普通のかき氷をもらい、出来るだけヒトの少なそうな脇道にそれる。
「……大丈夫? ……ちょっと人に酔ったんじゃない、キヨくん。休む?」
「……大丈夫です。 ……ハジメさん、なんかちょっと慣れてません?」
疲れ切ったキヨくんの声に片端によって立ち止まると、レモンのかき氷を渡しながら笑う。
「だって、台湾の夜市こんなモンじゃなかったもの。 でも、日本のお祭りも楽しいね」
先に溶けそうなアイスから食べ始めた俺を見て、キヨくんも呆れたふうに笑った。
暫くキヨくんの体力が回復するまで待つうちに、俺の方は食べ切ったけど、キヨくんはちびちび食べながら歩く気らしく、容器を持ち歩いている。
「センセの体力、ちょっと舐めてました。 ……まだ時間あります?」
「んー、ちょっと待って……うん、大丈夫。 遊びたい屋台ある?」
ごそっと、右のポッケに入れておいた腕時計を引っ張り出して、時間を見る。
こういう時、夜光ついてると便利だよね。
「……センセ、今、時計どっから出しました? いい加減ポケットじゃなく腕につけましょうよ……、……いえ、寄りたい所があって。 一緒に来てもらえるならと思ったんで」
行きましょ、と笑ってキヨくんが背を向けて先に行く。
その背に小さな子供の頃のキヨくんの姿が重なった。
俺が知ってた子供のキヨくんはどんどんと薄くなって、彼は一歩ずつしっかりした大人になっていく。
俺を置いて、どこか知らない所に去っていく。
それが途方もなく切なくて寂しくて、身勝手な俺はずっとキヨくんの裾を握っていた気がする。
……もうだいぶ前に手を放してあげなきゃいけなかったのに。
「…………」
ポツンと置いて行かれる前に、俺は家を出る時と同じように、その大人になりかけの背中を追って歩いた。
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