39 / 71
39. *
しおりを挟む……はぁ、はぁ、はぁ、
怒りに満ちる声。
目は見開かれ、肩が怒りでわなわなと震えている。
「僕の帰りを健気に待ち侘び、疲れて帰ってきた僕を、可愛い笑顔で迎えて。一晩中僕に愛され、君も嬉しそうにそれに答え……そして、僕の愛に溺れていく。
……そういう関係になったんだよ、僕達は──!」
「……」
何の反応も示さない白川に、カッとなったんだろう。白川の両膝の裏に手を掛け、乱暴に持ち上げると、容赦なく白濁液が漏れる後孔に支配欲をぶち込む。
「一体、何が不服なんだ!
こんなに愛しているのに、愛してるのに、愛してるのに……!!」
「……」
ゆさゆさと、大きく揺れる身体。
持ち上げ肩に掛けた白川の足を下ろした両手が、白川の細い首に掛かる。
「……そんなに死にたいなら、殺してやるっ!
殺して……全部、僕のものにしてやる──!!」
──止めろ!
狂気にも似た行為。
それを止める事のできない、無力な僕。
情けない程動けなくて、悔しくて……涙が次々と溢れて止まらない。
やめろ、やめろ、やめろ……っ、!
もう、止めてくれ──!!
……ふわ……
黄緑色の蛍火が、ひとつ。
ふたつ、みっつ……
ふわりと舞い上がり、幾つもの幻想的な光を放つ。
それを浴びた白川の身体のラインが、黄緑色に光り……風もないのに揺らめいた毛先から、銀色へと変わっていく。
──瞬間。
白川を犯しながら、首を絞める教師の顔が変わり……現在の姿へと変貌していく。
「──!」
え……
息が、止まる。
そこにいたのは……紛れもなく、見慣れた人物。
殺意と憎しみの籠もったその形相は……今まで、見た事がない。
想像すら、した事なんて……ない。
「……」
……どう、して……
どうして、先生が………こんな……
言葉を失い、全身から力が抜け落ちる。
床にぺたんと尻をつき、茫然自失となった僕は……只の抜け殻と化す。
ズッ、ズッ、ズッ、ズッ……
揺れる視界の中。
透明なアクリル板のような膜の向こうに見えたのは──
僕の目の前で、白川を犯しながら首を絞め、絶頂に顔を歪めながら頬を紅潮させた……
──僕の尊敬する、溝口先生。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

記憶の代償
槇村焔
BL
「あんたの乱れた姿がみたい」
ーダウト。
彼はとても、俺に似ている。だから、真実の言葉なんて口にできない。
そうわかっていたのに、俺は彼に抱かれてしまった。
だから、記憶がなくなったのは、その代償かもしれない。
昔書いていた記憶の代償の完結・リメイクバージョンです。
いつか完結させねばと思い、今回執筆しました。
こちらの作品は2020年BLOVEコンテストに応募した作品です
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。





ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる