蛍火

真田晃

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45. *

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思い詰めたような声を上げ、貪るようにキスを落とす。
内側から沸き上がる感情を堪えきれないといった様子で。白川の髪を頻りに撫で。何度も、何度も何度も……


「……」

もしこの話が、全て本当なのだとしたら……
そう思うと、やるせない思いを抱え続けた先生の気持ちが、痛い程に解る。

『都内から来たの? うちのお母さんもなんだよ。……何か、運命感じちゃうなぁ!』『透くん、私と仲良くしてねっ』
──僕も。転校早々、笑顔の麻生さんに話し掛けられて。親近感と淡い想いを抱いていた。
麻生さんの言動が、時に僕を惑わせ、勘違いしてしまう時もあった。

だけど……
だからといって、こんなの間違ってる。

……間違ってるよ、先生!



「……愛してる」
「……」
「愛してる、愛してる、愛してる……」

先生の手が、反応を無くした白川の乳首を、下腹部を弄る。
そして腿裏を撫で上げながら膝裏に手を掛け、白川の足を持ち上げると、ドロッと精液の溢れ出る後孔に自身の分身を突っ込む。

「だから……もう少しだけ。
もう少しだけ、傍にいてくれ。……僕を、置いていかないでくれ」
「……」
「光……ひかる……っ、!」


先生……
白川の父親と……何が違うんだよ。
白川の気持ちを無視して、力尽くで思い通りにして。
同じじゃないか。

──いや、違う。
死しても尚、白川を拘束し、こんな酷い目に遭わせ続けるなんて……


「……」

小学5年の頃──
この村に転入して来た時から、何となく感じていた違和感。
人当たりが良く、結束力の強い村人達が浮かべる笑顔は、決して真実なんかじゃない。
平穏無事に生きていく為に、みんな少なからず、本性を隠しながら生きてるんだ……って。

その最たるものが、先生だ。
僕はずっと、先生を尊敬してきた。
僕のカウンセリングをしてくれる時の、あの穏やかな笑顔に……嘘偽りはないと感じていた。
先生にだけは、心を開いていたのに。

……それなのに。


「……愛してる、愛してる……」

狂ったように愛を叫びながら、死体を犯し続ける先生。
その光景から目を逸らし、耳を塞ぐ。


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